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「君たちはどう生きるか」を観た。

インスタに投稿したものをこちらにも載せる。このあと、考えたものを提示する。ぜひ読んでください(まだかかりそう)

義母が子どもを預かってくれたので観に行けた。まだ消化途中だけど、初発の感想をメモしておく(極力内容には触れない)。

①宮崎駿の作品群のなかで、付記・注釈・エピローグ的な作品だと思った。基本的にはこれまでに提示された動機がふたたび検討され、配列され直している。例えば、異界の食事・ススワタリ・多重化した家屋・約束違反。新しい作品に描かれる事物はいつも見慣れたものばかりだが、説明を求める俗的な観客をはねのけるような抑制した隠喩的な語りになっている。心地よく観られたし、映画館の退出際、「子どもには難しいのではないか」という観客の声が耳に入ってザマアミロと思った(言うまでもなく子どもにはスッと伝わる)。

②新しい要素として面白いと思ったものが三つある。一つ、冒頭のトラウマ的な出来事の描写方法。ふたつ、ポスターに描かれたキャラクターの人格。みっつ、これは物語の核心にかかわるので伏せるが、決着の仕方が独特の印象を残した。村上春樹『 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の結末を想起させる、ある決断(しかしあれとは違う。このあたり、宮崎駿のほうが歴史性とか現実というものに対する信念が深い、と感じる。今の若い人には通じないかもしれない…)。

③『風立ちぬ』と併せて宮崎駿の遺書のようなものと受け取ることができる。しかも前作よりも省察が深まっている。遺書のもつ暴力性や不可能性も同時に考察されている。これが絶作かどうかなんて作品の内的解釈にとってはくだらないことかもしれないが、作中人物たちのある「対話」が同時に世界への態度と創作をめぐる倫理を指すものとしても受け取れるように描かれているので、検討の余地はあるだろう。

まずは以上。観た人あれば今度いっしょに話しましょう!

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