見出し画像

自伝”光の啓示”「第4章 芸術は爆発だ!in 備前」

こんにちは、現在は世界初の新技法「ホログラムズコラージュ」のパイオニアとして活動しているTakayuki Hibinoと申します。

定期購読マガジン「光の啓示」では、1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになった光の啓示から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていく実話です。

世界情勢が急激に変化していく中で、16歳からきびしい世の中をサバイバルしてきた私の経験が少しでもあなたにお役に立てれば幸いです。

私のHPはこちら
http://takayuki-hibino.wixsite.com/takatyuki-hibino

第4章 アートコンセプトのつづき 芸術は爆発だ!

現代アートの素材としての備前焼。
新たな備前焼を試みる作品。

アートコンセプトは、「時間(瞬間)具現化する」。
目に見えない瞬間を形にとどめた作品。

「芸術は爆発だ!」ということで、
まずは、空気が破裂した瞬間の形を
とどめた作品を作ることにした。

作り方はいたってシンプル。
備前の土のかたまりに、爆竹を刺して、
「バーーーーン!」
と爆発させるだけだ。

だだし、土台の形は「球、立方体」など、いろんな形を用意した。

そして、外に出てさっそく、
備前の土のかたまりに、爆竹を刺すのだが。
しかし、ここでいろいろ試さなければならなかった。

ひとつめは、土台になる土の粘度。
土が硬いと爆竹でもコッパミジンにあとかたもなくなってしまう。
やわらか過ぎてもうまく破裂しない。
この土の固さのさじ加減を試さなければならない。

ふたつめは、爆竹を刺す場所。
意図した形にするには土台の形や、
粘度によって爆竹を刺す場所を試さなければならない。

みっつめは、爆竹を刺す深さ。
意図した形にするには土台の形や、
粘度によって爆竹を刺す深さを試さなければならない。

よっつめは、爆竹を刺す角度。
意図した形にするには土台の形や、
粘度によって爆竹を刺す角度を試さなければならない。

まずは、土台づくりの土練りから形成。
これは陶芸家の殿の経験から、殿にお願いした。

そして、さまざまな形の土台ができあがった。

さっそく、球の土台に爆竹を刺して。
「バーーーーン!」

おおっ!
うまく行った!

さすが粘度の高い土だけあって伸びもいい。
いい作品ができる。

画像1

調子に乗って、爆竹をバンバン破裂しつづけた。
超楽しい。
しばらくすると、
伊部中に爆竹の音が鳴り響いていたせいか、
殿のお父様、十七代目 木村桃山氏が、
様子をみにきた。

画像2

やばい、爆竹の音が伊部中に響いたので
てっきり注意されると思った。
しかし、そうではなかった。

お父様いわく。
「面白いことを、やっているな。」
「伝統を気にせず新しいことを、どんどんやってくだい。」
「私も、このように新しいことに挑戦したかっのですが、
できなかったので、息子には新しいことをどんどん挑戦して、
備前焼をもっと繁栄してほしい。」
とにこにこしながら話してくれた。

これが伝統を受け継ぐということなのか、
備前焼を繁栄させるために新しいものを取り入れて、
思考錯誤し試みる。

伊部中にバンバン爆竹音が近所に響けば、
苦情も来るかもしれない。
それでも、伝統をいまの時代に合わせて
生き残りを試みている。

私は、このふところの深い所に頭が下がった。

私なりにこれが伝統を守るといことと解釈した。
よく、焼けが悪い作品を割るところをみるが、
これも伝統を守るということ。

いままで、伝統工芸は私には関係ないと思っていたので、
ぜんぜん勉強しなかった。

しかし、備前に来て伝統の奥深さを知ったと同時に、
備前焼は、平安時代、伊部の平野部の山裾にて、椀、皿、瓦などを焼きはじめたのが備前焼の起源だと言われている。

殿は26代目ということは、それだけ生き残ってきたといことだ。
生き残ってきた歴史があり、生き残るノウハウがあるということだ。

私も、アーティストとして、
そして、私が考案した「ホログラムズコラージュ技法」が
今後も生き残るにはどうすればいいのか。


そのヒントがこの備前にあるかもしれない。
この機会に、伝統工芸とその生き残りのノウハウを学ばせていただく。
そう思いながら、爆竹を鳴らすのでした。

つづく

ここから先は

0字
このマガジンを購読すると、光の啓示を毎週お届けします。月に2ほん以上読むなら、購読のほうがお得です。

光の啓示

¥500 / 月 初月無料

1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになったある出来事から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていきます。

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!