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プランターとして売られていたもの

一時期、ヤフーオークションをよく見ていた時期がありました。
それは珍しいものがたまに出品されていたからです。

ある時、珍しいものが意図しない出品のされ方をしていて驚きました。

この枡は明治29年(1896)に広島県で製作された一升枡です。
観葉植物のプランターとして出品されていました。

なぜ年代がわかるかというと、左側に「二十九 廣 正」と焼印があるのですが、これは検定証印といって、検査に合格した際に押される使用許可印なのです。
計量器は国や都道府県によって検査を行い、一定以上の精度がないと販売できませんでした。
検定証印は時代によって型が異なり、上記のものは明治26年(1893)~30年(1897)に使用されていました。
「二十九」は年代、「廣」は府県名(この場合は広島県)、「正」は検定証印 という意味です。
右側にある「定(異体字)」は、定期検査で合格した際に押される「定期検査証印」です。

興味深いのは、検定証印および定期検査証印の上から○型の斜線がそれぞれ押されている点です。
実はこれ、定期検査で不合格になり、使用不可とする「消印」なのです。
不合格になると使用できないよう破壊してしまうこともあり、現存しにくい資料なのです。

今回、プランターとして出品されていたこの枡はさまざまなことが読み取れるものだったため、研究目的で自分が落札しました。

実は定期検査で不合格になった理由も目星がついているのですが、それはそれで記事が長くなってしまうので、一旦ここまでとさせていただきます。
また別の機会に記事にしようと思います。

この一升枡は『ただいま収蔵品整理中 Vol.1』の表紙に採用しています。

郷土資料館(博物館)での資料整理を描いた本作品は以下のオンラインストアで頒布しております。
ご興味があればぜひご覧いただければと思います。

【参考文献】
東京都計量検定所 一九七六 『東京の計量100年』

いただいたサポートは創作活動(製作費、取材費、参考資料の購入費など)に活用させていただきます。