「書く」で、好きな世界を0.01mm動かす
「書く」ことで、好きな世界を知ってもらう。いい偶然をつくる
お茶好きになってから約9年。
最近は、お茶の「好き」とぶつかる"いい偶然"を増やしたくて、
日本茶のドキュメンタリー映画をつくっております。
(年内に完成・公開予定です!)
一方、映画で伝えるのは、茶畑から一杯の日本茶体験まで。
一杯の日本茶によって広がる「いい日常」のシーンや、
人の変化までは映画では伝えきれません。
そこで、映画の制作・公開と並行して、SNSやWebページを中心として、
同じ志の仲間と共に、
「お茶を楽しんでいる現代の生活シーン」
「お茶が生活に馴染んでいる素敵な人の姿」
をどんどん発信し、現代の日本茶カルチャーをつくってていきたいと思ってます。
その際、具体的な取り組みの一つ、中核となるのが「書く」ことです。
そこで、このSNS時代に、伝わる・伝えるための「書く」技術について、
体系的に学んでみたいと思っていました。
そんな時、友人の編集者であり、カフェ探索アプリ"cafe snap"の代表である
大井彩子さんに紹介してもらった本が今回の主役。
編集者 竹村俊助さんの、
という書籍です。
とっても面白く学びが多かったので、
今日はこの本で、自分にとっての気づきや学びになった点について書いてみたいと思います。
「書くのがしんどい」のはなぜか?
この本では、「書くのがしんどい」が「書くのが楽しい」に変わるために、著者が長年かけて体得した技術が書かれています。
まず、「書くのがしんどい」を構成するものを分解してみましょう。
「書くのがしんどい」とは、次の5つから成る。
1. 書くことがなくてしんどい
2. 伝わらなくてしんどい
3. 読まれなくてしんどい
4. つまらなくてしんどい
5. 続かなくてしんどい
そして、この(1)から(5)を、次のように転換できると、
「書くのが楽しい」に変わります。
「書くのが楽しい」とは、次の5つから成る。
1. 書くことが見つかる
2. 文章をわかりやすくする
3. 多くの人に読まれる
4. 読み手の気持ちを動かす
5. 書くことを習慣化する
1. 書くことがなくてしどい → 書くことが見つかる
私自身も、書かなければと思うけど、筆が進まなくて「自分って書く才能ないな。。」と思うことがよくありました。
ちょびっと自信を失いかけていましたが、この本の中にヒントがありました。
それは、書くことが見つからないという人は、
「作家マインド」でなはく「編集者マインド」への転換が必要。つまり、
「自分のことを書こうとする」からしんどいのであって、
「自分の周りのことを取材をして、自分の心の動いた瞬間を編集して書く」スタイルに切り替えれば楽しくなるとアドバイスでした。なるほど。
このスタイルに転換すると、まず「書く」の前に「取材」が入ってきます。
しかも、この取材は、何もプロが取材先に準備万端、たくさんの機材を持って訪れるそれではありません。
取材対象は自分な好きなことや自分の興味がある人・もの。
そして取材も、わざわざ遠方に訪問する必要はなく、
日々の生活の中でこれまでより少しアンテナを高くして鑑賞する・楽しむことが、ここでいう「取材」になります。
これは、なんとなくワインテイスティングに似ているなぁと思うのですが、
テイスティングの表現が「書く」ことであれば、目の前のワインだけでなく、
普段の生活からアンテナを立てて、香りや味に興味を持って収集することが
「取材」に当たるなと。
あの田崎真也さんも、目の前のワインの表現の前に、普段の生活の中で香りの表現のストックを増やすことが重要と話しています。
「好きなこと」を対象に、誰かに伝えたら楽しんでもらえることはないかな、というアンテナを高くして毎日を楽しむ、それが個人の「書く」にとっての最高の取材だと思います。
2. 伝わらなくてしんどい → 文章をわかりやすくする
・一文を短くする
・なるべくわかりやすい表現を使う
・説明しなくてもいいものを削る
・論理的である
・読み手の前提知識を考慮する
これらは他の文書術の記事でもよく出てくる、文書をわかりやすくるための技術だと思います。
本書でも、これらの技術が紹介されいますが、個人的には、これをどのようなモノサシしで組み合わせていくか、その辺りの感覚がつかみきれずにいました。
このモヤモヤを、スッキリと晴らしてくれた心地よいモノサシがこれ。
「読む速度と理解する速度を一致させる」
とてもしっくり。
わかりやすい文章を書くためのTipsはいくつもあり、世の中にもよく知られていますが、それをどう実際の文章に編み込むか悩んだ時に、
この「読む速度と理解する速度が一致する」文書になっているか?
