見出し画像

ロンドンで出会った日本人コーチKoさんの話。

こんにちは!

前回更新したのが10/2で到着してすぐだったので、そこからもう一週間以上経ったのかと驚いております。

今回は、今回の滞在で最もお世話になっている方のご紹介とその方と接する中で僕が得た経験を皆さんにシェアしたいと思います。


ちなみに指導の様子はyoutubeにどんどんアップしているのでぜひ見てください!(明日も新しいのが上がります)

↓チャンネル

ロンドン在住日本人コーチKoさん

今回の滞在で最もお世話になっている方というのが、イギリス生まれイギリス育ちの日本人の方でこちらで育成年代のコーチをされているKoさんです。

最初は僕のyoutubeチャンネルを見てくださってメールで連絡をいただいたのですが、なんと到着した日(しかもイギリス時間朝7時)に空港まで車で迎えに来てくださって僕の宿まで1時間弱送迎をしてくださりました。

空港からの送迎だけでなく、大きなスーパーに連れて行ってくださっておすすめの食材なんかも紹介していただいて本当にお世話になっています。
今回は1人で来ているので、単純に身近に日本語が喋れる人がいるだけでとても心強いです。

Koさんは日本で言う高校生、小学生のお子さんがいらっしゃって2人ともサッカーをしていますが、ボランティアのコーチとして彼らが所属しているクラブの指導者もされていて、なんとUEFAのC級のライセンスまで取得されています。(C級は現在受講希望の人が多過ぎて順番待ちになっているような状況です)


ヨーロッパの人から見る日本サッカー

そんな彼と話していて最も感じるのは、サッカーはサッカーであって日本とヨーロッパで別に大きな差はないということです。

日本の人は僕が見る限りヨーロッパをめちゃくちゃ上に見ていて、日本はダメだ…と卑屈とも言える見方をしている人が多いですが、ヨーロッパの人たちからすると日本サッカーはとても評価されているし、戦術的にも技術的にも十分優れているとされているようです。


ただ、唯一大きな違いがあるとすればとKoさんが話していたのはフィジカル面についてでした。

実際に僕はKoさんの指導するクラブのU16のチームにキックを指導しに行かせてもらいましたが、みんな信じられないくらいデカかったです笑
明らかに僕が一番小さくて、筋肉量も日本の大学生でもなかなかいないくらいゴツい子が子がたくさんいました。

Koさんの息子さんのうちの1人はそのチームでプレーしていますが、彼はそのチームの中ではそこまで大きい訳ではなく線も細い方ですが、Koさん曰くゴツい子がたくさんいる環境で日頃プレーしているのでコンタクトには慣れていて、線が細い割にぶつかられても平気でプレーできるのが強みになっているとのことでした。現地のスカウトにもそのあたりが評価されているようです。

日本ではあれほどゴツい選手と渡り合う機会は同年代でサッカーをしている限りまずあり得ませんが、イギリスだとそういう子が同じ年代でもゴロゴロいるというのは明らかに日本とイギリス(ヨーロッパ)の違いだと感じました。

日本でそれを再現するとすれば、海外のチームと積極的に試合をするのが一つの選択肢ですが、移動距離の問題で現実的ではないので違う年代の選手と試合、トレーニングをする機会を設けるのは一つの選択肢かもしれません。

その点ではセレッソ大阪で風間八宏さんが始められたスペトレ(小学生から高校生が混ざってトレーニング、試合)はすごく効果的なのではないかと感じました。


イギリストップクラスの指導を見学

そんなKoさんにご招待いただき、1人の指導者がチームを指導している様子を多くの指導者(30~40人)が見学して、セッションの後にあれこれディスカッションするという形式の講習会に参加させていただきました。

その講師の方が個人技術の指導に特にフォーカスして指導されている方で、チェルシー、アーセナル、トッテナムといった超ビッグクラブのアカデミーでも働いた経験のある方でした。

僕がこの講習会のすごいと思うところは、これだけの経歴の方がこれをほぼ無料でやってらっしゃることです。この方は他の指導者に自分の経験、知識を共有したいという思いでやってくださっているようで、その姿勢は真似したいと思いました。

日本ではなかなか聞かないですよね。


トレーニングは最初、3人組のパス(ウォーミングアップとして)から始まり、1vs1のターンを色々なパターンでほぼドリル形式で行い、2v2、4vs4、ハーフコートの8vs8と少しずつ人数が増えていく形式でした。

特にこの日のトレーニングではアウトサイドでのコントロール、パスを重点的に指導されていて、プレーの幅を広げることにとにかく重点を置いているという風に感じました。

セッションの後のディスカッションの時間でコーチ本人も、どんなにうまい選手でも今までうまくいったプレーのパターンを反復して使っていることが多くて、それをトレーニングの中で増やせるように成功体験を積ませていくといったことを仰っていて、まさにそれを目指したトレーニング構成だと感じました。

