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THE FIRST SLAMDUNKとBLUE GIANTの共時性


最近劇場で観た映画がTHE FIRST SLAMDUNKとBLUE GIANT、どちらもとても良かった。2本、短いスパンで見たんですが、おもしろい、共通する体験があり書いています。


THE FIRST SLAMDUNKとBLUE GIANTの共時性


THE FIRST SLAMDUNKは友人と一緒に観に行ったのですが、「わたしあんまりスポーツを観ないんだけれど、選手個人のストーリーをみせてもらいながら1本の試合を楽しめる体験だった!こんなふうにスポーツって観れるんだと知れてよかった〜〜泣いた🥲🥲」と言っており、おお〜〜確かに、それは素晴らしい見方だな、その感想を聞けただけでも一緒に行けてよかったなと聞いていました。



BLUE GIANT。いちばん好きなマンガかもしれない。いちばん好きなマンガが4つあります。
世界一のジャズプレイヤーをめざす宮本大が主人公。読むたびに身体がアツくなる。Innosentな存在が停滞に風穴をあけていく物語でもある。

特に、大たちのファーストライブは、ライブハウスにいるような感覚があった。ジャズのライブにはいったことがないんだけれど、ジャズ独特の浮遊感、そして、大の、雪祈の、玉田のストーリーを知るからこそ、心の底からアツくなる感動・・。

漫画版の、ライブを聴いているときのみなさんの顔大好きなんだ・・!


THE FIRST SLAMDUNKもBLUE GIANTも、映画館にいながらそれぞれの題材となるバスケットボール、ジャズ、どちらも、圧倒的なライブ感を受け取っていた。映画を通してライブ感を観客に味わわすというのは、コンテンツの質をどれだけ高める努力をしたのだろうと想像する。計り知れない。

どちらの映画も、絵はもちろん、BLUE GIANTは題材的に当然かもしれないですが、音楽も、半端じゃないこだわりでつくりこまれていることがうかがい知れる。

THE FIRST SLAMDUNKの音楽監修は、10-FEETのTAKUMA。どれだけ気合を入れて望んだんだろうか。きっと10-FEETの音楽キャリア、それを支える人生・・ぜんぶが肯定されたように感じるお仕事だったと想像します。



映画館にいながら、バスケットボールの、Jazzの、ライブを観ている。そんな感覚が共通した2本の映画。


BLUE GIANTで描かれていたエンパワメント


ついでにBLUE GIANTで印象に残ったことを書かせてください。大たちのInnosentさ、真っ直ぐさ、もちろんそれに共感するひとが多いと思うのですが、ぼくが印象に残ったのは、大たちをHook upする大人たちのエンパワメントでした。

大が東京ではじめて行ったJazz喫茶のオーナー、大のお兄さん、ドラムをはじめたばかりで、大の熱に引っ張られ、そして自分の衝動を抑えられず、ドラムにのめりこんでいく、そして「本気だからこその悔しさ」を抱きしめる玉田に「ぼくは、キミの成長を見に来ています」と伝えるおじさん ー。印象に残るエンパワメントはたくさんあったのだけれど、いちばん印象に残ったエンパワメント。日本でいちばんのJazzクラブと自他ともに自負するBlue Noteオーナー、平。


漫画版でも映画版でも渋すぎるんよ


最初は、大たちに辛辣な言葉を投げかける。けれど、平自身、その言葉に、その言葉を支える自身の価値観に、葛藤する。

「わたしたちは、一流には優しい。けれど、未来のJazzを担うプレイヤーに貢献できているんだろうか ー」


平の葛藤は、自らが愛するJazzの業界をエンパワメントできているのかという葛藤で、彼がこの葛藤を、自分自身が抱えるべき葛藤として選んだことから、物語は、もしかしたら、日本のJazz業界がおおきく動いていく。


平さんが大たちにどのようなエンパワメントを向けたのかはぜひ劇場で見てほしいのですが、きちんとリスクをとり、舞台を用意すること、これこそ「大人の役割」だとぼくは受けとめた。


40代は悩む、なんてよくいわれる。その葛藤のひとつの答えが、ここにあるんじゃないかな。こんな大人になりたいですし、もうすこし、このエンパワメントを受けとめ、何倍にもして返す、そのための真っ直ぐさを。担っていたい。


BLUE GIANT、ぜひ、マンガでも映画でもいいので観てほしいです。



THE FIRST SLAMDUNKもBLUE GIANTも素晴らしい作品だった。原作への愛を、細部へのこだわりまで実現できる、実際的な技術が支えていたように思う。素晴らしい作品をありがとうございます。




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