9月に触れた作品の感想

【アニメ】
『ウマ娘プリティーダービー Season 2』
推し(トウカイテイオー)が主人公で歓喜。なんだが残念なのは、ゴールドシップさんの立ち位置がなんとも微妙になってしまったこと。一期におけるメジロマックイーンとゴールドシップの絡みが大好きだっただけに、そこはなんとも惜しい。あとサイレンススズカもやっぱり微妙なポジションで、テイオーやマックイーンが怪我したときにアドバイスするとかもなく、アメリカでひたすら沈黙を貫く態度。(最後には来てくれたけど)スピカや他のチームよりも、テイオーとマックイーンにだけ焦点を当てすぎていたように感じてしまった。(まあこれはキャラが多い作品では仕方ないことなのかもしれないが…)だからと言って不服かと言われればそんなことはなく、ライスシャワーちゃんはカッコ可愛かったですし、エンディングの一枚絵が変わっていくところなんかもとても粋な演出で感動してしまいました。ここまできたらぜひシーズン3もやってほしい。次はナイスネイチャとかセイウンスカイとか、スピカ所属でないウマ娘にフィーチャーしてください。

『宇宙のメソッド』
正直3話くらいまで内容がよくわからなくて、間違えて2期から見てしまったのかと勘違いしてしまった。キャラクターが残念なアニメランキングでトップに入れる作品で、特に序盤の主要人物の一人の円盤反対運動があまりにも過激すぎて驚いた。60年代後半の東大生かな?冗談はさておき、まあ気持ちはわからなくもなくて、沼津や原宿近辺での某アニメの舞台をめぐる悶着も、突き詰めれば同じような問題なのかもしれない、と考えさせられた。だからといってキャラクターの行動を擁護するつもりはないが。fhanaのエンディングはよかった。

『八月のシンデレラナイン』
何とも惜しい作品。目標に向かって頑張る、みたいなコンセプトは大好きだし、女子野球がマイナースポーツであるという現実に即した設定が魅力的だったんだけど…作画と声がどうもね。動きが激しいスポーツアニメだからこそ、画はもう少し滑らかだと嬉しかった。展開も全体的にだいぶ駆け足で、個人的にはもう少し一人一人のキャラにフィーチャーしても良かった気がする。(ただそうなると12話に収めるのはほぼ不可能だろう)ツッコミどころは多かったけど、総じてとても満足。2期やるなら絶対見たい。

【本】
『希土類少女』青柳碧人
まず「少女の体内からレアアースが出てくる」というストーリーが斬新で、読む前から相当期待していたのだけれど、その期待を裏切らない面白さだった。基本的に少女しかいない環境が舞台となっているにも関わらず、百合要素はほとんどない。(もっともここは人によって加点ポイントだったり減点ポイントだったりするだろう)最後までどうなるか全くわからず、終盤のギリギリまで色々な人の思惑が交錯しながら展開が進んでいくところが特に刺激的で良かった。強いて言えば、青春、恋愛、ミステリ等々の要素を詰め込みすぎていて少し窮屈だったことと、あと「絶対に避けられない死」的なテーマにするならもっと名言チックなことを女の子に話させても良かった気もする。割と淡々と進んでいった印象だったので。(ただこれがあると一気に、死生観をテーマにした胡散臭いライトノベルに堕ちてしまうリスクがあるので、無くてよかったのかも)

『眼鏡屋は消えた』山田彩人
久しぶりに時間が経つのも忘れて一気読みしてしまった作品。主人公がたまらなく魅力的。一人称で語られる、事件に巻き込まれたことを楽しみ、気合いと根性で失った10年間をカバーしようとする様子は、読んでいるこちらを全く飽きさせない。そこまで大掛かりな展開ではない割に長い作品ではあるけど、それでも最後まで楽しく読んでいられるのは、主人公のこのキャラクターによるところが大きい。爽やか青春ミステリと本格どっしりミステリのいいところを合わせた感じで、どちらが好きな人にも楽しめると思った。山田彩人氏の他の作品もぜひチェックしてみたい。

『発現』阿部智里
割と最近文庫化されたホラー小説。正直言って微妙。というか最近気付いたんだけど、微妙じゃないホラー小説、僕の中で『シライサン』くらいしかないんじゃないか。(なんなら実は『シライサン』も読んだ直後は微妙だったけど、後日たまたま見つけた考察サイトを見て目から鱗が出た、という経緯がある。皆さんのオススメのホラー小説もぜひ読んでみたいので良ければご紹介ください)発想としてはとても新しいと思ったけど…若干ネタバレになるかもしれないが、最後に主人公が、丸くおさまった的な態度を示す他の人物に対して、いや全然丸くおさまってないじゃん、と主張するシーンがあるのだけれど、そこはものすごく共感できた。こじつけでオチに持っていこうとするのではなく、リアリティのある描写で進めていっていたのは、個人的にポイント高い。