最初はドリル形式のターンの練習で一応相手DFを設定してはいるものの、DF側は基本的に奪いにいくなと指示されていて純粋なパターン練習のような形でした。僕はあまりそういったことをこちらのコーチがやっているイメージがなかったので、新鮮に映りましたがプレーの幅を広げるという狙いであればドリル形式で積み重ねていくのは有効なアプローチだと思います。

また、相手を騙す、タイミングを外すといった目的でアウトサイドのパスもテーマにしていて、その後のゲームで実際にアウトサイドパスを引き出すためにアウトサイドのパスでのアシストは2点という風にゲームのルール自体を工夫していたのは印象的でした。

Koさんのトレーニングも見学させていただきましたが、Koさんもそんな風に引き出したいプレーに対して報酬を与えるようなやり方を採用していて、Koさんに聞いたところUEFAのライセンスを取る際にプレーを引き出すための方法は学ぶところだとおっしゃっていたのでそのような細かい指導メソッドは浸透しているんだなと感じました。


また、この日のセッションで最も印象的だったのはとにかくトレーニングの間の無駄な時間が少ないことでした。コーチ1人で16名のトレーニングを回していたので、マーカーを置き直してグリッドを作り直したりゴールの位置を動かしたりしていると間の時間が生まれてしまいますが、最初に置いたマーカーの設定を最後まで使い回して全てのトレーニングを終えていました。

当然メニューの狙いによってはグリッドを作り替えたりゴールを動かしたりは必要だと思いますが、とにかく間の時間を削ってプレー時間を増やす狙いは外から見ても分かってとても良いと思いました。他にも水を飲む時間を10秒と制限していたり、メニューの間の説明がとにかくシンプルだったり、テンポを上げるための工夫が随所に見られました。


個人的に印象に残った細かいところで言うと、最初のパスの練習でパススピードを上げさせたい時に、"Punch the ball!"と言っていたことです。そういった一言にまとまった伝わりやすい表現は今後増やしていきたいと感じました。

ちなみに、punchという表現にすると足を振り抜かずに止めるようなイメージのキックになるのではないかと感じて、実際観察しているとインパクトの瞬間足が止まるような選手が多かったです。
キックの質だけの観点で言うと、そうすることで無回転に近い綺麗に地面を滑るボールが蹴りやすくなるので良いですが、次のプレーにつながりにくかったり、より長距離のパスでは振り抜いて縦回転をかける方がよかったりはするので、使い分けが必要だと感じました。


この会を見学できてとても勉強になりましたが、メニュー自体はそこまで特別ではなく、明確な狙いを持ってそのメニューを選定していること、それを引き出すための工夫を散りばめていること、またプレー時間を最大限確保することを重視しているというのが僕が見た中での彼のすごいところだと感じました。

すでに書いた通り日本の人はヨーロッパのサッカーを上に見過ぎる傾向にあると思いますが、もし日本とヨーロッパに差があるとすれば取り組んでいる内容自体ではなく、コーチ、選手両者の取り組み方にあるんだと思います。


久しぶりにプレーして超楽しかった話

最後に、Koさんのクラブにお邪魔した日に、小学生→中高生→大人の順に30分ずつキックを指導したんですが、その後残り30分程度は彼らのゲームに混ざってプレーさせてもらいました。

僕は高校2年の最初16歳の時点でサッカーを辞めてしまって、そこからはほぼゲーム形式でのプレーはしていないので、7年くらいブランクがありますが、久しぶりにやるサッカーはめちゃくちゃ楽しかったです。

久しぶりにプレーすると信じられないくらい下手になってて、思った通りにボールがコントロールできなかったり、後ろから来る相手が見えてなかったり、結構ショックではありましたが、プレーしていくうちに少しずつ感覚は思い出したし、色々と体の使い方を勉強して練習してきた分、前より明らかにうまく動けるところもあって、自分の上達にフォーカスしながらも初対面の外国人とワイワイするのが純粋に楽しかったです。

高校生でサッカー部を辞めてからはなぜかそこまでプレーへの意欲はなくて、キックさえうまけりゃいいかと思っていましたが、久しぶりに純粋なサッカーというスポーツの楽しさに触れた気がして、日本に帰ってもやりたくなりました。


イギリスでは結構普通にその辺のビール腹のおっちゃんなんかもサッカーを楽しくやれる環境があって、そこはとても羨ましく感じるところなので、僕も日本でそのような環境を作れるようになりたいと思いました。

Kicking lab主催のエンジョイサッカー企画は日本でやっていこうと考えているので、ぜひみなさん参加してください!

サッカー少年、お父ちゃん、お母ちゃん、学生、おっちゃん、おば様、なんならJリーガーみんな集まって楽しくボール蹴れるみたいな環境ができたらなって思ってます。


そんな感じでたくさん刺激を得られる最高の滞在になっていますが、Koさんと出会えたのがとても大きいです。本当にありがとうございます。

他にも書きたいことはたくさんあるので、引き続きnoteにて更新していきたいと思います。

再三の告知になりますが、youtubeにもめちゃくちゃ力入れてるのでぜひチャンネル登録お願いしますね!

それではまた次回!!

いいなと思ったら応援しよう!

ロンドンで出会った日本人コーチKoさんの話。|田所剛之