光の啓示01

光の啓示「第1章 龍!」

第1章 潜入!違法コピー工房その2のつづき 龍!
  

キャンバスを前に途方にくれていた私に、
となりでもくもくと描いていた青年が話しかけてきた。

青年:Draw?(描かないの?)

私:描きたいけど、なにを描けば・・・・・・。

青年:draw this(これ描く)

青年が絵の写真を渡してきた。
それをみると、アメリカンアニメのような作品の写真だった。
当時はなにの絵の写真なのか、
わからなかったが
数年後その絵は、※1リキテンシュタインの絵だったことがわかった。

画像1

私:ティンダック・テリマカシー(いいです)。

  いきなり、こんなの描けないし・・・・・。
  
こうやって、キャンバスを前にすると描けないもんだな・・・・。

しばし、真っ白なキャンバスを見つめていた。

ワヤンは好きなものを描けばいいと言っていたけど。
ウ~~ン。

ん?

見つめているキャンバスになにかがうかんできた。

これは、

龍!

龍だ!

青い絵の具を筆につけ、
そのうかんできた龍をなぞるように筆を走らせた。

線だけの龍。
アート用語ではドローイングというらしい。
いっきに描き上げるまでに1分もかからなかった

できた!

青年:ドラゴン!バグース!
横の青年も、龍にみえたらしい。

こんなのでいいんだ。

しかし、なんでキャンバスに龍が見えたのだろうが?
絵具の描き方もはじめてなのに、
かってに手が動いて行ったような感じだった・・・・。

気がついたら、龍ができていた。
というより、龍のような線ができていたのだが・・・・。

龍にみえる。

他の青年たちも手をとめて、キャンバスの前に集まってきた。
みんなニコニコして口々に、
ドラゴン、ドラゴン、バグース!といっている。

なにか、うれしくなった。

が・・・・・。

絵の具を筆につけすぎたせいか、
時間がたつにつれて、とこどころ絵の具がたれてきてた。
龍が・・・・・。

はじめてのこころみは、
ただの、絵の具が下にたれている絵に・・・・。

絵を描く、初体験が・・・・。
時間よとまれ~。
止まってくれ~。

青い絵の具が、キャンバスの下からポタポタと流れ落ちる。

ひごろは地球の引力など気にもとめたことがない私が、
これほど、引力をいしきしたことがないほどだ。

数分後、
青い絵の具がながれるだけの
みごとに失敗作となったのであった。

青年たちも、自分の持ち場に戻り
なにもなかったのように、もくもくと作業をはじめるのであった。


つづく

※1漫画をアートに発展させたアーチスト、ロイ・リキテンシュタインは1923年ニューヨーク生まれの画家。アンディ・ウォーホールと共にポップアートの第一人者になっており、漫画を拡大したように見える作品が代表的なポップアーティスト。引用 https://renote.jp/articles/4734

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1989年の夏、私がアート活動を始めたきっかけになったある出来事から現在に至るまでの経験や出来事を記憶にある限り綴っていきます。

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