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自#146|絶対に成功すると確信して、信念を持って打ち込む(自由note)

 ファーメンステーション代表の酒井里奈さんのインタビュー記事を読みました。ファーメンステーションは、有機栽培をした非食用の米を発酵蒸留して、エタノールを製造している会社です。エタノールは、消毒用の素材として、コロナ禍で、一気にその存在感を増しました。エタノールは、別名、エチルアルコール。糖の発酵で生じる酒の主要成分ですが、シャンプーや香水、制汗剤と云った様々な商品に使用されています。エタノールは、エチレンやアセチレンから、工場で大規模に製造されていますが、酒井さんは、オーガニックな材料を使って、持続可能なスタイルで、お造りになっています。SDGsっぽくて、オーガニックな商品であれば、少々、値段は高くても、ニーズがあって、求められると云う時代になりつつあります。

 田んぼの中で、夏の風に吹かれて立っている酒井さんは、普通の農家のおばちゃんって雰囲気がしますが、農業は、法人(組合)に請け負ってもらっているので、農家のおばちゃんではありません。酒井さんの職業を、正確に言い表すと、コンサル会社のCEOです。たとえば、JR東日本とのコラボでは、青森のリンゴの絞りかすを活用しました。これまで廃棄されていた、ジュースなどを作ったあとのリンゴの搾りかすを発酵して、エタノールを造ります。できたエタノールはリンゴの香りがします。発酵粕は牛の飼料に使います。その牛の肉は、ホテルや列車レストランの料理になります。この一連のsustainableな事業を見学するパックツァーも実施します。廃棄されていたゴミを使って新商品を生み出すサスティナブルな新規事業の提案をするのが、酒井さんのmainの仕事です。

 酒井さんは、田舎のおばちゃんではなく、東京の人です。東京生まれの東京育ち。白百合学園高校を卒業して、ICUに進学します。ICUでは英語力を、徹底的に鍛えぬいた筈です。ICUを卒業して富士銀行(現在のみずほ銀行)に総合職で入社します。入社したのは1995年です。同期入社のフレッシュマンは220人いましたが、女性の総合職は、酒井さんを含めて5人だけです。今、テレビで半沢直樹のドラマをやっていますが、ドラマの舞台となっている平成初期ぐらいの、銀行が世の中を動かしていた時代に入社されたわけです。週刊朝日に、銀行内部の暴露座談会のような記事が出ていました。私は、若い頃、役所に勤めていました。高校の同窓生の何人かは、銀行に就職していました。たまに会って喋ると、銀行の仕事の大変さは、ちょっとした会話の断片からも伝わって来ました。役所と、銀行と似ている点は、ともに減点主義なんです。プラスが評価されることはさほどなくて、マイナス面を厳しくcheckされます。暴露座談会の記事でも
「ミスをして罰点をくらうと、復活はなかなかできません。だから用心しながら仕事をします。トラブルになりそうな仕事は、極力引き受けず、他人に行くように仕向けます。あらぬ噂を広めて、落とし穴を掘って、同期や上司をはめることなど、日常茶飯事です」と明かしています。他人を蹴落とすために、生き馬の目を抜くようなspeedで、要領良くcleverに立ち回る、そういうことができなければ、銀行ではsustainableできないと云う風にも読み取れます。

 田舎のおばちゃん(当時はyoung lady)っぽい酒井さんには、銀行は合ってない感じがします。プロフィールを見ると、1995年に入社して、2001年に銀行を退職し、その後は、外資系ベンチャー企業や、ドイツ系証券会社などで仕事をされています。

 ドイツ系証券会社に勤めていた時、生ゴミをバイオ燃料にする東京農大の研究を紹介するテレビ番組を見て、「発酵」に興味を持ちます。証券会社の仕事は、自分でなくても、替えが利く、どうせなら自分が没頭できる、長続きする面白い分野でビジネスをしたい」と考えたようです。ビジネスにするならば、対象の分野をきちんと学ばなければいけないと考え、東京農大応用生物学部醸造科学科(全国の蔵本の子弟が集まる著名な学科です)に入学して、勉強をします。ICUは、アメリカ式の学校です。英語とリベラルアーツを学んで、より上級の学校に進学して、専門分野を決めて社会で活躍すると云うのが、ICUの卒業生のおそらく本来のあり方です。酒井さんは、専門知識を学ぶ学校として、東京農大を選んだわけです。東京農大は理系の大学です。酒井さんは、東京農大で、仮設、実験、検証の基本の考え方を、きちんと身につけたようです。ナチュラル、オーガニック、サスティナブルと云った単語を並べるだけではなく、データーと根拠のあるstoryを作り上げて、ビジネスを展開して行きます。

 いいものを造っても、ただ、待っているだけでは、ビジネスは動きません。自社製品を造って、営業をします。最初に造ったのは、発酵粕を入れた石鹸。副産物の粕は有用成分が豊富で、機能性が高く、よりsustainbleで、よりnaturalです。エタノールに植物由来のエッセンシャルオイルなどを合わせたアウトドアスプレーなども、ヒットしているようです。エタノールの原料の非食用の米を作っている農事組合の組合長は「酒井さんは、先を見通す視点と意欲が全然違う」と語っています。酒井さんは、由来がわかるオーガニックな原料は、食べ物と同様、化粧品の世界でもニーズがあると、先を読んでいました。彼女の読み通り、健康や環境に有害な成分を使用せず、サスティナブルでエシカル(倫理的)であることを重視するクリーンビューティが、化粧品業界のトレンドになって来ています。レディガガとかが、もし使ってくれて、YouTubeやインスタなどにupしてくれたら、大変ことになりそうです。おそらく一瞬の内に、在庫は全部はけて、商品購入まで、予約3年待ちみたいなことになります。レディガガじゃなくても、人気ユーチューバーが使ってくれるだけでも、間違いなく大ヒットします。

 勉強もビジネスも、絶対に成功すると確信して、信念を持って打ち込むことによって、結果は間違いなく出ると、断言できます。

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