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因果を煮込む黒鍋と夜のプールサイドfeat.#うちの瞬殺飯

あーっ、生きているだけで暗黒が溜まってゆく全く因果因果と嘆く、それどころじゃねぇ。
もっと切迫した暗黒があるのに、何故それを見ようともしないお前はぁ!と、ど平日の真っ昼間から喚くには理由がある。

So!冷蔵庫である。

一体全体どれだけの人が「わかるぅー」なんていうのだろうか分からんが、冷蔵庫は地獄だ。いや、地獄に一番近い存在になりやすいのが、冷蔵庫だ。使い切れなかった食材、規格でかすぎ食材、冷凍焼け寸前の食材、要するにてめぇの計画性のなさ故だろ、そう言われちゃ立つ瀬がないが、こればっかりは努力、試行錯誤の結果だ。失敗だけど褒めてやりたい。なのでここからそこに至る切実な思いの丈を、最近はまり始めた日本語ラップ風で説明しよう。

OK,胸に手を当てて考えてみる。昨日居酒屋でずっと二人飲み明かしたよな、ずっとずっと友達だって、昔の俺は本気でそう思ってた。だけどお前、終電なんかまだ、全然まだある時間で、そろそろ帰るわ、そんなこと言う。なんだよお前飲めねぇのかよ、ひよってんのかよまだ30だろうそれでいいのかよお前の人生。そういうのはいつもお前が言ってた話だろう?いつだってこの後、カラオケじゃねぇの?クラブじゃねぇの?聞く前にお前の指輪が光る。暗くあせたそんな色。
一人取り残された居酒屋で、一人想う。昔はきっと、こう思ってた。あれは手枷で、愛は嘘で。皆で囲む食卓は温かいなんて、惣菜出てきた瞬間冷え込むハート、そんな言葉が、一人ビール、そんな心に刺さって抜けない。
待てってお前、そんなに先を歩かないでくれ。置いてかないでくれ。空かないグラス、溜ってく雫。このさみしさは、一人だからじゃない。
俺一人だって何でもできた。天上天下唯我独尊だった。飯の苦労なんてしたことなかった。いつだって誰かが作った飯を食って、探しさえすれば食いたいものなんて手に入る。台所も冷蔵庫も、使ったのは何年も前、けれどもそこを片付けてくれたのは、田舎から来てくれた母さんだった。
お前は本当に、そんなんでいいのか?激しいロックが耳をつんざく。でもそれは社会にじゃない。俺なんだろうね。
やんなきゃいけないことがある。俺があいつより偉いなんて、何にもしてないのにそれはねぇだろ。
くだらねえネオンが、胸を突き刺す。帰ろう。そんで、ちゃんとしよう。

キッツぅ!

8割方妄想により作り上げましたが、こんなこと。
放ちたいリリックはまだまだあったけど、今日は結果だけ言おう。
自炊もラップもまだまだ、ビギナーなのだよ。買い物の時間、終電から閉まるまでの数分、作る飯は夕飯のみ、そんなのきっとラーメン屋で食ってもいいのだけど、そうじゃない。今の俺はD.I.Yここで引いてちゃ進めない。だけど追い立てるは時間、出来ることなんてそんなにない。明日の為に早く寝たい。だけども俺はちゃんとしたい。だからいつだって瞬殺してる。のこった奴ら余った奴ら、冷蔵庫に全部しまって思う。全部を飲み込む、黒い鍋があればいい。今日の悲しみも明日の希望も、全部まとめて煮込めればいい。もちろん全部、俺の為だけに。

準備するもん
・スキレットor耐熱皿
・EXVオリーブオイル(∞)
・バケット(∞)
・にんにく(一片)気合でスライスしろ、怠けるな。
・鷹の爪輪切り(適量)
・塩(適量)
・具(極論入ればなんだって良い。マッシュルーム、ブロッコリー、海老、その辺が正解。キノコならなんだって良いし海鮮だって好きにすれば良いとにかくブチ込めそれが正解)

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要するにアヒージョである。オシャレなバルでも、そっこらへんの飲み屋でも普通に出してるあれ。
びっくりするぐらい簡単である。弱火で油ににんにくと鷹の爪の風味を移したら他の具材ブチ込むのみ。足んなくなったら別の具材入れても良いし、塩味が足んなければ塩とかアンチョビフィレ入れても良い。究極の自由だ。ここで余った具材全部処理してまえ!
でもこんなん作ったらきっと美味しいワインが飲みたくなるだろう、僕らにそんなオシャレは辛え、Gin&Tonicだ。 画像2

「なんだあれ?」「うっわぁ~」そんな声があるかもしれんそうだよ今日僕は一目惚れをしてしまった。だからこれだけ、超浪費。やまやで大量に使用するオリーブオイルを調達後、お酒コーナーを巡回している時に、見つけちゃったのである。

なんだよ『SILENT POOL』って。1500記事ぐらい書いても絶対出てこないこの詩情、ノスタルジー、透明感。ジンなんてタンカレーNo.10だけありゃ全然いいんだよなんて嘯いていた私は一体なんだ。ちなみに極めてテキトーな感じで作ったが、完璧にも程があった。うっそだろこれめっちゃテキトーだったのに、にもかかわらずよ。

夜11時、怒涛の仕事と頷くだけのつまらない飲み会を終え、ぼろっぼろの体。本当はどっちも、断れる話。なのに誰かと仲良くなることもできず重なる酒のグラス。
脳内はふわっと温まり、視線は左右に揺れる。街灯の明かりが頭の中で滲む。何をやっているんだろう。そう思う。皆挑戦しているのに、みんな飲み会で堂々とした顔して武勇伝話しているのに。
帰り道、ふと、中学校のプールの電気がついているのに気が付いた。幻だ。柵に近づいて、でも、触れないぐらいの距離で、プールを見つめる。プールサイドに佇むのは、喋ったこともない、美人だけど切れ目のきつそうな先輩。彼女がほほ笑んだその瞬間を、私は、見てしまった。

エクストラ蛇足のサイレントプール。そんなことをしてしまう魔力。
ええっと以上。一人暮らし快男児のリアル瞬殺飯、であった。
家庭には一ミリたりとも参考にならんが、一人暮らしでも冷蔵庫の地獄に向き合うお方もいるんやと、そんなことを思ってくれれば嬉しい。

サポートはお任せ致します。とりあえず時々吠えているので、石でも積んでくれたら良い。