『終わる世界のアルバム』杉井光
「どんどん人がいなくなっていく」「主人公以外誰もいなくなった人のことを覚えていない」という設定に惹かれて読んだのだけれど、ちょっと期待しすぎていたかもしれない、個人的には微妙だった。主人公のキャラクターがなんというか…こういうウジウジ系というか、やたら自己評価低いやつ、アニメとかにもよくいるけど、(鹿○まどかとか)僕はそういう人が嫌いである。さらに加えて、僕が嫌いな類の「エモ」が濃縮されていた感じがした。(ここで付け加えさせてもらうと、僕はもともと、いわゆる「エモい」シチュエーションに理解はあるし、自分もそれを体感するのが好きだが、それをただ「エモい」と表現してしまうことに、生理的な嫌悪感を覚えるタイプである。さらにその延長で、「夏の夕暮れ」とか「夜の海」とか、そういった「エモい」という言葉で表現され尽くした状況までもに、肯定的な感情を持てなくなってしまった。上に言った嫌いな類の「エモ」というのはこういうものを指す)ただこれは完全に捻くれた考えを持つ僕の感想なので、あまり信用せず、ぜひ皆様にも読んでいただきたい。

【漫画】
『ようこそ亡霊葬儀屋さん』(1〜3)
泣いた。5ちゃんのSSで紹介されていたのが読むきっかけで、ネット民の言うことなんてどうせ、と思っていた節もあったのだが、いやはや予想外に感動的で、一部涙が溢れそうになったシーンもあるほどだった。言い方は悪いかもしれないけど、こういった話なら結構書けそうなのに、3巻で完結してしまったのがもったいないと思う。というか途中からの主人公と兄の対決らへんは正直そこまでおもしろくなくて、序盤の1話完結型の方がよかった。まあ兎にも角にもいい作品でした。オススメ。

『よろこびのうた』
老夫婦の焼身自殺をテーマにしたコミックスで、素材自体は実際にあった事件らしい。展開と結末は正直ありふれたものであって、もしこれが小説だったら「普通」の評価で終わっていたと思う。ただ、ウチヤマユージ先生の、素朴であたたかい絵のおかげで、悲劇的な雰囲気を感じることなく読み進められた。最後主人公がポツリと呟いた「こういう最期もありかも」的な言葉に考えさせられる。焼身自殺に加えて老老介護とか過疎地域とか、ショッキングで重い内容かと思ったら、(もちろんその要素はあるけど)いい意味で予想外にハートフルでした。オススメ。

【映画】
『ファイティン!』
TSUTAYAの「ファミリー向け映画コーナー」にあった映画。この時の僕は『グリーンマイル』みたいな癖のある名作ではなく、『最強のふたり』のような、王道でハートフルな(?)映画が見たいと思っていて、それでファミリー向け映画コーナーに行ってみたというわけだ。パッケージと紹介文を見たときは「まあ何も考えずに見ていられそうだな」というのが第一印象だったのだが、実際に視聴してみてたまげた。なかなかに、というかかなり面白いじゃないか!ひねりがある部分といえば題材が「腕相撲」であることくらいで、展開はもう王道も王道。見る人によっては飽きて途中で再生停止してしまうくらいかもしれないが、この時の僕にはとても刺さった。(もっとも『日本史100題』を解きながら視聴していたのに「刺さった」も何もない、と言われればそれまでなのだが)オススメです。

【演劇】
『ライオンキング』(劇団四季)
一年以上前の話だが、就職活動で僕に内定をくれた企業は二つある。一つは今勤めている会社、そしてもう一つが劇団四季である。もともと演劇に興味を持っていたわけではなく、特に興味のある業界がなかったときに親に「どこかエントリーしてほしい企業ある?」と聞いたときにリクエストされたのがきっかけだった。(僕の母親は劇団四季が好きなのである)正直内定をいただくまでは一ミリも興味はなかったのだが、自分のことを評価してくれたということに僕はとても感謝していて、さらにそれがきっかけで四季株式会社の動向にも関心を持つようになり、コロナ禍で苦しい状況の中で精力的に活動している四季を、今ではかなり応援している。というわけで人生で3度目の観劇。本当に素晴らしいクオリティで、さすが演劇界のエリートという感想。前から2列目というでーじいい席で、舞台の装置にまで注目しながら見ることができた。個人的にスカーを見るといつも岸谷五朗が頭をよぎるんですけど、僕だけですかね?劇団員の皆様の、ムキムキすぎない程よいマッチョな体型には本当に憧れるし、あの声量や振りや動きやら何やらを会得するまでに、本当に沢山の練習を積んだんやろなあ…ああいう一芸に秀でた方々、心の底からリスペクトします。これからも頑張ってください。

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