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昔いじめられてたけど今は気にしてない。なんてどの口が言いやがる。#8月31日の夜に

人が人に一方的に悪意をむける。その結果に責任は持てるのかな。持てないなら、良いよ。

殺す。

書き始めたけどやっぱり難しい。いつもにも増して乱文になるかと思いますが、ご容赦ください。それだけ書きづらいテーマなのです、10代の憂鬱だのいじめだのというテーマは。
何故か、と言えば僕は厳密にはいじめられた経験がないから、もっと言えば、ぶっ潰してしまった、からなのです。

中学1年の頃、僕にはある友達がいました。そいつとは部活の外周で走っている時に話しかけられて、それが始まりです。
「同じクラスにさ、○○さんっているじゃん。(彼女は生まれつきの障害で左手がなかった)可哀想だよな。でも普通に部活とかやってて本当偉いよな」
奴はそう言って話しかけてきました。ああ素直に良いやつなんだな、その時はそう思いました。

ご多聞に漏れず、僕は小学校の頃から、すぐ体調崩して風邪を引くような病弱で、習い事もピアノ、中学に入ってからは家が学区外になって、両親の送り迎えで通学していました。ただ一点、違っていたのは異常な癇癪持ちだったこと、女々しいと言われてもおかしくない容姿、環境を抜け出したくて、僕は当時、剣道部に所属していました。

部内ではそんなに強くもなく、並でした。ただ同期の仲間だけで、毎日喧嘩しながら煽りながら稽古を続けるのは、つらいことではなかった。その友達を除いては。
歯車が狂い始めたのは2年の冬休み、同期で一番弱くて、仲の良かった部員が、その友達に一方的に殴られた。ふざけていただけ。そう奴は言った。僕にはそれが悪意なのか、弱いから殴られるのか、分からなかった。殴られた部員はへらへらしていた。

僕に対しては些細なことから始まった。僕はその当時、よくある話なのだけど、好きな女の子がいた。その子は、僕が風邪気味で咳込んでいる時、気遣ってくれたし、休みあけは普通にフォローしてくれた、単純に、優しくされたから、好きになった、など良くある話だ。そんな話をどこかから聞き付けたのか、奴はその話を大っぴらにするようになった。
告白する勇気なんてなかったので、言いふらされるのは恥ずかしい気持ちだけだった。だから僕はその度に奴に突っかかって、黙れよと怒っていた。
それが楽しかったのか、段々とエスカレートしていき、奴はその子の容姿だとかまでからかうようになり、僕は迷惑をかけたくない一心で、怒りをぶちまけていた。そのうちクラス全員に、大っぴらではないものの、会う度にその話をされるようになった。

ある日、部活の帰りで素振り用の木刀持って、教室までの廊下を歩いていた時、ある教師に、話しかけられた。
「お前、いじめられてないか?」
そう言われた瞬間、僕は木刀を固く握り締めていた。認めたくなかった。弱者、そう言われた気がした。

ふざけんな、あんな奴ら、殺してやる。

いじめの結末の多くは、自殺になる。不登校になる。僕は明確にここで狂っていた。自身にではなく、他者に殺意を抱いた。
夏休み、奴らと会うことがなくなり、僕は暴力に固執するようになった。殺す殺す殺す、現状を打破するにはこれしかない。だから8月31日の夜は眠れなかった。来ないで欲しかった。けど来た時のシュミレーションは何度も繰り返していた。

迎えた始業式。奴は性懲りも無く同じネタでからかってきた。馬鹿馬鹿しい。僕の気持ちはもう冷え込んでいた。僕は奴を追いかけ回して、奴は渡り廊下のガラス戸を閉じて、鍵を掛けた。その中で、馬鹿みたいに笑っていた。

僕はガラス戸を素手で叩き割って、一番でかい破片を手にし、割れた穴から手を伸ばした。奴の、首元目掛けて。

それが止まったから、僕は今まともに生きられている。何度か授業を受けた、家庭科の先生が僕の腕を掴んでそのまま保健室まで連れ込んだ。腕はガラスで切れて、血だらけ、破片も少し、皮膚に入っていた。

