今年はデザインに立ち返り、点と点を繋ぎ面にする年
明けましておめでとうございます。昨年は皆さんお世話になりました。今年は年明けから能登大地震が発生し、被災された皆様は大変な時をお過ごしかと思います。前職では防災用品の開発に取り組んだ事もあり、何かデザインの力でこういった非常事態にできることはないだろうかと、デザインに立ち返る年になりそうです。
2023年簡単な振り返り 新規事業にチャレンジ
本業では新規事業に携わりたいと発起して転職して1年半が経とうとしています。新規事業専属部隊でゼロイチベースの事業開発を経験することが出来ました。主にメディカル領域におけるサービスを手掛けてきました。UI・UX周りとマーケティングリードを担当しながら、未知の領域で悪戦苦闘する毎日でしたが、プロダクトデザイン経験と未充足ニーズ起点の商品開発経験を活かしながら、HCD-Net公認の人間中心設計専門家の資格まで取得することが出来ました。マーケティングリサーチの手法もいくつか試すことが出来たので学びの多い1年半だったと実感しています。
顧客起点の新規事業創造
アンゾフのマトリクスにある通り、新規市場(顧客開拓)と新規制品(開発)を掛け合わせた領域は難易度が一気に上がることを実感しました。西口 一希さんの『顧客起点マーケティング』を元に、N1インタビューを繰り返し、ユーザーも気づいていないようなインサイトに辿り着きそうにもなりましたが、非常に複雑な課題にチャレンジしていたため、難局を迎えました。
約100名近いユーザーと専門家にインタビューを繰り返し行う中で、何がユーザーにとって刺さるコンセプトとなるのか、どんなメッセージをどのように伝えれば共感してもらえるのか、朧げながら理解が出来るようになりました。(抽象度が高い振り返りで申し訳ございません。)
あるターゲット属性に対して、特有の深層心理が存在していることが分かり、そんな時に、西口 一希さんの『顧客起点の経営』を読みながら、顧客の行動と心理を分析していきました。
売上=顧客数×単価×頻度
であり、顧客数と単価を上げるには顧客の購買行動とその奥にある顧客の心理を理解する必要があります。この事を西口さんの書籍で明確に言語化頂けています。是非マーケティングに従事されている方や経営者の方には読んで頂きたいです。
ユーザー体験をデザインしていく方法を試行錯誤する中で、問題に対するソリューションはなかなか形になりませんでしが、この経験は今後の事業開発の糧になる試行プロセスになってくるはずです。
また、キーニーズ法によるコンセプトスクリーニングテストの実施によりコンセプトの改善ブラッシュアップを図りながら、購入意向率を徐々に向上させていくことができ、コンセプトに対する市場の受容性を常に把握しながら、小さく仮説検証を回す方法にも熟達出来たかと考えています。この方法は梅澤伸嘉さんの『100億マニュアル』を参照しながら、恩師である清水孝洋さんの『最強の商品 「売れるモノ」だけをつくる方法』などを参考にしながら、自分なりに調査方法を設計しながらリサーチ活動を実施しました。
事業の成功確度を上げるためのあらゆる方法を試したのではないかと思います。
新規事業におけるデザインの役割
さらには、特許庁が2018年に発表しているデザイン経営を軸にした『ブランディングデザイン』について国内ではブランディングデザイナーとして第一人者である西澤さんに色々とご相談をさせて頂きながら、経営戦略から事業を縦串しする3階層の構造を学び、経営視点で戦略面からクリエイティブディレクションをしていくための『体験デザインブランディング』について室井淳司さんに学びました。
『イノベーション・スキルセット』を実現するBTC人材モデルなどを読み込みながら、デザインに一体何が新規事業でできるのかを考え、様々な働きかけや仕掛けを企画計画し実施しました。ある程度種まきは成功したので、次はあらゆるドットを繋げていくことになります。私はデザイナーとしての芯を持ちながら、専門性を少しずつ変化させながら、スライド移行してきましたが、今年は本腰を入れてデザイン活動をしていく必要があると感じています。点・線・面を繋ぎ合わせて事業戦略を練り上げて実施していくことこそ、デザイン経営なのではないかと考えています。
田川欣哉さんが提唱するBTC人材モデルは、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブでしたが、私の専門性で考えるとすればビジネス、クリエイティブ、マーケティングの3本柱となります。その中心にデザインがあると位置付けました。私個人のパーパスは「人と組織のクリエイティビティーを最大化する」ことでした。さらにデザイナーとしては自分や企画者、当事者の「想いを形」にしてきました。このような図解表現によって自分をアップデートしていくことが重要だと考えています。
日本はデザイナーの価値を高めなければいけないと思います。デザインがイノベーションを起こすトリガーになることを証明していく必要があります。私はデザイナーとして、デザインジャーナリストとして、過去と現代のデザインから未来を紐解くことができるような、先見性を身につけていきたいと考えています。デザインジャーナリズムがなくなりつつあるのではないかと危惧しています。社会におけるデザインが果たす役割は、生活に根ざした文化の醸成や、災害発生時などの万が一の時に人の命を救い、心を救うものであってほしいと思います。まだまだ私も関わりきれていない領域ですが、これから踏み込んでいく必要があるでしょう。
私はかなり回り道をしてきたので、優秀な先輩や後輩のようにはいきませんが、何か社会に貢献できる足跡を残しておきたい、そう思っています。
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