【受験ノート】受験生は、とにかく書き出すことが大切

 教室の後ろの壁に、センター試験まで、あと何週間なのか、解るように数字を書いた紙を並べて、貼ってありました。センターまでの時間の量が、視覚的に把握できます。センターまであと何日と云う紙を貼るよりも、量を視覚で捉えられた方が、より効果的です。何年か前に、職員室の前の壁に、ひと月ごとに捲(めく)って行くカレンダーを、最初から切り離して、4月から3月までの12枚を、順番に並べて貼ってあったことがあります。月ごとにめくって行くより、1年間をひと目で見渡せた方が、現在の立ち位置を瞬時に、視覚的につかみ取れます。月捲りの小さなカレンダーでしたら、みなさんの自宅の部屋の壁にも、貼れると思います。4月、5月は終わりましたから、もう12枚並べる必要はありません。6月~3月の10枚で充分です(多くの人は、6月~2月の9枚だけでこと足りる筈です)。

 教室の一種の手作りカレンダーは、センター試験及び出願で、終わっていました。センター後に出願すると云う受験の常識を、きちんと解らせてあげていると云う点では親切ですが、そこで終わると、ちょっと尻切れトンボ的な感じがします。2月or 3月の本試験終了と云う最後の一枚があった方が、より望ましいと言えます。センターは、大切ですが、「たかがセンタ一、されどセンター」なんです。センターは、終わりではなく、受験本番開始の記念すべき日なんです。センターは、一応の着地地点ではあっても、本来は、新たなスタート地点だと云うことを、受験生は肝に銘じて、知っておくことが大切です。

 その日、やるべきことを、可視化しておけば、効率良く、作業を処理して行けます。スマホにメモるのではなく、ノートなり手帳なりの紙ベースに書いておくべきです。いわゆるtodo listって奴です。

私も忙しくなると、通勤直後の朝一番に、A4の紙に、その日やるべきことを、全部、書き出します。で、次に優先順位をつけます。todo listを作っておかないと、午後の時間があっと云う聞に、過ぎ去ってしまいます。前の日の夜、寝る前にtodo listを作っておくと、さらに効果的です。寝ている聞に、無意識の内に、やるべきことが、刷り込まれるんだろうと想像しています。

 受験生の頃、私はステッドラーの赤鉛筆を使っていました。ステッドラ一派と、ファーバーカステルテンプレート派と、二派ありました。ステッドラーの方は、硬くて腰がありました。ファーバーカステルテンプレートは、やはらかくソフトに線が引けます。ステッドラーもファーバーカステルテンプレートも、ともにドイツ製の製図用の色鉛筆です。四国の高知の小さな文具店には置いてません。東京に行った人が、銀座の伊東屋とか新宿の世界堂で、お土産として買って来てくれるんです。当時、お土産の定番は、虎屋の羊羹(夜の梅)でしたが、受験生に喜ばれるお土産は、from Tokyoのstationeryだったんです。

 可視化できた方が、勉強の励みになります。赤鉛筆が、どんどん減って行くと、やった感があって、満足できるんですが、ステッドラーは、簡単には減らない色鉛筆でした。そこが、正直、少々、難点でした。やった感を、可視化するために、私は、Bigの太字のボールベンを使っていました。このボールペンで、世界史の用語や英単語、熟語などをわら半紙に書きなぐっていました。当時でも、芯だけ替えることはできたんですが、それでは、やった感の可視化が分量的に少なくなってしまうので、ボールベンの本体を変えていました。で、使い終わったボールポンを、箱に入れて、「これだけ頑張ったんだ」と、納得できるようにしていました。本当は、書きなぐったわら半紙の方も、残しておきたかったんですが、散らばってしまいますし、さすがに邪魔になるので、そっちは処分していました。

 受験時代、定期試験は、基本、軽く流していましたが、受験科目の世界史と、英語だけはきっちりとやっていました。世界史の方は、普段からやっているので、特に対策なしでした。英語は、定期テスト前に、かなり勉強しました。リーダーは、テスト範囲の3、4章を、丸暗記していました。東進ハイスクールの安河内先生は、30回、音読しろと言ってます。それは、つまり最終的には丸暗記しろと、言っているのと同じです。英語は、確かに丸暗記が、一番、実力がつきます。私より英語ができる生徒は、結構いました。一人を除いて、あとは全員、ESS(English Speaking Society)の部員でした。ESSの部員は、日頃から、英文を丸暗記しているんです。あっちは、本職のプロ、こっちはアマチュアって感じです。リンカーンやケネディの演説を丸暗記している人たちには、到底、太万打ちできません。英語の長文を、30回繰り返し読む時間は、もうないと思います。ですが、最低。でも5回は読み返して欲しいです。一回だけ読んで、それで終わりだと、正直、1ミリも実力はっきません。今の時期(例の如く、この受験作法ノートもかなりの枚数、書いてしまいましたから、いつ配れるのか解りませんが)ですと、10回は読める筈です。CD音源があれば、それをスマホに落として、学校の行き帰りに聞けば、安河内先生が言うように、30回繰り返すことも可能です(ただし音読ではなくlistening toですが)。

 不安なことがあれば、それを可視化しておけば、メンタルの不安は軽減します。不安の正体が、正確につかめないと云うのが、そもそも、望ましくない状態です。何が、不安なのかを言葉で書き出して、それについて書きまくると云うcare(careと云うよりcureと言った方がより正確ですが)は、カウンセリングの世界では、昔から使われていて、筆記開示と云う定番の心理療法です。

教師になって、最初の担任になった時、クラスのPTAの役員のお母さんが、うつになって、心療内科に入院しました。その心療内科で、絶食と筆記開示を組み合わせた治療を受けていました。絶食は、1週間くらいですが、1週間だって、素人には苦行です。で、筆記開示の方は、絶食の3、4日目あたりで、一気に書けるのだそうです。この絶食と筆記開示のセットを、2ヶ月くらい入院している聞に、3セット実施して、彼女は、退院しました。うつの方の全員に、この療法が適しているとは、とても言えませんが、受験生のメンタルを安定させることには、間違いなく、筆記開示は役に立ちます。夜寝る前に、10分間くらい、不安項目について、書きまくるだけで、不安は、一気に軽減します。もちろん、ボールペンを使って、紙媒体に書きます。パソコンのキーボードをいくら長時間、打っても、筆記開示の効果は、発生しません。

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