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自#043|努力が報われるかどうか、それは解らない。が、努力はしなきゃいけない(自由note)

「たかやん自由ノート43」 昨日の夕方、いつも通り、玉川上水沿いを走っていて、散歩している二人を追い抜いたら、「ニシモリ先生」と声をかけられました。立ち止まって、振り向くと、中野区にあるS高校で同僚だったN先生でした。N先生は、その後、八王子のM高校に異動し、文化祭の担当をされていました。中夜祭のアリーナのバンドライブを、何回か手伝いに行ったことがあります。最後に行ったのは、アキレス腱を切ってギブスを外した、直後だったか、その1年後だったか。とにかく、たいして機敏には動けない状態でした。機材を設置したり、ケーブルをつないだりする実務は、同行していた腹心の教え子のU君にやってもらっていました。

 アキレス腱を切って、体力を落とし、一気に年老いてしまったニシモリ先生と云う印象を、もしかしたらN先生は、お持ちになっていたのかもしれません。昨日、私が走っている姿を見て、驚愕していました。私は、N先生より五歳上です。自分より歳上の人が、頑張っているのを見ると、やっぱり刺激を受けますし、励まされます。昨日、私はN先生に、多分、プチ勇気を与えたと思います。

「貧は世界の福の神」と云う、さほど有名ではない諺があります。が、まあ「貧すれば鈍する」と云う人口に膾炙(かいしゃ)しているフレーズよりは、「貧は世界の福の神」の方が、はるかにrealityがあります。いよいよ、食えなくなったら、人は食うために動きます。貧乏は間違いなく人を発奮させます。むしろ、お金がありすぎたら、いろいろ感覚的に麻痺して、鈍してしまいそうな気がします。年収二千万円以上の高額所得者は、さほど幸せでもないと云う統計データーが、多分、ネットのどこかにあると思います。そのデータによると、幸せのボリュームゾーンは、年収800万円~1000万円くらいらしいです。単なる都市伝説とも思えません。信憑性はありそうです。

 お金ではなく、体力が貧になってしまったら、鈍してしまいそうです。3月29日に、レンタカーを借りて、前の学校から荷物を運び出しました。運転していたのは、腹心の教え子のAくんです。レンタカーは、大型のハコバンです。この日は、生憎の大雪。スノータイヤもチェーンもなくて、デンジャラス極まりない走行でした。早稲田通り(新青梅街道だったかもしれません)を走っている時、対向車線を走っていた郵便局のバイクが、雪道で転倒しました。運転していたAくんは、「止めますか」と私に声をかけました。『路肩に停車して、転倒したバイクを助けますか?』と云う意味です。「いや、スルーしよう」と、私は言い放ちました。Iくんは「本当に助けないんですか?」と、驚いていました。

 大雪の路肩に止めたとして、次に発進する時に、スリップする危険があります。次々に車が走って来ている車道で、人とバイクとを迅速に救出できるほど、私は俊敏ではありません。そもそも、対向車線です。助けるとしたら、そっちの対向車線の後続車だろうとも思います。が、まあ30代半ば過ぎなのに、今だにJuvenileのような義侠心と正義感を持ち合わせている教え子を、結果として、私は傷つけてしまいました。その後の走行中、この話は、もう一切しませんでしたが『オレもヤキが回った』と、後悔はしてませんが(後悔はしないキャラです)反省はしました。

 私が、転倒したバイクを助けなかったのは、自分自身は多分、バイクを持ち上げられないし、逆に二次災害を引き起こすかもしれないと懸念したからです。が、作業は、Aくんにして貰えば良かったんです。自分自身の体力が低下して、つまり貧して鈍してしまったと云うことです。筋トレを始めた理由は、いろいろありますが、トリガーとなったのは、この転倒したバイクを助けなかった事件です。

 Aくんは、高3の秋、どうしても東所沢に出向かなければいけない用事がありました。私も同行した方が、望ましい用事でした。Aくんは「自分は交通費がないので、自転車で行きます」と、私に伝えました。自転車で移動するAくんと、東所沢の駅で、待ち合わせるのが、まあ普通だと思いますが「そうか、じゃあ、オレも自転車で行く」と、学校のママチャリを借りて、二人で東所沢を目指しました。片道二時間半、往復五時間くらいかかりました。帰りは雨でした。当時、私は40代の終わりくらいでしたが、翌日、腰から下がすかすかになって、いつもはスタンディングで、電車に乗って本を読んでいるのに、優先席の椅子に座って学校に行きました。が、生徒と往復五時間も自転車で走ったと云う思い出は、一生の財産になります。「あの時、頑張れたオレは、今だって、絶対にやれる」と、思い込めます。

 Aくんは野球部の部員でした。同学年の部員の中では、一番、真面目でした。野球部なのに、しょっちゅう部活をサボっているMくん(イニシャルは変えてあります)と云うチャラ男がいました。チャラくて調子いいMくんと、真面目でひたむきなAくんです。夏の大会を見に行きました。場所は忘れました。府中だったか、昭島だったか。一本杉ではなかったと思います。最後の試合の割とここ一番ってとこで、Aくんは打てませんでした。チャラ男のMくんの方は打ちました。Aくんにしてみたら、これはプチ不条理です。Aくんに、多分、私はこう言ったと思います。「Aくん、世の中、これはあるから。でも、努力はやっぱりしなきゃいけない」と。

 これは、マイケルジョーダンのほぼ受け売りです。マイケルジョーダンは、こう言ってました。「努力が報われるかどうか、それは解らない。が、努力はしなきゃいけない」と。

 努力は嘘をつかない、まあ概ね、そうだとは思います。が、ケースバイケースで、努力が結果に結びつかないことも、現実にはあります。

 筋肉は嘘をつかない。これは、100%真実です。筋肉を鍛えて筋力がつけば、positiveになります。筋肉が衰えたら、大なり小なり、やっぱり後ろ向きになります。

 アエラに、現在、WWEにいるプロレスラーの中邑真輔さんのインタビュー記事が掲載されていました。中邑さんが、新日本プロレスを退団して、WWEに移籍したのは、35歳の冬です。今、中邑さんは、身体をくねくねさせて脱力し、一気に力を入れて、技をより先鋭化しています。動きに緩急があります。今年、40歳。プロレスは、経験とアドリブが勝負ってとこもあります。体力的にも、まだ全然行けます。私自身は、まだ、全然行けた筈の40代とか(体力的には)うかうか過ごしてしまいましたが、80代になって、60代の後半を振り返って、あの頃は、結構、やり切っていたなと、自分に言えるように、努力するつもりです。


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