というモノサシを当てることで、これまでより上手に文章を磨くことができる予感がしました。
3. 読まれなくてしんどい → 多くの人に読まれる
この章は、編集者としての視点の大切さが強調されています。
前提として、多くの場合、
著者の「書きたいこと」と読者の「読みたいこと」はズレている
という認識を持って出発することが大切です。
この認識を持てると、まず、著者の「書きたいこと」と読者の「読みたいこと」が重なる部分を探すという作業が始まります。
しかし、これは大量の案件を扱っているプロの編集者ならともかく、私たちのような自分の世界でしか生きていない人には、なかなかハードルが高そうな作業です。しかし、この点について、シンプルかつ誰でもできる方法を、竹村さんが示してくれています。それが、
「たった一人に届ける」ために書く
ということです。なるほど。
私が所属しているオンラインコミュニティ”コルクラボ”のメンバが書いたブログの中にも、同じことを伝えるくだりがありました。
文章。特にブログを書くにあたっての教科書的な一言。それは
「たった一人に届けるための、心を込めた文章を書きなさい」というものだ。
ちなみに、このブログを書いたラボメンは、このくだりの後に、ひたすら鬼滅の刃が好きな人に向けて、なぜ自分が鬼滅の刃が好きなのかを熱く語っておりました。愛。
するとここで、私はこのnoteを誰に向けて書いているのか?という疑問が浮かびました。うむ。そうです、私はこの本を紹介してくれた大井さんに向けてこのnote書いております。「書くのがしんどい」は全体として面白かったのですが、そのすべてを要約するような記事ではなく、たかつが面白かった・学びになったところを書くことで、本書を紹介してもらったお礼に代えたいと思って書いています。
次に、多くの人に読まれるためのもう一つの面白いポイントは、
読者にとっての「自分ごと」にしてもらうこと。そしてそのために、
「エネルギーのある5つのテーマ×自分の得意分野」を意識する
ことです。
まず、読者にとって「自分ごと」にしやすい、エネルギーのあるテーマというのは古来よりこの5つに集約されるという、いわば5つの型があり、それをおさえることが大切です。
エネルギーのある5つのテーマ
(1)お金(仕事、働き方を含む)
(2)食欲
(3)恋愛・結婚・家族
(4)健康
(5)教育
一方、この5つは、読まれるテーマ故に書く人も多く、ライバルが多い分野です。そこで、竹村さんは、
これら5つの分野に「自分の得意分野」をかけ算する
ことを勧めています。
例えば、昆虫が好きな人が、普通に昆虫のことを書いてもなかなか読まれなかったとして、そこに(3)恋愛・結婚・家族をかけ算することにより、「昆虫は不倫をするのか?」という記事を生み出すことができます。なるほど、読んでみたい!
このようにして生み出した「自分にしか書けないこと」を、この本に記載されている技術を用いて「誰にでもわかるように」書くことが、多くの人に読まれるものにつながっていきます。この章の最後に、本書で引用されている素敵な言葉を一つ。
「モテない人は自分の過去を語り、モテる人は相手との未来を語る」
by ベリッシモ・フランチェスコ(イタリア人の著者)
4. つまらなくてしんどい → 読み手の気持ちを動かす
この章は今後も何度も読み返すであろう、学びと実践の章です。
読んでもらえる文章となるためには、当然、「おもしろさ」が必要です。
おもしろさは、単に情報の内容でなく、そのものを読んで、
どんな感情の変化が起きるかにかかっています。
(以前、コルクラボ編集専科において、「いいコンテンツとは?」の時に、まさに同じ話が出てきました。)
では、感情が動く文章にするためにはどうするのか?
