読んでもらえる文章にするための「パワーワード」の作り方
今日はぼくの企業秘密的な話をします。
ぼくの文章はたまに「わかりやすいです」とか「気づけば最後まで読んじゃいました」などと言ってもらえるのですが、自己分析では、そこまで文章がうまいとは思っていません。
じゃあ何が違うのかというと、「パワーワード」というものを巧みに使えているからなんじゃないかと思っています。タイトルはもちろん、見出しや文章の随所に「パワーワード」を入れることで、読み手を惹きつけることができているのではないか。
パワーワードという言葉はどうやら「意味がわからないけど強い言葉」という意味で使われていたこともあるそうですが、ここでは単に「人を惹きつける力のある言葉」という意味で使います。
パワーワードは「香辛料」
パワーワードは香辛料に似ています。
チーズとソースだけのプレーンなピザは、ずっと食べていると飽きてしまいます。でも途中でタバスコをかけると飽きずに食べられますよね? 素うどんも途中で七味を振ると、ちょっと刺激されて食欲がわいてきます。
それと同じように、タイミングよくパワーワードを使えると最後まで飽きずに読んでもらえるようになります。(使いすぎるとバカみたいな味になるので注意は必要ですが。)
ではパワーワードは、どうやって作ればいいのでしょうか?
一瞬で意味がわかるようにする
これはパワーワードを作る「以前」の話かもしれませんが、やっぱりパッと見て一瞬で意味が伝わらないと読んでもらえません。
「……これはどういうことだろう??」と一瞬でも考えるような文章は危ない。最後まで読まないと意味がわからないものもNG。パッと見て、パッと意味がわかることが、なにより大切です。
「厳しいなあ」と思われるかもしれませんが、それくらい世の中にはコンテンツがあふれているので、一瞬でも意味がわからないとスルーされてしまいます。せめてタイトルや見出しは、一瞬で理解できるものにしておく必要がありそうです。
日常で使われる言葉を使う
あと、ポイントとしては「話し言葉」にするということもあります。普段の生活で会話に出てくるような言葉を使うということ。
ぼくのnoteのタイトルはかんたんな言葉ばかり使っています。
こんな感じ。
これがもし「note執筆継続の秘訣」とか「最低限押さえるべき評価基準」とかだったら少し身構えてしまうでしょう。
文章を書くとなると、ついついかしこまってしまって、かたくなりがちです。そうではなくて、肩の力を抜いて、誰かと話すときのような言葉選びをする。そこがポイントだったりします。
「あるあるの力」を使う
これもよく言うのですが、「共感」の力も使えます。
いわゆる「あるある」ですね。「あー、そういうことあるある」「まさに!」って思わせられるものはパワーワードになりやすいと思います。
これは見出しに使ったフレーズですが、「あるある」「たしかに」と思ってくれる人はいるんじゃないかなと思います。
共感を呼び起こすことができると自ずと心を動かすことができます。感情を動かすことができる。パッと読んで心が動く言葉はパワーワードです。
具体的な数字を入れる
数字を入れるというのもよく使う手です。
人間には「なぜか数字に目が行く」という習性がある気がします。
こんな感じで数字が入っていると自然と目が行きます。
「◯つの方法」とか「◯つのポイント」みたいなタイトルは、若干インフレ気味ですが、それでもまだまだ使えると思います。
このように年齢を入れるのも効果的です。
「38歳」と具体的な年齢を入れることで、38歳の人には当然刺さります。また、その前後の人も気にしてくれます。
38歳より年上の人は「38歳といえば、ちょうど転職した歳だな……」と考えたりしますし、38歳以下の人であれば「38歳って、どういう心境になるんだろう……」と考えたりする。
これが「30代後半」とかにしてしまうと効果は半減です。あえて年齢を限定して、数字をハッキリと出すことで深く突き刺すことができるわけです。
「感情に直結する言葉」を意識的に使う
あと、感情に直結する言葉ってあるんですよね。
「成長」よりも「成功」のほうが感情に直結するとか。「優秀な人」というよりも「デキる人」のほうが一瞬で心に届いたりするとか。「知的」とか「頭がいい」とか「東大」みたいなワードも感情にズバッと来ます。ビジネスパーソンや経営者には「戦略」が効いたりもします。
なんか気になる言葉。心がザワザワする言葉というのもあります。
「末路」とか「企業秘密」とかもなんか気になるワードです。「嫉妬」とか「麻薬」もそう。そういうちょっと引っかかるトゲトゲした言葉をチラッと使うのも技だったりします。
あんまり使いすぎるとイヤな感じのする文章になってしまうので、ほんの少し隠し味程度に入れるのがポイントです。
「AはBです」と言い切る
あえて言い切る、というのもパワーワードの作り方です。「AはBです」というように短くスパッと言い切る。
なるべく余計なものを削ぎ落として、日本刀のような切れ味を出す。するとズバッと心に届けることができます。
あえて一行だけ独立させて、リズムを変える
ついでに言うと、インパクトのある一行を文章のなかでポンと出現させて、印象的にするという技もたまにやります。
こんなぐあいです。
音楽も、同じリズムで同じような調子でダラダラ続くと眠くなってしまいますよね。でも、一瞬沈黙があって、ワッとサビが入ると「おお!」となる。それと同じような感じです。
ダラダラ~ッと文章が続いていたら、目を覚ますように「パン」と言い切りの一行を入れる。すると読み手をハッとさせることができたりします。
「たとえ」と身体的な表現
「たとえ」もうまく入れられるとパワーワードになります。
こういう感じです。
うまく「たとえ」を使えると身体感覚に訴えることができます。
「嫉妬したら手をつなげ」というのも「嫉妬したら助けてもらおう」だとあんまりグッと来ませんよね。「手をつなげ」と書いてあるから、みんな手をつないでいる身体感覚が呼び起こされる。だから、心に残るんです。
「名言感」を出す
あとは、名言っぽいものにするというのもありますね。
このあたりは名言系です。
「お、いいこと言うね!」みたいなフレーズにできるとパワーワードになります。
パワーワードを見つけてみよう
「いや、その名言っぽいものが書けないんだよ」という意見もあるでしょう。たしかに。それができれば苦労はないですよね。
パワーワードを書けるようになるためにも、まずは日常生活の中で耳に残る言葉を集めておくのはどうでしょうか?
ぼくも生活のなかとか取材のなか、本を読んだりするなかで「これは印象に残るな……」「パワーワードだな……」というものをメモしています。
福田元総理の「あなたとは違うんです」発言とか(古い)。「アベノマスク」とか「ガースー黒光り内閣」とか、ちょっとした言い回しでもいいでしょう。印象に残ったらメモしておく。
すると、自分が言葉をアウトプットするときの参考になるかもしれません。
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まずタイトルや冒頭でつかむために、強めのワードを意識してみる。文章が長くなってしまって途中で飽きられそうになったら、小見出しでパワーワードを使ってみる。言い切りの一行を入れてみる。
いいタイミングで「パワーワード」という香辛料を振りかけることができると、たのしく最後まで読んでもらえる文章になるはずです。ぜひ試行錯誤してみてください。
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