見出し画像

070 神様の勘違い

人の気持ちを理解するには、言葉以上に表情や仕草を読むことが大切らしい。

例えばデートの集合時間に遅刻した彼氏が、彼女に「ごめんごめん」と言いながら合流するシーンを想像してほしい。

そのとき彼女から笑顔で「怒ってる!」といわれた場合、彼女は怒っていない。
「アイス買ってあげるから許して」そのくらいの優しさで満遍の笑みになるだろう。

反対に、目に炎が揺らいでいるような表情で「怒っていないよ!」と言われれば、これは確実に怒っている。「アイス買ってあげるから許して」なんて言葉は火に油を注ぐようなもので、けっして口にしてはいけない。

原因はきっと今日の遅刻ではない。

自分の今までとってきた行動を見直し、原因を見つけ反省し、自らが変わろうと努力しない限り、彼女との関係は終わってしまうだろう。

この考え方をSNSやチャットに当てはめると、メッセージのみでお互いの気持ちを伝え合う難しさがわかってくる。

表情のない文章だけのやり取りには、お互いに誤解をしやすく憶測を呼んでしまい、その結果、ミスコミュニケーションが起きてしまうのだ。

先ほどのカップルのように「怒ってないよ」とう言葉にしても、チャットだけの場合は「絵文字がついてないから怒ってるかも」と頭を働かせる人もいるし、普段から絵文字や句読点を使わない人にとっては、文面そのままの意味で受け取る人もいる。

表情がわからないチャットにおいては、ある程度、相手との関係を積み上げて、お互いを理解しあえる関係を作り、かつ「文面を理解」でき「行間を読める」文学的な知性を持った人としか、深いやりとりはおすすめしない。

さて、先日とある友人から「おひとり様に戻りました!」と、どこか勢いを感じるLINEが届いた。そのメッセージだけで「これは傷ついているな」と裏側の感情を受け取れたのはきっと、今日まで風通しのいい関係を築けていたからだろう。

「今から呑む?」そう送ると、「ぜひ!」という返信が間髪入れずが届いたので、
もともとあった予定を変更して、ふたりで呑みに出た。

本当にお似合いのカップルで、別れるなんて思いもよらなかっただけに、その衝撃は大きかったが、別れに至るまでの話を聞きながら、どんな恋愛にも他者からは見えない二人だけの秘めた悩みがあるんだなぁとつくづく感じた。(そのあたり永らく女性から遠ざかっていて忘れている)

そう言えば二人が別れる一ヶ月ほど前のこと、その子から「縁切り神社」として名高い京都の安井金比羅宮やすいこんぴらぐうへ誘われ参詣さんけいした。
有名な縁切り神社だけあって、文字に起こすには気が引けるほど憎悪に満ちた絵馬が境内に居並ぶ姿は、まるで生き霊がうごめいているかのようだったが、僕たちにはそこまでの想いはなく、「悪縁を切って良縁が来ますように」くらいの緩い気持ちで、神様に手を合わせた。

まさか・・・いやきっと、ここで神様とミスコミュニケーションが起きたのかもしれない。


「手を合わせくれるんはええけど、首を垂れたら表情が見えへんやん!なんかふわふわした内容しか書いてないし、どれや悪縁???こいつのまわり、似たような髭面の男がいっぱいやんか!まぁええか、どれでもええからひとまず縁切っとこ!」

そんなところだろう。

彼も彼女も悪くない、悪いのはぜんぶ神様や。


***


-もの-

Starbucks
ご当地マグカップ“TOKYO”

昔のロゴが懐かしい2009年モデルのご当地マグ東京。
「そういえば日本人、特に都会で生活する人にとって一番よく見る神様はスタバのロゴであるセイレーンかもしれない」と書き出しながら、海の神様だと思っていたセイレーンについて調べたら、神の娘ではあるものの、どちらかというと怪物という扱いなのね。

航路中に岩礁から美しい歌声で人を惑わし、遭難や難破に遭わせ喰い殺すのがセイレーン。だから航海中に美しい歌声が聞こえたら耳栓をして聞こえないようにしないといけないんだって。

「スタバでもいく?」ってけっこうコミュニケーションのきっかけに使われるセリフだけど、スタバにはセイレーンがいるし気をつけて。甘い言葉には魔物が潜んでいるかもよ・・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?