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社内起業家に向いている人、向いていない人

 社内起業家に向いている人と向いていない人がいる。これから伝える内容が全てではないけれど、これを聞いて「自分は向いていないんだ、じゃあやめておこう」と思った人は、そもそも向いていない。上司が部下を見極める時の一つの参考として、書き留めておく。

1.現実主義×遂行力×リスクテイク

 社内起業をする際に必要なスキル、テクニックはたくさんある。しかし、それはあまり重要ではない。勉強して見につくものは勉強すればいいだけだ。そもそもたくさんありすぎて、最初から社内起業家として十分なスキルを持っている人なんておそらく存在しない。

 どんな特性が必要か?それは、現実主義×遂行力×リスクテイク。これらを兼ね備えていることだ。でも、実際はこの3つを兼ね備えている人は少ない。何が問題になるかをこれから解説する。

2.なぜ現実主義でないといけないか

 起業するということは、何かを売るということだ。売るということは買う人がいるということで、主人公は顧客だ。どんなに起業家が夢を描いても、買ってくれないサービスは意味がない。どんなに美しい未来を描いても、それを実現出来なくては意味がない。現実は自分の思い描いた通りには動かない。だから、それを自分の目の前に突き付けて、その瞬間これまでの仮説を投げ出して、目の前の事実を受け入れる。これが出来るかどうか。

 どうも最初の仮説を捨てられない人が多い。僕はよく、アドバイスを求められる。「こんな事業を考えたんだけどどうかな?」それに対して、なるべくその人の考えを尊重しながらも、それに関連した事実を突きつける。そこで、「なるほど、じゃあここをこう変えたらどうだろう?」となればいいのだけれど、大概は企画は変えずに解釈を変えようとする。

 こういう人は企画すら通すことが出来ない。課題意識や上辺のテーマは美しいのだけれど、その企画書の中に困っている顧客の姿が見えない。その商品・サービスを待ちわびている顧客が見えてこない。

3.遂行力

 自らの頭、手、足を使って遂行する力が必要だ。そのためなら何でもする。言い換えれば、泥臭いし、地道だ。疲れるし、時間が掛かる。人から攻撃も受けるし、孤独にもなるし、不安にもなる。これは、本当に地味な仕事だ。でも、今後の濃密で険しい道を突破するために、どうしても必要なスキルだ。

 新規事業を進める上で味方が本当にいないという状況はよくある。というか、ほぼそんな状況が続くだろう。この時、自分の手を一切使わないと決めると何が起きるか、自分以外にモチベーション高く取り組んでいる関係者はいない。そんな中、リーダーが自分は手を出さないと決めていたら、何も進まない。それに、誰もついてこない。

4.リスクテイク

 新規事業開発がうまくいく確率は、失敗する確率よりも低い。事業立ち上げ時はたくさんの決断が必要だが、その際は十分な情報がない方が多い。つまり、失敗したり判断ミスをするリスクが高い。その前提で進めることが出来る人でないと、当然新規事業開発など出来ない。

 ただ、リスクを嫌う人はそもそも新規事業開発などしようと思わないから、これは要らぬ心配かもしれない。

5.最後に

 このように、新規事業開発に向いている人は、現実主義×遂行力×リスクテイクを兼ね備えた人だ。しかし、最初から全てを持っている人なんていない。これらはある程度育てていけるものだ。今持っていなくても問題ない。ただ、これが必要だと言うことを知っていれば、納得していれば問題ない。

 一方で、例えば、どうしても性格的に遂行力が低い人がいる。僕なら10秒で決めることを1日経っても決めない。堪り兼ねて、アドバイスをし、答えを言っても、まだ「うーん」と言いながら悩み続ける。こういう人は厳しい。もしそんな部下が新規事業開発をしたい、なんて言ってきたら、僕は「お前には向いていない」と答える。すぐに膨大な業務量で押し潰されるだろうし、それをカバーする周りが大変だからだ。

 こうして、篩に掛けると、新規事業開発に向いている人は大体10人に1人いるかいないかで、確率的にはそんなに多くない。ただ、別に新規事業開発が全てではない。結局、自分に向いている仕事を見つけて、会社に求めてもらうのがサラリーマンとしては一番幸せなことだと思う。だから、向いていることを向いている人がやろう。それが一番だ。


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