あの子のお母さんは
フィリピンの人だった
日本語がほとんどできない
でも
三者面談に
仕事をやりくりして
駆けつけてきた
センセイ
ムスメニモット
キビシクシテクダサイ
たどたどしい日本語
面談を終えた担任教師は
職員室で
口真似をしてみせる
皆は笑い転げていた
眠れぬ夜
捨てられた弁当の行方を思う
きょうの会議
みんなが不味いと
食べなかった弁当
あの弁当を作った人は
泣いてはいなかったか
あの弁当代は
どこから出ているのが
保護者の誰かが
泣きながら働いて納めた
授業料ではないのか
捨てられた弁当の山には
人のかけらもない