親父の叱り方とマネジメント
息子と銭湯に入っていると、同い年くらいの小学校低学年と思われる少年がお父さんに怒られていた。
息子はぼそっと「あんなお父さんだと子どもってかわいそうやな」
まさに感じていたところで、よく見ているなと感心した。
その子は「前にも言ったよな。覚えていないのか。」という口調で詰問されていた。威厳がある風にふるまいたい感じがわかる。
息子の感想は鋭い。
おそらく自己満足で叱っていることが容易に想像できた。周りの目を気にしてパフォーマンス的に叱ってる風の親も珍しくはない。
教育界では"スタイリスト"タイプと呼ぶ。
このケース、本当に前にも注意したのであれば
①子どもの理解力がともなっていないのか
②父親の伝える力が不足しているのか
おおきくはどちらかである。
いずれにしてもミスマッチに気づいていないことが問題だ。マネジメント力の問題でもある。部下指導もきっと得意ではない。
前者であれば、わかるように説明しなければならないので方法を変えるべきである。後者であればスキル、ノウハウ、マインドの観点で努力すべきは親である。
多くのケースを見てきているのでわかるが、こういった場合、その父親自身が同じように叱られてきた可能性が高い。または現状、そういったストロークを受ける残念な職場にいるのかもしれない。
今回の例では子どもは当然学習しないので次も同じことをするだろうし、なぜ怒られているかわからないと混乱をきたし脳に影響がでることも珍しくない。この場合は治療が必要になってしまう。
また、父親も自分では気づかないだろうから同じパターンを繰り返す。結果が出なかった場合手段を改善すると言うマネジメントサイクル思考が仕事でも身に付いていないと想像できる。
『ダメだよ』と言葉にするものの、本気で止める気がない場合も子どもはそれに気づいて足元をみてくる。そしてギリギリを狙ってくる。なめられる。
こちらが本気度を込めて言葉を発するとまずやらない、そんなものである。
子どもの未来、大げさに言えば次の次の世代までへの想い、覚悟の問題である。
あまりに方法論を知らないひどいケースにでくわすと初対面でも注意してヒントを出すこともある。
「お子さん、理解できてないですよ」「その言い方ではわかりませんよ」
と、声をかけると唖然とされることがあるが、その子の人生にとって少しでも救いになればよいと思う。
ちなみにアプローチの仕方はほぼ無限にある。
まずは本人の認識をきくこと、価値観を押し付けない。
どう思う?という質問も相手の発達段階によるので絶対的なやり方ではない。
決めるのは自由だろ、とか自由を履き違えてはいけない。
子育てに正解はないが失敗はある。なって欲しくない未来はあるはずだから。
そして、何より子どもに親は選べないのだから。