見出し画像

夕暮れの1フレーズ

 この記事が、「歌詞の1フレーズから物語を作ってみよう」シリーズの
第1作目です。
 物語や文章のどこかに含まれている1フレーズを時には探したり、時にはどんな意味があるのか考えながら読んでみてください。


 目が覚めた僕は昨日と同じように彼女に「おはよ~」とLINEを送った。
 僕は昨日買っておいたパンを2つ食べて大学へ向かう準備をしている。
 と、その時スマホが鳴った。見てみると彼女からの「おはよー!」というLINEと絵文字が送られてきていた。既読をつける前に僕は家を出た。

 彼女はいつも朝はスタンプ1つしか送ってこないのにどうしたんだろうか。
 何かいいことでもあったのかな?そう思いながら大学へ向かう。
 大学ではフル単を目指しているから今日も1限から4限までびっしり講義が入っている。
 僕の通っている大学は背伸びしてギリギリ入れるような大学のため、どの授業もスマホをいじっている暇などない。

 _____キーンコーンカーンコーン
 2限の終わりを告げるチャイムの音が僕の鼓膜に届いた。
 お昼は大体いつも同じメンバーで食べている。
 3日後には忘れてるような話をしながら彼女からのLINEに既読だけつけて、お昼が終わる10分前まで友達と一緒にいた。

 3限も今まで通り頑張って授業の内容を頭に詰め込んだ。
 そして3限も終わり、次の教室に移動する間にスマホをつけた。
 そうすると、「後で話したいことがある、帰りいつもの交差点で待ってて」と、彼女からLINEが来てることに気づいて嫌な予感がした。(いつもの交差点とはよく彼女と立ち話をしている交差点のことだ)

 4限は彼女からのLINEで頭がいっぱいになり何の講義を受けたかなんて覚えていない。大学が終わり、不安で押しつぶされそうになりながら約束の交差点に向かってると、1つの描写が頭の中に飛び込んできた。
 それは朝彼女がいつもと違うLINEを送ってきたことだ。
 余計に頭が混乱してきている。あれはどういう意味だったのか。そんなことばかり考えていると、約束の交差点に着いていた。

 彼女はもう着いていて、僕はおまたせ、と、声をかけた。
 沈黙が一瞬続いたと思ったら、彼女から急に呼び出してごめんねと言われ、実は私・・・と、話を切り出した。

 実は私もう僕くんとはいれない。理由は言えないんだけど突然でごめんね。
 そう言って僕の返事を待った。
 頭が真っ白になり、「うん、わかった」としか言うことができなかった。
 彼女は「今までありがとう、サヨナラ」とだけ言い残し、交差点を後にした。

 意味もなく立ち尽くす僕に、半分沈みかけている太陽が温かい目で僕を照らしている。
最後に君がくれたサヨナラが焼き付いて火照りが取れない

 いや、君のサヨナラじゃなくてただ太陽が照らしているからだ。
 目から落ちる冷たい何かが火照った僕の頬を冷ましていく。


 終わりはいつも突然だ。ただチャンスも突然やってくる。

 掴んだものは離さないよう、チャンスは見逃さないように明日も1日を生きようじゃないか。


この記事が参加している募集

忘れられない恋物語

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?