【受験ノート】首都大学東京

 首都大(Tokyo Metropolitan Univesity)の最寄り駅は、京王相模原線南大沢駅です。南大沢には、三井アウトレットもありますし、シネコンやイトーヨーカドーもあって、それなりに便利な街ですが、ここが本当に「Metoropolitanな街か?」と突っ込まれたら、「・・・・」ってことに、やっぱりなります。キャンパスの一角の松木日向緑地には、タヌキやイノシシが出没します。Metoropolitanではなく、限りなくrural な(pastralと言ってもいいかもしれません)東京のsuburbな片隅に、首都大(正式名称は、首都大学東京)の本部キャンパスはあります。

 学芸大、横浜国大、横浜市立、埼玉大と云った偏差値のそう高くない(と言っても低いわけでもないんですが)何となく似たりよったりの大学と較べると、首都大の学生は、そこそこお酒落です。南大沢の家賃4万円くらいのコーポに住んでいる学生が、チャリでジャージ登校しても、別段、違和感はないような気がしますが、そこはやはり、三井アウトレットのこじゃれた感じとか、近代的なキャンパスの雰囲気とかが、影響しているのかもしれません。

 飲み会は南大沢のチェーン店の居酒屋で一次会。で、コンビニでアルコールと食料を買って、部室に戻って二次会。部室は学生管理で、24時間自由に使えます。まあ、このへンは、昔ながらの自由な大学の気風を保っています。

 首都大の前身の都立大時代は、もっと地味でダサイ学校でした。2005年に、都立大・都立科学技術大・都立保健科学大・都立短大の4つが、統合されて首都大が発足しました。都立保健科学大は、首都大の健康福祉学部と云う形で、再編成されたわけですが、看護系をはじめとする健康福祉学部の女子が、首都大をそれなりにお酒落な大学に変貌させたと、客観的には言えそうです。

 2018年から解りぬくかった都市教養学部を、解りやすい4学部に再編しました。都市教養学部は、人文社会学部・法学部・経済経営学部・理学部と4学部体制になりました。解りやすい学部になり、受験生は増加したと推測できます。

 南大沢は、別に都会じゃないし、都市にこだわる必要は全然、ないんだろうと、まあ普通に思います。が、大学のポリシーは、いまだに
 「大都市における人間社会の理想像を追究するために、『都市環境の向上』『ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築』『活力ある長寿社会の実現』の3つを、キーワードにすべての人が、尊厳を持って生きる社会を創り上げることのできる、正義感と倫理観を兼ね備えた、力強くしなやかな人材を育成する」
なんだろうと思われます。こんなどうでもいいような、お題目は、推薦かAOで受験する人以外は、知る必要もないんですが、逆に言うと、推薦・AO 受験の方は、こういうお題目をきっちりと刷り込んでおく必要があります。推薦・AO と、一般受験とでは、頭の働かせ方が違います。一般受験はぶっちゃけですが(ぶっちゃけ学力が足りなかったらthe endです)推薦・AOは限りなくフォーマルで、様式美を整えなければいけません。

 学部再編成はしますが、カリキュラムの大枠は、これまで通りだと思われます(将来的にどうなるのかは解りませんが、最新の学校案内は、これまでと閉じカリキュラムが掲載されています)。首都大のカリキュラムのサビは、基礎科目群・教養科目群・基盤科目群を置いていることです。つまり、リベラルアーツっぽさを導入しているわけですが、理系や看護医療系は、専門分野の学ぶべきことが沢山あるので、リベラルアーツっぽい科目で、授業のコマ数を取られてしまうと、専門分野にしわ寄せが出てしまいます。おそらく、どっかで苦労して帳尻を合わせている筈です。放射線学科の学生の大学院進学率が高いのは、長尻が合わなくて、結局、大学院に進学してしまうと云うことなんだろうと、私は推測しています。部活の子で、放射線学科に行ったOBがいるので、このへンは、会った時に聞いてみようと思っています。

 基礎科目群は、基礎ゼミナール・言語科目・情報科目・理系共通科目・保健体育科目・キャリア教育科目と6つの柱を立てています。割と総花的で、八方美人的なカリキュラムです。

 言語科目は、いわゆる4技能(聞く・話す・読む・書く)を反復学習して、実践的英語力を修得する学習です。25名規模の少人数授業で、レベル別にクラス編成をし、日本人の教員は英語読解力の向上を、外国人(English Native Speaker)は、会話力のスキルアップを目指します。

 情報科目は、統計分析・データーベース・プログラミング・計算機科学の4分野の必修科目を履修し、ICT(情報通信技術)を活用する能力の育成を目指しています。

 理系共通基礎科目と保健体育科目は、そっち系の学部があるので、取り敢えず、置いておきました感じだと、推測できます。

 基礎科目群のサピは、基礎ゼミナールだと、判断できます。少人数制のゼミで、他学部学生との共同研究を通して、学部を越えた学生同士の交流で、豊かな人間関係形成を目指しています。ゼミですから、討論が主体となるわけで、コミュニケーション能力の育成と云う意味でも、役に立つ授業だと言えそうです。

 キャリア形成科目は事前学習を済ませたあと、夏休みに現場実習を行います。現場体験型インターンシップと云う名称をつけていますが、1年の夏休みに社会に出て、インターンシップに参加することは、貴重な体験です。

 全学部の学生が、履修できる副専攻コースもあります。観光マネージメント副専攻コースと、人間健康科学副専攻コースに加え、新たにグローパル系の国際副専攻コースも創設しました。中長期の海外留学も義務づけています。この副専攻コースを履修するためには、グローパル人材育成入試(AO入試)に合格しなければいけません。出願要件のハードルが高いので(英検準1級以上とか)誰もが受験できるというわけではありません。

 学校案内に「金ナノ粒子の触媒作用」の発見で、その世界では、著名な春田正毅先生のインタビューが掲載されています。春田先生は、self-prophet(自己予言)と言う言葉を、使って、少し先のなっていたい自分を見つめながら、進んで欲しいと受験生にメッセージを伝えています。まずは、第一志望の学校に合格して、早く大学生になってほしいと云う意味だと推測できます。確かに、目の前のことを、ひとつひとつ着実に片づけて行く内に、人生は自ずと開けて行くものです。

 システムデザインの3、4年は日野キャンパスです。最寄り駅はJR八高線北八王子駅です。八高線に乗ったことがないので、雰囲気は解りませんが、まあ南大沢よりは、多分、田舎です。健康福祉学部の2~4年は荒川キャンパス。最寄り駅は、都電荒川線熊野前。ここは、下町のどまん中です。ある意味、過ごしやすいし、暮らしやすいところだと言えます。

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