光の啓示「第2章 前例がない!」
こんにちは、現在は世界初の新技法「ホログラムズコラージュ」のパイオニアとして活動しているTakayuki Hibinoと申します。
定期購読マガジン「光の啓示」では、1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになった光の啓示から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていく実話です。
第2章 アーティストたちとの出会い その1のつづき 前例がない!
1997年、名古屋市の矢場町公園で2日間行われた、
アートイベントに参加することにした。
そのアートイベントは、アーティストがブースも持ち、
そこで作品を展示して販売もするというものだった。
いまでいう、クリエイターズマーケットなのだろう。
私はこのイベントで、
なにかアクションを起こしたかった。
理由は、地元にアーティストとして認知してほしかったからだ。
つまり、存在を示したいのだった。
そこで、ブース出展のほかに、
ライブペイントをイベントの
ひとつの企画として運営側に提案した。
しかし、このライブペイントを行う場所が問題だった。
その場所は、名古屋市の管理する場所だったからだ。
イベントの運営側も「名古屋市の許可を取ってください。」
とのことだった。
やりたければ、「自分で許可を取ってください。」ということだ。
そこでさっそく市役所へ、
案内通り担当に許可をとりに、
しかし、そこで「企画書はありますか?」と
いきなり聞かれた。
「企画書?」
そんなのもがいるのか、
知らなかった。
企画書なんて作ったことがない・・・・・・。
しかし、とっさに出てきた言葉は、
「明日、持ってきます。」だった。
企画書なんて何も知らないのに・・・・・。やばい。
担当者に告げたあと、
その足で図書館へ、
企画書の本を必死で読みあさり、
メモを取った。
はじめてだったが、
徹夜してライブペイントの企画書をつくり、
翌日、名古屋市役所に許可を取りに行った。
しかし、その結果は、「NO。」だった。
「チーーーン!」
理由は、役所の定番お断り文句の
「前例がないので、許可できません。」でした。
「えーっ、昨日言ってよ・・・・。」
役所は余分な仕事が増えることを極端にいやがる。
そういうことだろう。
しかし、私はあきらめなかった。
担当者に向かって。
「そうなんです。前例がないからやるのです。」
「前例があっては、アートではありません。」
「前例がないからやる価値があります。」
「それがアートです。」
「このイベントはアートイベントです。」
「だから、前例がないことをやらなければ、
アートイベントとして成立しないのです。」
前年、パルコ・アーバナート#4で、
審査委員賞を受賞した理由も、
ホログラムズコラージュという技法が、
美術史になかった。
つまり、前例がなかったから賞を取れたのだ。
前例があっては認められない、価値がない。
前例がないことをやらなければ、
アートではない。
翌日から何度も、ダメなところの修正案を提出し。
許可してもらえるよう説得を重ねた。
最後には担当者もあきらめたのか、
ライブペイントの許可が下りたのだ。
さっそく運営側に報告して、
準備万端、アートイベントに参加したのでした。
そしてここでもアーティストとの出会いがあった。
インドの美術留学生・画家のナレンダー・レディ氏だ。
ナレンダー・レディ氏は私のブースに訪れた時に、
展示していたホログラムズコラージュ作品をみて、
「衝撃を受けた」と言っていた。
それからいろいろ質問攻めにあい、
すごく仲良くなった。
当時、彼はインドからの留学生ということもあって、
インドのアート事情にも興味がわいたのを覚えている。
出会ったときの会話は、英語がおもで、
日本語はあいさつていど、
そこで私が日本語を、
彼は私に英語をお互い教えあうことになった。
それにしても、インドの美術大学を卒業してから
日本を留学先に選び、
異国の地で学ぶとは、その行動力には尊敬する。
彼のその行動のおかげで出会ことができたわけだからだ。
このナレンダー氏と出会ったアートイベントでも、
私の他にたくさんのアーティストたちがブースを出していた。
その中で、なぜ私と仲良くなったのか、
縁があるというか、
必然的におきたというか、
ほんと、人のご縁はわからない。
このご縁を引き寄せたこともやはり作品だ。
ホログラムズコラージュということになる。
バリ島のワヤン氏につづいて、
備前焼、二十六代陶芸家・木村英明氏
そして、インドのナレンダー氏、
モノづくりをしているとモノづくりをしている
仲間が自然に集まってくる。
不思議だ。
バリ島からアートコンペに出品するまでは、
ほとんど引きこもり状態だった。
しかし、人、こと、モノに出会うには、
行動しなければ何も起きないことがわかる。
考えているだけではなにも起こすことができないといことだ。
しかも、前例がないことをやり続けなければダメだ
といことがわかった。
このホログラムズコラージュ技法をもっと研究して、
作品を制作して、見せる行動をする。
いまは、これをやるしかない。
「前例のないことをやる、やる、やる!」なのだ。
バリ島から帰国して、
絵を描き始めたことも、
賞を取ったことも
この、ライブペイントも、
世間からしてみればみんな「前例がない。」なのだ。
前例がないから、わけがわからない。
そいうことだ。
その後、このアートイベントのライブペイントで
描いた一枚の絵が、今後の支援者、
しかも超セレブとの出会いにもなっていくのでした。
つづく
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