いくつものヒントが書かれていますが、私なりにまとめると、次の2点がポイントです。
・共感8割、発見2割のバランスにする
・「サビ」のある文章にする
共感8割、発見2割のバランスは、私にとってはとても大きな発見でした。
というのも、読んでもらう前提で何か新しい文章を書くと、どうしても新しい情報をバンバン詰め込みたくなってしまうタイプだったからです。
一方、読み手としては、新しい情報ばかりだと書き手との溝が埋まらず、途中で読むのをやめてしまいます。私自身も、新しい話のオンパレードでちょっとついていけない気がすると「これは自分には向いてない記事だな」と言って脇に置いてしまうことがよくあります。
一方で、知っている内容ばかりだと、今度は逆に飽きてしまって読まれないということになります。
その共感と発見のバランスについて、竹村さんの経験から、8:2と示していただいたのが、とっても参考になりました。
次に、「サビ」のある文章にするについて。
これは例えとして、プレーンのピザは途中で飽きちゃうけど、
いろんな具、スパイス、食感のあるピザは楽しくて飽きない、
文章も似ているとの例え話がありました。
この「サビ」のある文章については、さらにそのための技術がいくつか紹介されています。例えば、
・1行目でつかむ
・あえて具体的な固有名詞を入れる
・身体感覚を伴う表現を入れる
・「 」を効果的に使う
・たとえの達人になる
といったものです。
そして中でも、一番グッときたのが、文章の「順番」です。
この順番の黄金律が、
「共感→発見→感動」
です。
これはぜひ、竹村さんが本書の中で使用されている具体例を共有させてください。
竹内さんがサポートをしている織学というコンサルティング会社で、日本経済新聞で全面広告をうった時のメッセージです。
さて、皆さんはこの文章の、共感→発見→感動の構成、お分かりでしょうか?
答え合わせをしたい方は、ぜひ、「書くのがしんどい」を手に取ってみてください!
5. 続かなくてしんどい → 書くことを習慣化する
最後に、この本が実践の本であることの象徴として、書くことを習慣化するための手引きが書かれています。
いきなりフルマラソンを目指すと、怪我をするし挫折する。
そうでなくて、散歩からはじめよう、というコンセプトで、
具体的には、twitterのススメが書かれています。
なぜ「書くことの散歩」にtwitterがいいのか、どんなことが得られるのかが書かれています。
あ、そんなわけで、私もtwitterをやっておりますので、ここまで読んでいただいたあなた、本当にありがとうございます!
そして、よければフォローしてください。笑
さて、この章で気に入ったTipsの一つに、
twitterアカウントのプロフィール(自己紹介)があります。
ここで、竹村さんは、信頼されるプロフィールであることが大切であり、
そのために、次の3点が大切だと言っています。
① 信頼性(実名、会社名など)
② このアカウントをフォローすることで得られるコンテンツ(専門性)
③ 愛嬌
このうち、③愛嬌というのが、私にとっては初めてみるTipsで面白いなぁと。
ちなみに竹村さんは「ポテトサラダが好き。」だそうです。
私は②コンテンツが日本茶、③愛嬌が「ビギサウナー」でございます。
好きな世界を0.01mm動かす
最後に、「書くのがしんどい」では、次の言葉で締め括られています。
言葉で世界を動かそう
竹村さんは、
・書いて発信することは「世界へのプレゼン」になる
・「自分にしか書けないこと」は誰にでもある。それは、同じ言葉でも「誰が書いたか」で意味合いが全く異なる
と述べています。
このくだりだけ聞くと、まだピンとこないかもしれませんが、
本書を一冊読んだ締めくくりにこの言葉を読むと、感情が動きます。
書くことの力に、めちゃめちゃ可能性を感じます。
最後に、本書よりこの一言を引用して締め括りたいと思います。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
「これを書いてみんなに伝えることで、世界を0.01ミリでもレベルアップさせるんだ」と思う。そんな使命感を持って書くと、結果的にうまくいきます。
大切なのは、変に見返りを期待せず、ギブを続けることです。「他者に貢献しよう」という意識で発信することです。
自分が何を得ようかと考えるのではなく、他人に何を与えられるかを考えれば、結果的に自分もまわりもハッピーになっているはずです。
今こそ「読む側」から「発信する側」にまわる時です。価値を受け取る人から価値を提供する人へ。たしかに情報はあふれていますが、「質の高い発信」ができる人はまだ多くはありません。圧倒的に発信の市場はブルーオーシャンなのです。
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