自分の体の中心に
底の見えない穴があって
そこではいつも
轟々と風が吹き荒れていた
それを何かで埋めようと
それを誰かで埋めようと
躍起になって来たけれど
気づいてみたらその穴は
外から埋めるものでなく
内から汲み出すものだった
言葉が生まれる穴だった
それなのに
あなたのことも
私のことも
世界のことも
みんな美しく書きたいのに
私が書くと汚くなってしまう
何を伝えるために
私は生まれたのだろう
儚く消えて行く
言葉たちよ
それでも私は
誰かに何かを伝えようとするだろう
いつも穴の中を
のぞき込んでは