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自#193|結婚は、お互いに妥協した後に、成立するもの(自由note)

 東京タラレバ娘の倫子は、23歳の時、当時、勤めていたテレビ制作会社のADの早坂さんに告白されます。当時、早坂さんは、東北から出て来たばかりで、見た目もさえないし、東京にあたふたしてる感じがダメで、その時のプレゼントが駅の地下通路の露店で買ったようなダサダサの指輪で、倫子はあっさり、早坂さんをふります。が、その後、10年が経過して、早坂さんは、見た目もカッコ良くなり、立派なディレクターに成り上がって、いい仕事もしています。倫子は、脚本家として独立しましたが、古巣の制作会社からネットドラマの仕事を貰ったりして、早坂さんは、しょっちゅう、倫子の事務所に打ち合わせに来たりします。その早坂さんから
「(個人的に)お話したいことがあるので、お時間いただけませんでしょうか?」と云うメールが届きます。親友の香と小雪は「彼は、10年前の告白のリベンジをやるつもりだ」と、断定しています。今回は、お互いの年齢からして(倫子33歳、早坂さん35歳)単なる告白ではなく、いきなりのプロポーズだろうと予測しています。三十路の大台に乗った倫子は、やっぱり内心、年齢的に焦っていますから、今回は、申し出(プロポーズ)を受ける気、満々です。

 当日、こじゃれた隠れ家的なビストロで食事をした後、早坂さんは、ブルガリのロゴの入った小箱を取り出します。
「うわぁー、プロポーズ来るぜぇーっ」と、倫子はtension マックスで待ち構えています。が、早坂さんの口から出たのは
「これを、倫子さんの事務所にいるアシスタントのマミちゃんに渡して、結婚を前提に交際を申し込もうと思っているんですが、マミちゃんに渡す前に、職業柄、女心を誰よりも判ってらっしゃる倫子さんのご意見を伺っておこうと思って」と云う、想定外の相談のセリフでした。倫子は、メガトン級の爆弾に直撃されたかのように、壊れました。30代に入ると、10代、20代と較べると、後がないだけに、より壊れやすくなるってとこは、あるのかもしれません。事務所で使っているマミちゃんは、まだ19歳。髪の毛はピンク。きゃりーぱみゅぱみゅモデルの、目玉おやじにリボンをつけたような指輪をしてる原宿キッズです。35歳が、未成年と付き合うとかって、法的にも多少、ヤバい感じです。倫子たち、タラレバ娘は「日本の男は、みなロリコンだぜ」と結論を出します。

 Sex and the Cityでは、ロリコン趣味の男は、登場しません。日本だったら、「それ法的にヤバいっしょ」くらいで流せますが、アメリカだと、バレたら即座に逮捕です。成人の恋愛対象が未成年だと云う設定は、テレビドラマの倫理規定の厳しいアメリカでは、まずあり得ません。

 25歳のフレッシュマンが、10年後の35歳になって、よりカッコ良くなってるなんてこと、本当にあるのかと云う、そもそもの疑問もあります。私は、県庁で公務員生活を、6年間経験しました。初年度は、やはりフレッシュ度100パーセントです。若さ、フレッシュ度、仕事に対する崇高な理念などは、歳月が過ぎゆくに従って、どんどん逓減して行きます。ずる賢い海千山千になります。ずる賢い海千山千=男としてカッコいい、と云う公式は、成り立ちません。男としてカッコいいのは、35歳ではなく、25歳です。そんなこと、判りきったことです。が、Sex and the Cityでは、42歳のミスタービッグが、めちゃめちゃカッコいいと云う設定になっています。東京タラレバ娘の25歳のモデルのKEYと、Sex and the Cityの資産家のミスタービッグと、どっちがカッコいいかと云うと、それは文句なしにKEYの方です。ミスタービッグをカッコ良いと認識して、それに惹(ひ)かれると云うのは、つまりファザコンです。日本の男の多くが、ロリコンだと云うのであれば、アメリカの女性の多くは、ファザコンだと云う捉え方もできそうな気がします。

 成人が、未成年と恋愛することは、アメリカでも、日本でもNGだと思いますが、たとえば、婚活パーティに、21歳の保育士と、35歳の会社のエグゼクティブとがいて、後者の方が、圧倒的に経済力があったとしても、お見合い回転寿司的なアトラクションがあって、両方から好意を持たれた場合、21歳の保育士の方を選んでしまう男性の方が、多いと思います。35歳のエグゼクティブと、未来予想図を描くのは、男にとって、相当、偏差値の高い、難問です。経済力があるだけに、成田離婚(ハネムーンに行く前、あるいは帰って来た後、即座に離婚)ってことも、充分に考えられます(結婚式と、ハネムーンと云うものを経験してみたかっただけ的な)。単純に考えて、21歳の保育士には、将来性があります。35歳のエグゼクティブと結婚しても、21歳~35歳までの、人生においてとても大切な黄金時代的な時期を、夫が共にshareすることは、すでに終わってしまっているので、できません。婚活は、年齢が若ければ若いほど、advantageが高いんです。それは、種を保存するために、この宇宙の大きな摂理が、(生殖のために)若さを要求しているからです。

 経済力があることは、女性の場合、婚活の武器にはさほどなりません。経済力がある=バリバリのキャリア、だと普通に考えることが出来ます。難関国立大を出て、もしかしたらアメリカの名門大学で、経営学修士の資格を取得し、外資系コンサル会社で鍛えられ、30代半ばにして、功なり名を遂げているキャリアだとしたら、金も力も持っていて、「あっ、そういう人、絶対にムリ」と考える男たちの方が、多そうな気がします。私が、それなりに若くて、婚活パーティに行ったとしたら、35歳のバリバリのキャリアは、顔も見ないでスルーします。(吉徳の人形だけじゃなく)女性にとって、顔は命です。男が女性に求めているのは、一般的に云って、まず容姿です。その容姿すら見ないんですから、圏外と言っても過言ではありません。

 結婚と恋愛とは、まったく別種のものです。恋愛は、今が、刹那的にhappyなら、それで、全然、OKです。結婚は、将来に渡って、長期的なプログラムを考案し、プログラムが全体として、それなりにhappyであると、見通してを立てる必要があります。相手が、超絶美人である必要など、さらさらないです。超絶美人に、浮気をされると、長期的プログラムが破綻をきたしてしまいます。別段、そう美人じゃなくても、自分が満足できれば充分です。満足と云うより、より正確に云うと、妥協です。結婚は、お互いに妥協した後に、成立するものです。こんな当たり前の超大切な教えは、学校教育のカリキュラムの中で、しっかり叩き込んでおくべきじゃないかとすら思ってしまいます。

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