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【里山移住の真実:極寒の冬】辛いこと・楽しいこと・必要なこと全部// 移住STORY13

東京から移住する時に一番心配だったこと。それは、冬の寒さ。ここ群馬県高山村は、気候的には「寒冷地」に属するため、冬は厳しい寒さに包まれます。どれだけ寒いのかと恐れおののきながらの移住となりましたが、ひと冬をなんとか越して、今年は2回目の冬。今日は、冬の寒さにまつわる里山移住の真実を語ろうと思います。

寒いけど、寒くない。その理由は……

1月現在の高山村。今日も日中の最高気温は1度でした。冬の寒さは厳しく、日中0度に届かない日もあるというありさまです。朝晩はもちろん、マイナスになります。
しかしながら、東京に住んでいた時よりも「寒いな〜」と思うことが少ないです。その理由は二つ。一つ目は、基本的に車移動の生活だから。都内で住んでいると、移動は徒歩と電車がメイン。そうすると、毎日、寒空の下を歩かねばいけません。朝、駅に向かって歩き、寒いホームで電車を待ち、乗り換えをし、会社までまた歩く…。買い物に行くにも、自転車や徒歩でスーパーに向かいます。そう、都会生活は外を歩いてばかりなのです。当然、寒いですよね。対して田舎生活は、良い意味でも悪い意味でも車にばかり乗っています。駅に向かって歩くなんてことはあり得ません。(だってほら、駅ないし……)スーパーに行くときも車、友達の家に行くときも車、子どもを保育所に預けるときも車…。寒空の下、歯を食いしばって歩くことがなくなったので、体感としては東京よりずっと暖かいのです。その代わり、運動不足になりますけど。。。
部屋の中も、こちらの方が暖かいです。東京の家はエアコンやハロゲンヒーターなので暖をとりますが、そんなヤワな暖房器具では歯が立ちません。石油をつかって、ファンヒーターでしっかりと部屋を温めます。東京の暖房器具に比べて、しっかりと温まるので部屋の中はぬくぬくです。そんなこんなで、移動も車、部屋も暖かいとなると、寒さを実感するのはごく短時間です。スーパーの駐車場からお店に入る間とか、車から出て家に入る間とか……。
そのせいか、実はこちらの人達はしっかりとしたコートを着ないんです。そんなに防寒をする必要がないから。私も、東京にいるときはダウンのロングコートを着ていましたが、すべて手放しました。今着ているのは、薄手のコートです。

寒冷地の暖房事情:我が家の場合

移住してはじめての冬を迎える時に、どんな暖房器具を揃えるか相当悩みました。本当は薪ストーブに憧れているけど、現在は賃貸なので、導入は不可。地元の電気屋さんにもアドバイスをもらって、寒冷地仕様のエアコンと石油ファンヒーターの2段構えにすることにしました。寒冷地仕様のエアコンは、通常のエアコンと異なり、外気が0度以下でもしっかりと温風を出せるパワフルな仕様です。うちには生まれたばかりの赤ちゃんがいたので、部屋の空気が汚れないという理由でエアコンをメインの暖房器具にしました。ただ、エアコンだとどうしても足元がさむかったり、極寒の状況からぬくぬくの気温にまで持ち上げるのに時間がかかります。そのため、石油ファンヒーターを補助的に使うことにしました。エアコンと石油ファンヒーターをダブルでつけて一気に部屋を温めて、温度の維持はエアコン一台で、たまに足元が冷えるときはファンヒーターを一時的につけて…こんな感じにつかっています。そうすると、石油の消費もゆっくりだし、頻繁に部屋を換気する必要もありません。この組み合わせ、おすすめです。

救世主は、寒冷地仕様の羽毛布団

はじめての冬は、夜寝てる時がとても寒かったです。東京時代に使っていた寝具のありったけをかけて寝ていましたが、それでも肌寒くて。。。。しかも、布団を重ね過ぎて重たい……。そこで、2回目の冬を迎える前に、寒冷地仕様の羽毛布団を購入しました。そんな布団あるの?と思いますよね。私も移住するまで知らなかったです。お隣の沼田市にある布団屋さんでGETしました。これ、本当に暖かいです!驚くのは、羽毛布団一枚だけなのに、ポカポカなんです。Tシャツ一枚で寝ても大丈夫なくらい。おかげで、毛布も使わずに、超身軽な状態で安眠できるようになりました。

