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フリースクールが進化すれば国の教育に良い革命が起きる

 フリースクールは国家の根幹を崩しかねない。

 東近江市の市長が発言して炎上した。私も(政治家が)言ってはいけない事だと思っている。

 しかし、不登校の子供の周りの環境が良くなれば「フリースクールが社会の根幹をいい意味で変えていく未来」は実現すると考えている。

  • 学校を少々休んでも勉強の遅れはフリースクールや塾やインターネットを活用して取り戻せる。

  • 社会に出てからも「不登校をしていたこと」がダメージにならない。

  • 不登校の子供の周りに寄ってくる大人に悪い人がいなくて人間不信にならない。

  • 社会への適応がどうにもならなくなった時の最終手段も教えてくれる。

 こんな未来になれば子供も親も不登校を堂々と選択できるし、不登校があまりにも増えるとかっこ悪いので学校側も良い環境を作ろうと一生懸命になる。

 現実問題としてフリースクールの教育はあまり進歩していない。
 私はフリースクールに通っていたわけではないが、自分の子供のためにフリースクールを立ち上げた人と知り合いになったことがある。その人自身は基本的にはいい人なのだが、子供はなるべく危険な刺激からは遠ざける教育方針だった。少なくとも私にはそう見えた。その子供は障害もあったが不特定多数の人が集まる場で居場所を見つけることができていたし、悪い虫がつかないように細心の注意を払う必要はあまりない気がする。

 統計的には不登校の子供の3パーセントがフリースクールに通っている。つまり97パーセントは通っていない。フリースクールに通わない理由は大きく三つあり、1、高い(月3万くらいかかる) 2、遠い 3、行きたくない 
 1と2が行きたくない理由の中心に見えてしまうが、「フリースクールがお手頃価格で子供が自転車で動ける距離にあったら通わせたいですか?」と聞かれたら不登校児の親はどんな回答をするだろうか?
 「通わせたいね。」と答えてくれる親も多いと思うが、「フリースクールに通わせるお金があったら塾に入れたい。」という考えの親の方が多いと思う。
 3の行きたくないは子供の本音だ。フリースクールの空気が自分に合っていないと直感したわけで、もし行きたくない習い事に無理して通えたら学校も無理して通える。

 みんながフリースクールに通いたくなれば、まともな事業者が参入してくれて絶対数が増えて「遠い」問題が緩和されるし、生徒が増えれば一人当たりの塾代も下げられるから「遠い」問題も緩和できる。テレビも自動車もはじめは金持ちしか買えなかったが「欲しい人」がたくさんいることが分かって庶民にも買える製品が作られていった。

 これは貧困ビジネス全体にも言えることだけど、まともな事業者が参加してこないから悪徳業者(フリースクールの場合は「学校に戻せます」と言ってお金をぼったくる業者)がはびこってしまう。 

 フリースクール関係者の書いた不登校の親向けの本も読んでみたりもしたが、だいたいが「学校やめても何とかなるよ。」と無責任に励ますものが中心だった。

 「何とかなるよ」と成功事例(社会人として普通の職業に就いた人)ばかり持ち出されて説明されても正直に言ってもやもやが残る。
 普通のレールに乗っていた人でも当たり前の暮らしをするのが大変な時代なんだ。うまくいく人だけじゃないだろうと思ってしまう。

 社会への適応がうまくいかなかった場合のトレーニングはたとえやりたくてもできないと思う。具体的には生活保護のもらい方(制度の勉強だけじゃない実践的なテクニックも含めて)とか障害年金のもらい方とか当事者会の見つけ方とかそんなことを教えていたら親が辞めさせてしまうだろう。

 実際問題、社会のレールから外れた後の生き方を知っておくと逆に前向きに生きられる。「失敗したらどうしよう?」から「これだけの失敗だったらこれだけのダメージで修復にはこれだけかかって、、、」と具体的に考えられるようになった方が新しい事にチャレンジしやすい。上級者になってくると「この作戦がこけたら、この手で挽回、それがこけたらこの手」といった感じで二重三重に失敗をまとめる手を持っている。だから安定感がある。

 多くのフリースクールは自由に学ばせる方針が多い。教育の目標を作るのは結構なことだと思う。達成しようと頑張ればの話だけど。
 6年生になってもずっと粘土をこねている子供が出てきたらどうするか?
 こういった問題に対策を立てているフリースクールはあるのだろうか。
 「自由に学ぶ」という考えは理念としては共感できるが実践するには、「先生に質問できるだけの学力」が欲しい。質問できる学力がない子供を「自由に学ばせる」と言って置いてきぼりにしたら基礎学力が伸びなくて大人になって不自由になる。
 自由に学べる子は文化資本がある家庭で育っている場合が多くて、結果的に不登校が「家で勉強を教えられたり、親の情報収集力があれば復活するアクシデント」になってしまっている。時代劇に出てくる病気のシーンのようだ。

 フリースクール関係者のよく言うセリフに「好きなことだったら頑張れる」というのもある。
 この手のセリフは「本当に好きなことを頑張ったことのない人」だから言えると思う。
 好きなことをやろうとすると「実現するためにやらないといけない事」がいっぱい出てくる。めんどくさいし手間も出費もかかる。苦労しても報われないで好きなことが嫌いになってやめてしまう事も多い。こういった事を少しでも知っていたら好きパワーを過信するなんて絶対にしない。

 フリースクールは普通の学校と違って組織に縛られず完全に一匹狼だ。同業者組合もあるが手取り足取り経営の面倒を見てくれるわけでもない。
 個人塾に近いわけで何でもできる分、どんな教育もできてしまう怖さもある。止めてくれる人がいないのだ。
 子供に「自由に学ぶ」大切さを説くならスタッフや経営者の大人の皆さんは「自由に教える」事と向き合っていただきたいものである。

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