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自己資本比率とは?

昨日、BYDの決算書を軽く分析してみたわけですが、前触れもなく自己資本比率やら、総資本回転率やらを書いたので、わからないと思った方も多いかなと思います。

そこで自己資本比率を簡単に説明します。これ、経営をしている人、またはこれから経営する人は絶対に必要な知識です。絶対です!


まず、商売を始めるとしましょう。必要なお金は全部で300万とします。

手元にあるお金は100万円。残り200万は銀行から借りました。

この場合の自己資本比率は100÷300=0.333 約33%ということになります。

これでおしまいなんですが、この意味を説明しないといけません。

自己資本比率とはそもそも何なのか。上の例でわかるとおり、商売に必要なお金のうち、どれだけを自己資本(自分のお金)でまかなったか(まかなっているか)、その比率のことです。

自己資本比率=自分のお金÷商売に必要なお金(調達したお金の総額)ということです。すごく簡単に言うと。

その比率に何の意味があるのか、ということを説明します。大事ですよ。

まず、自己資本比率が高いと、経営上何か良くないことが起きても耐えられます。自己資本比率は、予想外の出来事に耐える力がどれくらいあるか、ということを意味します。

なんだかよくわからないと思いますが、そういうものだと思って下さい。人間で言えば、「体力」に相当します。

自己資本比率が低いと、ちょっと売上が下がっだけで、あっという間に倒産したりします。逆に自己資本比率が高いと2~3年赤字でも平気だったりします。体力というのはそういう意味です。

事業をやっているといろんなことが起きます。うまくいかないことも多々あります。予想外のことも普通におきます。

そういうときに自己資本比率が高いとなんとかなるわけです。例えばコロナのときを想像してもらえばいいです。

事業というのは予想通りにいかないことを前提にしないといけません。ですから、事業を続けるためには、自己資本比率を高く維持しておくことが極めて重要なんです。

ちょっと話を最初に戻しますと、自己資本比率が低いということは、事業に必要なお金の多くを借りてきたことを意味します。これ、常識的に考えてあまりいいことではない、というのはわかりますよね。

お金を借りると返済しなければならない。借金がなければ返済はないわけです。当たり前です。返済があるということは、その返済の金額だけ、(借金がない場合に比べて)余計に利益を出さないといけないということを意味します。つまり、事業を順調に運営するためのハードルが上がるんです。これは危険なことです。単純に借入があれば経営の危険度が増すわけです。

事業運営を途中で断念せざるを得なくなるのは、資金繰りがつかなくなるからです。利益が出ていないからではない。お金がたりなくなるから。これは似ているようでまったく違う話です。利益が出てないからお金が足りなくなるんだろうと思うのは、浅はかな考えです。100%間違いです。このあたりはいずれ説明したいと思います。大事なことなんで。

ちょっとまとまりがなくなってきましたが、要するに自己資本比率は高い方がいい。自己資本比率は全体のお金のうち、どの程度の自己資金でまかなっているかの指標だということ。これくらい覚えておけばいいんです。細かいことはいいです。

では、どの程度の比率なら安全なのか、ということですが、これは考え方でいろいろあると思います。厳しく見る人、とりあえず回ればいいんだから、という人、世の中だいたいこれくらい、という人。どれが正解とは言い切れません。

私は実際の経営者と毎日のように会ってますし、数値もずっと見続けています。そういう現場の感覚からすると、次のようにまとめられます。

  • 10%未満・・・ほぼ倒産状態

  • 10%~20%・・・すぐに手を打たないと倒産

  • 20~30%・・・楽ではないが、なんとかなる状態

  • 30~50%・・・とりあえず夜眠れないことはない

  • 50%~・・・ほぼ無借金状態。資金繰りが経営上の課題になることはない

決算書を分析するということは、たくさんの比率を計算したり、すごく面倒な印象があるかと思いますが、たくさんある比率の中で一つだけ選べ、と言われたら迷わず自己資本比率を選びます。

極論を言えば、自己資本比率だけ見ておけばいいと言ってもいいくらいです。それはちょっと乱暴なんじゃないか、と思われるかもしれませんが、自己資本比率がいかに多くのことを語っているのかは、勉強していけばわかるようになります。

自己資本比率が高い会社は、もうかっている会社なんです。もちろん例外はありますが、あくまで例外です。自己資本比率が高いことは経営がうまくいっていることを示しています。

最初、自己資本比率の式を書きましたが、あそこで自分のお金と言ったのは実は中身が2種類あります。

自分のお金=事業を始めるときに用意したお金+事業をやりながら蓄積した利益

自己資本比率が高いということは、式の後半部分、利益が積み重なっていることも意味します。つまり、自己資本比率が高いということは、利益が出ていることを間接的に示しているわけです。つまり自己資本比率は損益も反映しているんです。自己資本比率が高いともうかっているはず、と判断するのはそういう理屈です。

自己資本比率は実に多くのことを語ってくれます。資金繰りの状態は当然、経営方針、経営者のレベル、損益の状態、過去の損益状態までわかります。今述べたとおりです。中小企業の場合、節税に熱心かどうかまでわかります。

自己資本比率を見ずに経営することは真っ暗闇をアクセル全開で走るようなもの。損益ばかり見て、自己資本比率を見ないで経営すると、危険があっても気がつかないんです。そして倒産する。「黒字だったはずなのに、なぜお金がないんだ!」ということになってしまうわけです。

こういう比率はこういう説明を読んだくらいでは、なかなか身につかないと思うので、またいずれ実際の上場会社の数値を見ながら計算してみたいと思います。


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