【スーパーカップ】2023.2.11@国立競技場
今季を占う初戦。
相手はJリーグ覇者横浜Fマリノス。
J 1最多得点と最小失点を誇り、充実のマスカット体制継続のまさに最強チームである。
一方の甲府は天皇杯を制したとはいえ、J 2の18位。吉田達磨監督のサッカーが最終盤に結実したものの、リーグ低迷が響き、監督交代。
速攻主体の4-2-3-1を掲げる篠田新監督のもと、今までのボールを動かすサッカーからの大きな転換に舵を切る。1ヶ月足らずの準備期間で、期待より不安の方が大きい状態で大一番を迎える。
【スタメン】
ウタカ
水野 長谷川 鳥海
佐藤 松本
三浦 マンシャ 山本 須貝
河田
【サブ】
渋谷 関口 井上 品田 武富
ジェトゥリオ 三平
注目は、現段階のチーム完成度と、新戦力。また、既存戦力が新チームでどのような輝きを放つかだ。
結果は1-2の惜敗。内容は惨敗だった。だが、もともとからあるマリノス側のアドバンテージを考えると、選手の頑張りは凄まじく、来週からの開幕に明るい兆しが見えた試合だったのではないだろうか。
【収穫】
ウタカが決め切ったことは大きい。ボールキープの面で物足りなさはあったが、相手はマリノス。さすがの同点弾だった。
鳥海の重要度は今季もかなり高く、守備面、攻撃をリンクさせる役割を担う。昨季は、決定力さえあれば無双状態にまで存在感を増した。今季はウタカがいることで、ラストパスの選択がアシストとして実を結ぶ確率が格段に増した。間違いなくキープレイヤーになる。
三浦颯太。この試合の肝。マリノス相手に最大のインパクトを残したのは、この左サイドバックだろう。タイミングの良い走り出し、伸びのあるドリブルは脅威的。さらに、ボールの奪いどころとして非常に機能していた。
マンシャもトレーニングマッチではコンディションが心配されていたようだが、本番では、最後まで体を張って粘り強くゴールを守れていた。
ジェトゥリオも直前のオフサイドがあったとはいえ、目の覚めるようなシュートを突き刺しており、ブレッシングも効果的に作用。今季は違うという片鱗を見せてくれた。
須貝キャプテンを中心に、天皇杯決勝には及ばないものの、熱量をもって王者に挑むチームの姿は素晴らしかったし、内容を上回る健闘は、チーム内のコミュニケーションや、闘う気持ちがピッチで表現できていたことの証明ではないだろうか。まだまだ始動したばかりのチーム課題はマリノスから数多く突きつけられたが、ひとつひとつ乗り越えてJ1の舞台で再びマリノスと対戦して、成長を見せつけたい。
【課題】
なんといっても、セカンドボールの回収と、拾ったボールの扱いだろう。
マリノスだから、で済むのであればいいが、奪い切れる場所が左サイド限定では心許ない。
一発で裏を取れた時の破壊力は昨季にはなかったものがあるだけに、中盤の構成力を含めてボール保持の力が圧倒的に不足している。
長谷川の良さもほとんど発揮できていなかった。途中出場の武富の巧さは衝撃的で、保持、はたき、全てが異次元だった。彼が中盤でタクトを振るうことでリーグ戦では解決が見られそうだが、中盤の構成の最適解は、しばらく模索することになるだろう。
とはいえ、0-5といった圧倒された敗戦もありうる中で、1-2という最小得点差で試合を終えることができたことは、自信になる。
これでもかと見せられたチームの課題と、王者に通用した収穫を手に、慢心なく、クラブは進んでいける。
地に足をつけて、J1の舞台へ。
前哨戦の中で、篠田甲府の夢への第一歩は、確かに、国立のピッチに刻まれた。
開幕まで1週間。
いよいよ、サッカーのある日常が帰ってくる。