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038 あの人のしごと

ある農家の話

こどもの頃からずっと服が好きだったというIさんは、学校を卒業した後にアパレルで働き独立。

地元のおしゃれボーイ&ガールで知らない人はいないというほど人気を博していた10年目、突如としてお店を閉め、農家に転身した。

「自分がかっこいいと思っているものと、売れるものがズレてきたんだよね」

農業との出会いは廃業はいぎょうの数年前にさかのぼる。

たまたま借りた家に小さな畑があり、「こどもが口に入れるものくらいは」と野菜作りをはじめたことをきっかけに、農業の世界にのめり込んでいたのだとか。

お店に1時間ほどかけて通い、家に戻らずそのまま畑へ向かう日々。
はじめての経験に、失敗を繰り返す中で、自然と農業へたいする気持ちが大きくなっていった。

かっこいいと思えないものを売って儲ける日々から、儲からなくても自分の心に素直に生きる道へ。

僕は、自分の心に「素直」に生きるかっこよさをIさんから学んだ。

あるデザイナーの話

Rさんは、UKロックバンドのメンバーとして音楽漬けの日々を送っていた頃に、ふと、こんな疑問が頭をよぎった。

「20代でUKロックをやってるのはかっこいいけど、おじさんがUKロックをやっているって、普通だし、逆にダサいんじゃないか?」

その疑問をきっかけにバンドをやめ、第二の人生を歩き出した。

バイトで入っていたインテリアブランドで内装の仕事をしていた時、そのセンスを買われ展示会のデザインなどを担当することに。その後は様々なプロジェットで注目を集め独立、人気デザイナーとして忙しい日々を送っている。

僕は、自分の中の「かっこいい」を誤魔化ごまかさないかっこよさをRさんから学んだ。


ぼくの話

学んだって書いた割に、自分の心に素直でいることも、かっこいいを誤魔化さないことも、今の僕はできていないなぁ。
唯一「楽しい」を選ぶことだけはできるんだけど・・・

そういえば、こどもの頃から「自分の楽しいことだけしないの!」ってお母さんに怒られてきたっけ。苦手なことから逃げすぎだな本当に。
英語とかちゃんと話せるようになりたいのに・・・あぁ呑みに行きたい。

今年も見事に五月病ごがつびょう


おまけ

多くの学校の先生や親は「勉強していい学校に行き、いい会社にはいりなさい」と言うと思います。
勉強していい学校に行き、いい会社に入っても安心なんかできないのに、どうして多くの教師や親がそういうことを言うのでしょうか。
それは、多くの教師や親が、どう生きればいいのかを知らないからです
勉強していい学校に行き、いい会社に入ると言う生き方がすべてだったので、そのほかの生き方がわからないのです。

村上龍著「13歳のハローワーク」

20年くらい前の本を引っ張り出して読み直したけど、自分自身が大人になったこともあり、改めて痛感することが多かった。

「これからの正しい生き方なんて、先生も親も、そもそも誰もわからんなぁ」

あーー怖い世の中だ。


***


-もの-


しんご SALE / Cap

新京都展」で一目惚れしたキャップ。
SALEを反対に書いて「安売りしないぜ」ってメッセージがかっこいいなぁと買ったんだけど、実はその時買ったのはベージュ。

昨日、たまたま近所のギャラリーでしんごさんとばったり会って、ずっと欲しかった赤色も買っちゃった!

よりSALE感があって最高やんって思ったけど、鏡を見たら自分がマイケル・ムーアにしか見えなかった。俺の贅肉は原価率高いんだぜ!

■しんご

(カバー写真:牛と農夫/中国・桂林)

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