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DXをサクセスさせる:1 ビジョンを示す

DXを進める際には、まずその目的を明確にすることを強調しておきたい。DXの成功は、一人の力では成し得ず、必ず多くの協力者を必要とする。
ここでは、多くの協力を得る手段としてのビジョンというものについて見ていこう。

1. ビジョン(Vision)とは何か?
ビジョンとは、投資という文脈における組織の理想の将来の状態(ありたい姿)、それも短期ではなく中長期のありたい姿を描いたものである。
ServiceNowのビジョンとは、ビジョンのうち特にServiceNowの利活用に関係が深い要素にフォーカスしたビジョンを指す。
前提として、ビジョンは事業戦略やIT戦略と整合する。つまり、何の脈略もなく思いついたアイデアで作るものではなく、基本的にはその組織が達成したいことに基づいて検討しまとめあげる。
また、ビジョンは、詳細計画や実行スケジュールのようなものではなく、関係者にスッと理解されるようなシンプルさを持っているのが特徴である。(詳細計画や実行スケジュールはもう少し後の段階で必要になるが、ここでは解説しない。)

2. ビジョンの重要性とは?
DXは、単なる既存システムの置き換えではなく、新たな価値を創出するために業務プロセス、組織の変革を伴うため、DXの成功には多くの関係者の理解や協力を得ることが不可欠である。そのためには組織が目指す姿をわかりやすく、魅力的に伝えていくことが重要である。
その際に関係者に整理されたビジョンを使って説明することで、協力を要請しやすくなる。
また、ビジョンは、一度作成して終わりではなく、ビジネス環境の変化やDXの進展状況によってメンテナンスされ、関係者間で共有され続けるものであることも重要な点である。

良いビジョンの要件として、少なくとも以下の点が含まれていることが望ましい。

ビジネス目標 
組織の事業戦略やIT戦略に照らして、DXによって何を目指すのか。それによって、どんな競争優位(分かりやすい言葉ではメリットや嬉しさ)がもたらされるのか。
この議論の間で3C分析(Customer:顧客 Competitor:競合 Company:自社)や
SWOT分析(Strengths:強み Weaknesses:弱み Opportunities:機会 Threats:脅威)などをして自分たちのビジネスを客観的に分析してみるのも良い発見につながるだろう。合理的で的を射たビジネス目標は、多くの人の共感を呼ぶことができる。

成果目標
ITに投資したからにはそれに見合ったリターンも必要なため、期待する効果を明確にすることが重要である。
できるだけ、数値や達成時期を含めることが望ましく、それらの目標の設定いかんにより、将来にわたって必要な仕組み、整備する体制、投資金額などを左右する。
この目標は、現時点の組織の働き方のままでも達成できそうな低い目標よりはチャレンジングな目標を掲げるべきである。低い目標を設定した場合、目標は達成できたとしても本当にDXが成功したのかどうか評価できないケースがある。

3. ServiceNowのビジョンを具体化するためにはどうするか?
ビジョンの構成要素をわかりやすく整理する方法として、戦略マップを参考にしたフレームワークを紹介する。

戦略マップを参考にしたServiceNow Visionの構成例

まず、上段に関係者の興味を惹きつける、組織の”ありたい姿”を短い言葉で示す。
そして、下段は、左から企業(事業)の成功を左右する重要な要素である戦略的なビジネスドライバ、目標とするビジネス成果、DXの結果として変革された組織のありたい姿を関係づけて整理する。
戦略マップは、簡潔に表現することで、多くのステークホルダーに戦略的方向性を示すものであるため、必ずしも詳細に語らず、優先順位の高いものだけを表現してもよい。


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