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【詩】ひとでなし

誰にでも優しいということは
誰にも優しくないということ
ああこのひとは
他人はおろか
自分さえ
どうでもいいのだなと
生まれた瞬間から
すべてをあきらめてしまって
無限にひとに優しい
偽善どころか
現実にはいない
善人の塊というか
うつろなあなたを
死んでもいいほど
好きになってしまいました
あなたみたいに
薄笑いを浮かべながら
絶え間なく自分を傷つけているひと
それでいて平気なひと
見たことがなかったから
怖くて
でも目が離せなくて
あなたはみんなを見ていながら
誰ひとり見ていない
わたしのことも
もちろん見ていない
何も自分まで
突き放すことはなかったのに
だから怖いほど
愛してしまいました

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