教室に戻った後、誰も笑っていなかった。何も知らないクラスメイトが一人、自殺未遂とか言い掛けたが、椅子を蹴飛ばして一瞥したら、それ以上笑えなくなっていた。

事件はあっさりと収まった。ちょっとした口論で、ガラス戸をぶち破った。弁償。教員たちとの面談を終えて、奴と教室を出た時、「お前、本気でそういう事すんなよー」と言っていたが、もう余裕はなくなっていた。

その後は誰も関わってこないのをいいことに、僕は勉強して、そこそこの、でも当時つるんでいた仲間たちでは絶対に行けないような進学校に入った。ああ俺も同じぐらい、勉強なんてめんどくせぇと言いながら、わざわざ、彼らと試験会場で会って、同じレベルだと誤解させるように、実力より格下の高校を滑り止めに受けてまで、相手を嘲笑うように行動した。

高校に入ってからは順風満帆で、風邪もひかなくなり、友達もまあまあいた。圧倒的に違ったのは、彼らを下に見るようになったこと。これから、コイツらに何か悪意を受けたら、最終的には、暴力を振るえばいい。
でも奴と出会って以降、怒りの閾値を超えることは自然となかった。あの時程じゃない、そう達観視できるようになった。だってあの時、奴に向けた感情は、明確な殺意だから。

僕は大きな間違いをした。あの事件以後、好きだった子とは、当然話も出来なくなったが、もうその表情は、悲しいような、恐れているような、僕を見る目は、そんな風に変わっていた。
僕は今も彼女に謝れずにいる。あの時、見るべきだったのは、奴ではなく彼女だった。
それ以降、女性と仲良くなると、なんか影があると言われるようになった。別に詳しくも何ともないのに、犯罪に詳しい女性から、犯罪者の話をされる事もあった。なにそれ?僕にはそんな奴らの気持ちなんてちっとも分からない。ただ第3の選択肢については、分かる。生きるか、死ぬか、消すか。

社会に出てからの方が、はっきり言って楽だった。物理的に相手を毀損する必要なんて、ない。距離を作ればいい。嫌いな奴とか、イライラする連中から、離れればいい。いじめられたことをカミングアウトしている人にも何度か会った。今だって辛いとか、あの時ああいう経験があったから、今もうじうじしてしまうとか。

同じ経験をしている癖に、僕は相談を受ける側に永久に立てない。人生で一番つらかったことを話しましょう、そういわれる会でも、絶対に話すことはできない。だから今悩んでいる10代の君たちにも、何も声はかけてやれない。スクールカーストなんて、僕は知らない。その経験以降、いじめを見たこともないし、されたこともない。たぶん僕もスクールカーストに属していたけど、その時の経験なんて本当にない。不登校になった同級生を一人見たことがあるし、話したこともあるが、最後まで理解できなかった。

僕は明確に、君らの敵なんだ。一度でも、心に殺意を抱いたら、もう人間じゃないんだよ。

だから君らに寄り添うのは僕じゃない。他の誰かだ。色んなnoterさんの言っていることは、全部正しい。逃げよう、無視しよう、誰かに相談しよう。全部正しい。

この記事はその解答にならない。完全に間違っている。この日本に住む10代の皆さんの中に、僕と同じ気持ちを抱いてしまった人がいるなら、もう二度と言わないでほしい。考えないでほしい。暴力で人は簡単に毀損できる。でもそこに、明確な殺意があるかないかじゃ全然別。

そういうことで解決できるという記事も、書籍も探せばあるよ。でもその先を書いたものは、きっと少ない。本当はこうなるんだ。人間じゃなくなるんだ。それに共感してくれる人は絶対にいない。絶対に許されない。

捨ててしまえ。ナイフも拳も、包丁も。皆君を殺す気なんてないよ。結果としてそうなっているのは止めなきゃならない社会問題だけど、君個人がそれをやる必要は、ないよ。だから絶対にここに来るな。泣きわめいても逃げてもいいから、絶対に人間を辞めるな。

サポートはお任せ致します。とりあえず時々吠えているので、石でも積んでくれたら良い。