ショートショート 会うたびに嫌いになる人がいる
あー
下品だ。
何もかも鬱陶しい。
私は彼女の友だちという位置付けらしい。
友だちじゃないんだけどな、って思うけど、友だちなんだって。
今日、社食で食べてると、隣に座ってきた。
部署もフロアも違うけど、同じ時間帯になることが多い。
体型が出るような服を着て、ちょっとだらしない彼女は長めのカーディガンをひらひらさせながら座ってきた。
また自慢話ばかり始まる。
もううんざり。
彼女の人脈なんてどうでもいいし、その人脈は私にとっては一生付き合うことのない人たちばかりだ、生きてるフィールドが違うんだろうな。
適当に相槌を打っているが、時にカチンとくることもある。
でも言い返さない。
食事が終わったから席を立とうとすると、彼女はまるでこぎたない魔女のような下品な笑い顔で
「今度さ、私がご馳走するから〇〇のお店に行こうよ、私が出すからさ」
私のフィールド内の時に利用するちょっとおしゃれなバーに行きたいんだ。
いつもこの人は、お札で人のほっぺた叩くようにお金あるよアピールしてくる。
私、そんなにお金はないけど、あなたにご馳走になんてなりたくない。
他の人はどうだか知らないけれど、私は会うたびに彼女が嫌いになっている。
下品だ。
END
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