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「AIの記事でいい」をどう考えるか

自動生成AIがどんどん出てきて、私の周りでも仕事で多くの人が活用するようになってきています。

先日は、Webサービスのユーザー施策としてどんなキャンペーンを打つのかを検討する会議で、エンジニア側のチーフがCHATGPTに聞いたテーマ案をベースに会議を進めていきました。

いままでは我々編集や企画の仕事でしたが、AIによって取材やインプットをしてこなかった部門でも新しいアイデアが出せるようになった、とも言えます。

たしかに、奇抜で突拍子もないアイデアもたくさんあります。いい感じに緩急織り交ぜたアイデアにはなってます。

彼らにとっては、いままで自分たちにはできないと思っていた企画やキャッチコピーのたたき台が、苦労なく出せるようになったことで、イニシアチブを取れるようになったと考えているかもしれません。

専門家でなければできないことが、学習等なしに誰でもできるようになったのは、素晴らしいことだと思います。

ただ、逆に人の感覚から生まれたアイデアのほうが「陳腐」とか「意外性がない」という感覚が、AIという最新技術を活用することを優先するあまり、非編集畑の人たちの中から出てきているような気がします。

場合によっては「別の部署のアイデアは採用したくない」といったときに、AIをあえて使うという動きも出てこないとは限りません。

これからのAI編集は、必要な回答を導き出すためのプロンプトづくりのノウハウになっていくでしょう。そこにユーザーニーズや社会課題などが含まれていようがいまいが、プロンプト作者が「これでいい」というアウトプットが出てくればもう成功です。

ただしそのやり方では、プロンプト作者の都合の良い回答しか出てこなくなります。いわゆるイエスマンのキャッチコピーのようなもので、上司が「いいんじゃない」というものしか生まれなくなる。

さらに、それを避けるための方法もプロンプトでコントロールできるようになっていくと、もはや何がアイデアなのか、人間ができることはなにかがわからなくなっていきそうです。

AIと付き合っていくことは、これから一般的な雑誌やウェブの編集者でも必須になっていくとは思います。ただ、言葉の小さな選び方一つにも、漢字やカタカナ、英語の言葉の散りばめ方にも、私たちのノウハウと経験が乗ってくるはずです。

世界は急速に変わっていきますが、編集者が日々大切にしている、読者がいるということ、信憑性や信頼性を損なわないといったことを守っていければ、きっと編集という仕事はさらにステップアップしていけるはずです。

同時に、AIを使いこなそうとしている人たちをバカにしないことも重要です。新しい技術に対してチャレンジしている人に、たとえ理解できなくても、言葉や文章が失ってはいけない核ようなものをしっかり伝えていく必要もありますね。


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