憧れの薪ストーブ生活の現実

薪ストーブが大好きな友人

さて。田舎暮らしといえば、薪ストーブに憧れる人も多いのではないでしょうか。私もその1人。薪ストーブでシチューをコトコトと温めながら、ゆっくりコーヒーを楽しむ……。そんなシーンを何度夢見たことでしょうか。
高山村では、薪ストーブで生活している人が本当に多いです。それもそのはず、暖房器具として薪ストーブは最高です。本物の火の熱が部屋の隅々まで行き渡り、天国のような暖かい空間になります。毎回、「いいですね〜薪ストーブ」と話しかけると、同じ答えが返ってきます。「すごくいいよ〜!でも、大変だよ〜!」と。聞いてみると、ものすごい量で薪が消費されていくので、薪の準備が大変だとのこと。真面目に購入していたらお金がいくらあっても足りないので、皆さん自分で木を伐採して斧で割るという自給をしています。しかも、薪は伐採してから十分に乾燥させないと燃やせません。つまり、今年使う薪は去年までに伐採して準備しておかなくてはいけないという……。
あとは、火をつけてから薪が順調に燃えて部屋が温まるまで1時間くらいはかかるということ。そのため、薪ストーブだけでは朝の身支度に間に合いません。ほとんどの方が、石油ファンヒーターも持っていて、薪ストーブと併用していました。
さらに、薪ストーブのメンテナンスも大変です。1-2シーズンに1回は、長い煙突を分解して、きれいに掃除しないと事故につながります。業者に外注しても、数万の費用になるそうです。
そんなわけで、薪ストーブがインテリアのオブジェとなってしまう人もいるそう。同じ時期に移住した友人は、手がかかる、時間がかかる、お金がかかるので、「ライフスタイルに合わないので今年は使わない。薪も準備しない」と言い切っていました。
一方で、薪ストーブを使えば使うほど、その魅力の虜になる人もいます。火を起こすこと、火を見ること、火を維持すること、火で暖まることは、人間本来の原始的な楽しみなのでしょうか。薪ストーブのポカポカ感も、一度体験すると病みつきになります。そういう人は、薪を得るための独自のルートを確立していて、冬が来るのを楽しみにしています。
私は、薪ストーブに憧れるものの、自分に合うのかはまだ疑問。自分の持ち家を取得した暁には、薪ストーブにするかどうか…まだ悩み中です。

スキー&スノボし放題!ゲレンデまで車で1時間弱

高山村は寒冷地に属しますが、雪はあまり降りません。ちょうど北にあるみなかみ町や湯沢の山で雪が降りきるそうで、南にある高山村には冷気しか届きません。

こんなに積もるのは、年に2-3回だけ

ですので、日常生活では雪かきすることもほとんどなく、田舎暮らし初心者にとってはハードルが低いです。しかも、車で1時間くらいでゲレンデにアクセスできるという立地。
東京にいるときは数日前から計画を立ててスノボ旅行をしていましたが、移住してからは思いつきでゲレンデで行くようになりました。私たちは自営業者なので、平日にゲレンデに行くことも。

全然人のいない、平日のゲレンデ

空気が澄んでいて、フォトジェニックな写真が撮れる

高山村は標高が500m以上あります。そのため、常に空気は澄んでいて美味しいのですが、冬場はさらに格別です。キーンと冷えた空気で、とってもクリア。これは、写真を撮影するのにはうってつけの条件なのです。私はアパレルブランドを営んでいるので、冬の撮影はヨダレが出るくらい好きです。

クリアな空気感、伝わりますか?


マジックアワーもばっちり綺麗

道路は凍結、車には霜

雪は頻繁に積もらないものの、強烈な冷気のせいで道路はしっかり凍結します。急カーブのときにツルリンっと滑る可能性もあるので、運転には注意が必要。スタッドレスタイヤも、12月から必須です。特に、朝は車自体にカチンコチンに霜が降りています。車内も冷え切っているので、エンジンをかけてすぐに出発するのは危険。毎朝、出発15分くらい前にエンジンと暖房をつけて、氷を溶かし、車内を暖めてから出かけるというルーティンとなっています。

冬の楽しみいろいろ

強烈に寒いことは事実なのですが、しっかりとした暖房グッズさえあれば、意外と快適な冬の高山暮らし。冬は冬で、他にもたくさんの楽しみがあります。例えば、冬の味覚。イチゴや白菜、大根や干し芋やタラの芽が旬を迎えます。私のお気に入りは、村のお母ちゃんに教えてもらった、おでん。

イカやタコも加えて、コクを出すのが秘訣

高山村には「おでん大根」という品種があって、これがおでんに最適なんです。煮崩れしないため面取りが不要で、すぐにダシが染み込みます。

温泉が好きな人にとっても良い環境です。みなかみ温泉や四万温泉、伊香保温泉が近くにあり、少し足を伸ばせば草津にも行けます。群馬は実は温泉天国。高山村からだとどこにでもアクセスしやすいので、温泉巡りをしてたらあっという間に冬が終わりそう。

というわけで、今年も高山村の冬を楽しみます。高山村への移住が気になる方は、ぜひ冬の時期にも視察に来て下さいね。「この程度の寒さか」と感じるか、「これは無理だ」と感じるかは、お楽しみに。

YouTubeでも、高山村の暮らしを発信しています^^ 良かったらどうぞ。


山中麻葉 Maha Yamanaka
1984年生まれ。30歳を機にサラリーマン生活に終止符を打ち、ワンピースのオーダーメードのお店を起業。2021年夏、群馬県高山村に、夫と娘と移住。夢は、小さなアーミッシュ村をつくること。

> Down to Earth アーミッシュワンピースのお店
> instagram @shop_down_to_earth
> 著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」

【お知らせ】
アーミッシュワンピース展示販売会予定
2月10-12日 東京都国分寺「カフェスロー」

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