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孤独の解消に向き合うオリィさんから感じた強さ。

ある機会で吉藤 健太朗さんとお話しする時間を頂いた。ALSの方とかが遠隔から操作できるロボットを作っている黒い白衣の『オリィさん』として、メディアや書籍でご存知の方も多いだろう。一昨日?もNHK逆転人生で取り上げられてましたね。

「孤独を解消する」というミッションを掲げ、本当に多くの活動をされている様子は本当に尊敬するし、多くの示唆や刺激を頂ける。オリィさんとは以前1度研究所に伺って、お話をさせてもらったことがあったのですが、今回のべ2時間くらいに渡り色々な話をさせてもらった。

もちろん、話の中身自体も大変面白かったんですが、それよりも印象に残ったのは、話をしているときに、しっかりと相手の目を見て話をされる様子でした。そして、その目の持つ「やさしさ」をベースにした「つよさ」でした。目力が強いという類の強さではなく、意思というか信念の「つよさ」をめちゃくちゃ感じました。

これまで話をさせてもらった方々の中で、目力の強さや眼光の鋭さなど色んな目を体験しましたが、あまり経験のない感覚になりました。

今回は、これを機に改めて「孤独」とは何なのか?ということを少し書いてみたいと思います。

「孤独」の定義

オリィ研究所のホームページに行くと、孤独の定義として以下のように書かれています。

自分が誰からも必要とされていないと感じ、辛さや苦しさに苛まれる状況

そして、こうも書かれています。

私たちは普段、移動(=外に出かける)、対話(=意思疎通を行う)、役割(=仕事をする)などを行うことで社会に参加しています。しかし、何らかの理由でそれらが不可能になると、社会へのアクセス自体が閉ざされ、自分に無力さを感じ、人を避けるようになるという悪循環に陥ってしまいます。この社会への帰属感の喪失こそが孤独の原因だと私たちは考えます。

孤独というと、独りぼっちでいる様子を想像してしまうのですが、1人で生まれる感情・感性ではないということですね。一人でいるということだけではなく、他の存在・社会があるにも関わらず、それらと繋がっていないように感じる。そして、必要とされていないと感じる。その関係性の断絶こそが「孤独」のもとになるということなんでしょう。考えてみれば当たり前かもしれませんが、この関係性は強く意識しておかないと、テクノロジーを作る側としては重大な見落としに繋がるような気がします。

「孤独」解消に向けたアプローチ

そのような意味においては、オリィ研究所が開発したOriHimeやOriHime-Dは、他の人や社会との繋がりを作るという点で非常に有効な手段になります。場所に依存せず、外の世界に自由にアクションを仕掛けられるというのは、ネットワークを活用した素晴らしい経験を生み出すことができます。そして、このような取り組みは5G、6Gといった高速通信技術や触覚などのロボティクス技術とも融合して、将来的にはもっと豊かな体験を生み出していくようになっていくのだと思います。

「孤独」をなくすためには、「繋がっている」だけではダメです。重要なことは、繋がった上で、双方向なアクチュエーションできること。インタラクションできることです。オリィさんの言葉を借りれば、「ありがとう」という言葉を一方的に言い続けることほど、心が辛くなっていくことはない。自分自身も他人にそして社会にアクチュエーションし、貢献する。そして、「ありがとう」と言ってもらえるようにする。その循環こそが、人の心を健康にし、本当の意味での「孤独」の解消に繋がるのではないでしょうか?

この辺りは以前このnoteでも書いた「利他」と「するのサポート」という考え方にも非常に近いのかもしれません。

「孤独」のインパクト

以前、太田直樹さんにインタビューした時に教えて貰ったように、イギリスでは2018年に孤独担当大臣が設置されている。

ロンドン大経済政治学院(LSE)などの研究によると、イギリスにおいて「孤独」がもたらす医療コストは、10年間で1人当たり推計6000ポンド(約85万円)、「孤独」が原因となる欠勤や生産性の低下などによる損失は年25億ポンド(約3540億円)、とも言われています。

『孤独』は個人レベルの解決しないといけない問題であると共に、もはや国家レベル、世界レベルで解決に挑むべき大きな問題でもある。

「つよさ」と「ありがとう」の循環社会

「孤独」をなくすというとてつもなく大きく難しい問題に本気で向き合う覚悟やその問題を共に解こうとしてきた親友、先輩や多くの関係者の想い、そしてときにどうすることもできない生きることや死ぬことに真正面から向き合い続きてきたことが、オリィさんとお会いした時に感じた『やさしさ』とそれ以上の『つよさ』に繋がっているんだろうと思う。(勝手な想像です。違ってたら、スイマセン!)

そして、今、コロナにより人と人の繋がりが希薄になりやすい状況になっています。より孤独にやりやすい今だからこそ、オリィさんが進めてきたテクノロジーを使って孤独にアプローチする中で得られた知見や成果が益々重要になってくるでしょうし、他にも様々なアプローチを進めていくべきなんだろうと思います。

人と人との繋がりはsocialな well-beingの最も基本となることです。テクノロジーも活用しながら『ありがとう』が循環する社会を作ることに、私も少しでも貢献していきたいと思います。

では、また来週~
安藤健@takecando

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