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それDXじゃありません。DXの定義について。

昨今DX(Digital Transformation)という言葉が大流行りである。コロナの影響もあって、新しい生活様式に対応したビジネスモデルへの変革の必要性が叫ばれる中、猫も杓子もDXしよう!という勢いだ。

コロナにおける給付金対応の顛末でも明らかなように、日本のデジタル対応は政府からしてとても遅れていて、実はIT後進国であることがはっきり分かってしまった。コロナを奇貨として、官民共にデジタル化を進めていくことが急務であることは間違いない。

ただ一方で、かつてのビッグデータやAIに続き、DXが"魔法の箱"的なバズワードになりつつあるような印象を受ける。ここで改めてDXとは何なのか?ということについて考えてみたい。

3つの概念

昨今使われているDXという言葉は実は様々な概念がごちゃ混ぜに使われていることが多い。実際には以下の3つのレベル感の概念があり、本来はそれぞれ違うものとして区別される。

・Digitization
・Digitalization
・Digital Transformation(DX)

以下それぞれ解説をしていきたいと思う。(ただしこれは僕の勝手な定義であって、世の中的に公式に定まったものではありません。ただ、こうした曖昧模糊としたワードに対し、自分の言葉の定義を持つことはそれなりに意味のあることだと考えてこの記事を書いています。)

まずDigitizationであるが、これは、アナログな情報をデジタル情報に置き換えることで、例えば紙の稟議を回覧してハンコを押していたものを、電子データ化して電子上で決裁できるようにすることなどを指す。

Digitizationそのものは新たな付加価値を生むものではなく、アナログ→デジタル変換をすることでデジタルデータを蓄積できるようにすることが目的で、次段階のための準備動作という位置づけである。

実は世の中で言われているかなりの部分のDXと呼ばれる取り組みは、このDigitizationレベルに分類されるものではないかという印象を受ける。ただ、これは言ってみれば単なる「IT化」と同義で、進んでいる企業であれば以前から行っていることだ。コロナ禍でこれらの取り組みが大きく取り上げられるのは、日本企業においてまだまだDigitizationの余白が大きいということなのだろう。

続いてDigitalizationである。Digitizationと語感が非常に似ているが、以下のように語源が異なる。

Digit → Digit+ -ize → Digitize → Digitization
Digital → Digital+ -ize → Digitalize → Digitalization

Digitizationは元々はDigitから来ていて、デジタル符号化という意味を持ち、DigitalizationはDigitalから来ていて、まさにデジタル化という意味だ。

例えが良いかどうか分からないが、最近だと僕は友人とオンライン麻雀を楽しんでいる。これは友人と雀荘に集まって遊ぶという行為そのものをDigitalizationしたものだ。(オンラインの麻雀ソフトで自分達だけのルームを作り、同時にzoomを繋げて会話をしながら対局する。はっきり言って雀荘にいるのと全く感覚は変わらない。むしろ点数計算もしなくて良いのでめちゃ楽です。オススメ。)

多くの会社でも「オンライン〇〇」という形で、既存の事業をオンラインで成立させることができないか、という視点で新たな取り組みが始まっていると思う。このように、Digitizationによって符号化したデータを基に、既存のビジネスやプロセスを再構築し、新たに付加価値を生み出す活動をDigitalizationという。

さて、ここまで読んでいただいてあれっ、と思われたかもしれないが、実はこれまで例に挙げたような取り組みは厳密にはDXではない。(しつこいようですが、あくまで僕の中での言葉の定義の話をしています。)

では一体DXとは何なのか?

DXとは

DXとは"Transformation"という名の通り、形質転換である。

形質転換(けいしつてんかん、Transformation)は、細胞外部からDNA を導入し、その遺伝的性質を変える、またその操作を意味する。
ーWikipediaよりー

つまり、DXとは一過性の取り組みや施策のことではなく、ましてやツールの導入のことでもない。DXとは、顧客接点を起点にして組織のあらゆる思考様式や行動原理をデジタルファーストに組み替えていくパラダイム転換のこと、ではないだろうか。

また、DigitizationやDigitalizationは一回性の行動のことを指すが、DXはそれらを常態としたあり方への転換を指す言葉であるとも言える。これはまさに組織のDNAを書き換えるような取り組みでもある。決して「そうだ、DXしよう!」という軽いノリで実現できるものではない多分に戦略的な取り組みだと僕は思う。

ビッグデータやAIがバズワード化した時のように、ベンダーがシステムを売り歩くときの新たな常套句として「DX推進」を標榜することになるだろう。もちろん本来の意味のDXに即してそれらのシステムが合目的的であれば何も問題はない。ただしそれらはあくまで目的そのものではなく、手段である。

DXの意味する本質的な変化は、組織に大きなパラダイム変換を求める。難易度は高い。ゆえに実現できた企業はこれからの不確実な社会に適応していくことができるだろう。一方で、既存のシステム(生態系と言っても良い)を温存しつつ表面的な対応に終始した企業には厳しい結末が待っているかもしれない。

流行りの言葉に踊らされないよう、DXを通じて本当に成し遂げたいことを明らかにする。そのためには何がDXであり、何がDXでないのか、自分なりの言葉の定義を持つことが大事なのではないかと思う。

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さて、いかがだったでしょうか?まだ本記事の執筆時点ではDXの定義は揺らいでいると思います。これが正解と言うつもりはなく、あくまで僕なりの定義で大変恐縮ですが、読んでいただいた方の思考の補助線として参考になれば大変幸いです。

次回以降はDXにおけるパラダイム転換を成し遂げるためにはどうしたら良いのだろうか?ということについて掘り下げてみたいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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d.a.t.株式会社代表取締役。データとAIを使ってビジネスを再デザインする事業に取り組んでいます。主にDX、Fintechなどが専門。文系/非エンジニアのビジネスパーソンにとってのテクノロジーとの付き合い方、AIの学び方などについて書きます。

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