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教#062|リズムに合わせて身体を動かすことは楽しい~マンガで分かる心療内科を読んで③(たかやんnote)

 死んだ私の母親は、生前、脳トレ(脳トレーニング)の講座に通っていました。脳トレの講座は、認知症予防のための講座と云う位置づけなのかもしれませんが、私の母は、認知症になりました。認知症と云うのは、講座に通うくらいで、予防できるようなものではないです。そもそも、認知症が病気なのか、予防すべきものなのか、良い悪いと云う言い方をするとしたら、悪いことなのか、そのあたりは、個人的には、はなはだ疑問だと思っています。母親が認知症になってしまって、ケアする家族は大変でしたが、認知症=不幸ではないと、母親を見ていて、はっきり理解しました。

 母親が逝去して、1年くらいしてから、母親がお世話になった脳トレの講座に、ボランティアとして、足を運ぶようになりました。会場作りを手伝ったり、重たい物を運んだり、音響方面のサポートをしたり、プリント問題の採点したり、などと云った事を必要があれば、お手伝いするつもりだったんですが、特に私がサポートするようなこともなく、参加者と一緒に、私も脳トレの講座のメニューに取り組みました。

「マンガで分かる診療内科」に、改定長谷川式簡易知能評価スケールと云う表が、掲載されています。1から9まで設問があって、それぞれにつき0~5点までの配点です。たとえば、知ってる野菜の名前を10個言って下さいと云う問題ですと、5個までしか答えられなかったら0点、6個で1点、7=2点、8=3点、9=4点、10=5点と、加点されて行きます。5つの品物を見せて、それを隠して、何があったかを聞く問題ですと、答えられた品物の数に応じて、1~5点の幅で加点されます。100から7を順番に引いて行くと云う問題もあります。その他、数字を4つくらい言って、それを逆から言ってもらうとか、今日は何年の何日の何曜日ですかとか、3つの言葉を覚えて、それを復唱して下さいとか、いろいろあります。正直、これらはすべて対策できる問題です。このテストで、点数が低ければ、認知症だと判別されるわけですから、対策さえしておけば、高得点が取れます。このテストが、認知症の判別に関して、あるべき正しい判定テストであるとしたら、このテストの対策をすることが、認知症予防につながると云う見方も可能です。

 が、私がボランティアに行った脳トレの講座では、こんな風な、如何にもと云った認知症講座は、メニューには組まれてませんでした。これは、一種の試験対策です。試験対策のために、自発的に高齢者が集まって来るとは、とても思えません。

 脳トレが実施されていたのは、月曜日のPM1:00~3:00の2時間でした。最後の20分間ほどがティータイムです。代表世話役のAさんは、多分60代だと思いますが、ボランティアで手伝いに来ているスタッフさんはもっと若くて、40代~50代です。ちなみにAさんも女性ですし、スタッフも全員女性です。参加者もexcep one、一人を除いて、女性ばかりでした。正確な年齢は解りませんが、70代の方が、ごく少数、あとは80代、90代の方々でした。最後のティータイムでは、コミュニケーション能力が試されます。ここで、周囲の人と、ごく自然に喋れるようでしたら、問題なしだと思います。私の母が、最後のティータイムで、周囲の方と、わきあいあいと喋れていたとは、とても考えられません。そのあたりのことを聞きたかったんですが、たとえ聞いても、あたり障りのない返事しか戻って来なかったと想像できます。全員で、20人くらいの方が、参加しているんですが、浮いてるっぽい方はいました。その浮いてるっぽい方と、気を遣って喋っている方もいます。つまり、場の空気を読んで、行動しているわけです。そう云った空気を読み合いながらの会話と云うものは、頭を使います。認知症予防には、役立つと想像できます。

 講座のオープニングは、体操です。ラジオ体操のようなものではなく、ストレッチのような体操です。身体を動かせる、特に歩けるか、歩けないかと云うことは、決定的に重要なことです。幾つになっても、健康で普通に歩けるようにするための、体操と云う位置づけもできそうです。

 ふまねっと体操と云うメニューがありました。これは、碁盤目状になったネットを、まず床に敷きます。そして、碁盤の目を、一個ずつ、リズムに合わせて進んで行きます。1、2、3、4と4拍子で進む場合、1で右足、2で左足、3、4で足踏みをすると云ったパターンが考えられます。出す足の順番を変えてもいいです。1、2は休んで、3、4で進んで行く、つまり裏から入るような進み方もあります。実際に、歌を歌いながら(チューリップとか)自由に足でリズムを刻んで行くやり方もあります。結構、みんな楽しそうです。どっかで、こんな風な景色を見たなと、記憶を辿ってみると、音楽の専門学校で見たリトミックの講座が、似たようなsceneでした。リトミックは、幼児が対象ですが、幼児であろうと、高齢者であろうと、リズムに合わせて身体を動かすことは、やっぱり楽しいことなんです。

 墨田川の花火の光景を、コラージュで拵えた日もあります。台紙に色紙や布を貼って、花火のsceneを拵えて行きます。基本の作図は、あらかじめ台紙に描かれています。色紙や布の種類を選ぶのは、個人の選択に任されています。少々、切り抜く形が変わっても構いません。つまり、自由にアレンジができるわけです。端切れの布や紙、ビーズなど、沢山の種類の材料を用意してあります。ノリやハサミ、カッターなどの準備も必要です。保育園や幼稚園の子供たちに作業をさせるのと同じで、準備し、段取りをつけるために、相当な手間ヒマがかかります。全体の流れを把握している世話役さんがいて、世話役さんの指示で、てきぱきと機敏に動けるボランティアのスタッフさんがいて、この講座は成立しています。市からの補助金を、どういう風に使って(何と何を買うかとか、講師の謝礼にあてるとか)年間のプログラムを組むのかと云うことも、世話役さんは、考えなければいけません。参加者それぞれの健康状況や、知的レベルなども把握しておく必要があります。軽い気持ちで、片手間な手伝いとかは、とてもできないなと、何回か参加して感じました。

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