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キャリアに関する理論1 - ドナルド・スーパー

現在通っているキャリアコンサルタント養成講座で学んだことを、復習を兼ねてまとめています。
(2024年3月に受験予定です!)


理論上の主要概念

自分の理論的立場を「差異-発達-社会-現象学的心理学」と表現した。
1951年、1963年、自己概念の理論を著する。
特定因子理論と自己概念とを統合することで現実的な職業心理学、職業(キャリ)発達が構築できるとした。

キャリア発達の理論的アプローチの14の命題

研究から得られた知見を集大成にして"命題"と命名。

  1. 人はパーソナリティの諸側面(欲求、価値、興味、特性、自己概念)および能力において違いがある。

  2. これらの特性から見て、人は各々多くの種類の職業に対して適合性を示す。

  3. 職業には、必要とされる能力やパーソナリティ特性の独自のパターンがある。職業についている人の多様性が見られるように、個人も多様な職業につく許容性を有している。

  4. 職業に対する好みやコンピテンシー、生活や仕事をする状況は時間や経験と共に変化し、それゆえ自己概念も変化していく、このような社会的学習の成果としての自己概念は、選択と適応において連続性を提供しながら青年期後期から晩年にかけて安定性をましていく。

  5. 自己概念が変化していくこのプロセスは成長、探索、確立、維持、解放の連続として見なされた一覧のライフステージ(マキシサイクル)に集約される。(一部割愛)ミニサイクルは個人のキャリアが不安定になるたびに起こる。このような不安定で試行錯誤に富むキャリアには、新たな成長、再探索、再確立といった再循環(リサイクル)が含まれる。

  6. キャリアパターンとは、到達した職業レベルである。(途中割愛)キャリアパターンの精汁は、各個人の親の社会的経済レベル、本人の知的能力(メンタルアビリティ)、教育のレベル、スキル、パーソナリティの特徴(欲求、価値、興味、自己概念)、キャリア成熟、および個人に与えられた機械によって決定される。

  7. どのライフステージにおいても、環境と個体差の要求にうまく対処できるかどうかは、これらの要求に対する個人のレディネスの程度による。

  8. キャリアの成熟は、心理社会的構成概念であり、それは成長から開放までのライフステージの一連の職業的発達の程度を意味する。(途中割愛)

  9. ライフステージの各段階を通しての発達は、部分的には能力、興味、対処行動を成熟させること、また部分的には現実吟味や自己概念の発達を促進することによって導かれる。

  10. キャリア発達とは職業的自己概念を発達させ実現していくプロセスである。キャリア発達のプロセスは統合と妥協のプロセスであり、生まれ持った適正、身体的特徴、さまざまな役割を観察したり担う機械、役割をこなした結果を上司や仲間がどの程度承認しているのかの自己認識との間の相互作用によって自己概念は作られる。

  11. 個人要因-社会要因間および自己概念-現実間の統合と妥協とは役割を園児、フィードバックを受ける中で学習することである。(途中割愛)

  12. 職業満足や生活上の満足は、個人の能力、欲求、価値、興味、パーソナリティ特性、自己概念を適切に表現する場をどの程度見つけるかによって決まる。満足感は人がその役割を通し、成長し探索的な経験を積み、自分にとって合っていると感じられるような類の仕事、仕事の状況、生活様式に身を置いているかどうかによる。

  13. 仕事から獲得する満足の程度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。

  14. 仕事と職業は大抵の人にとってパーソナリティ構成の焦点となる。しかし、仕事や職業が周辺的・偶発的で合ったり、全く存在しない人もいる。余暇や家庭といった他の焦点が中心になる人もいる。個人差と同様に社会的伝統が労働者、学生、余暇人、家庭人、市民のうちどの役割を重視するかの重要な決定要因である

キャリア発達の理論的アプローチの主要な構成概念

キャリア自己概念

自己概念=個人が自分自身をどのように感じているか、自分の価値、興味、能力が如何なるものかということについて、個人が主観的に形成してきた事故についての概念(主観的自己)と他者からの客観的なフィードバックに基づき形成された概念(客観的自己)が個人の経験を統合して構築されていく概念である。

自己概念は多面的な構造から成り立ち、キャリアに関する側面がキャリア自己概念である。

自己概念はキャリア発達を通して形成されていく。

職業的適合性

ライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチ

スーパーは、キャリア発達に「役割」と「時間」の考えを取り込み、それに影響を与える決定要因と、その相互作用を含む包括的概念として、ライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチを提唱した。
キャリア発達を「ライフ・スパン」(時間の視点から捉える)+「ライフ・スペース」(役割の視点から捉える)という2次元を持つ「ライフ・キャリア・レインボー」と呼ばれるグラフィックで表現した。

人は「ライフ・スパン」と「ライフ・スペース」という2次元の荒天の中で生きていることがわかる → 個人の現在の位置付けを認識する座標として、個人のキャリアの方向性を計画するのに役立てることができる。

>>ライフ・スペースの理論的アプローチ

ライフ・スペース(ライフ・キャリア・レインボーの役割軸)は、仕事に関するものだけでなく、人生のそれぞれの時期で果たす役割全体を表す。キャリアを単なる職業だけでなく、個人が経験する多様な役割とその取り組み方によって構成されるという立場に立つ。

多くの人が一生涯を通じて経験する共通した役割として、「子ども」「学ぶことに従事するもの」「余暇を過ごすもの」「市民や国民」「労働者」「家庭人」「その他」の7つの役割を挙げている。

これらの役割が演じられる生活空間=アリーナとし、「家庭」「学校」「地域社会」「働く場」の4つが最も一般的とした。

役割は相互に影響し合っており、多数の役割を持つことは人生を豊かにもするし、時には過度な負担を強いることにもなる。(→命題14)

>>ライフ・スパンの理論的アプローチ

人生構造は固定的でなく、発達的なコースを歩みながら、ときに再構築を必要とする。一生涯にわたる選択や変化を予測可能なものと説明するため、個人のキャリア常に「ライフ・スパン」という発達的視点を盛り込んだ。

生涯を通じた一連のライフステージをマキシサイクルと呼び、人間の一生涯を5段階に分け、各段階で発達課題を示した。(→命題4, 5)

それぞれの発達段階には暦年齢にゆるく関連した移行期(transition)があるとし、移行期にはミニサイクルが含まれる。ミニサイクルとは、ある段階から新たな段階へ進むための意思決定の過程で、新たな成長、再探索、再確立といったリサイクルが含まれる。各移行期はミニサイクルの各段階が繰り返されることを意味する。
生涯キャリア発達は直線でなく、螺旋状に発達する

>>キャリア・アダプタビリティ

青少年期における職業選択レディネスとしての「キャリ成熟(career maturity)」はキャリア発達場、重要な概念である。しかし、成人期以降はこのキャリア成熟に求められる計画的態度や意思決定能力を応用し、新たな職業選択や職業適応することが必要であるとし、「キャリア・アダプタビリティ(career adaptability)」という新たな概念を提唱した。

>>キャリア自己概念とライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチ

自己概念を具現化する試みとして職業選択を見ることは、個人の持っている自己像を職業という言葉に置き換え、理解し、職業に就く準備を整え、職業について探求し、より幅広い希望を実現しようと努力することを意味する。

キャリアは人が一連の発達的課題に遭遇し、なりたい自分になれるよう試みるライフ・コースであり、適合プロセス。

職業の選択に自己概念を一致させること

人と職業とのよりよい一致へと導く

変化し得る自己や変化し続ける環境においては完了しないもの
(命題3, 9, 12, 13)

>>アーチ・モデルの構築

スーパーは晩年、ライフ・キャリア・レインボーの考えを基盤としながら、個々人が自己と環境に対峙して、
さらに実行に移しやすいモデルを提供することを目的として、アーチ・モデルを構築した。


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