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【感想】100ワニとは何だったのか~~チェンソーを添えて~~【テーマ推察】

熱心な友人の押しに負け、今更ながら『100日間生きたワニ』を映画館にて観てきた。
曰く、「是非見てほしい」「今しか見れない」「見てくれたら昼飯奢る」
あまりにも胡散臭いので、映画の費用以上のリターンとしてスイーツパラダイスを奢るならばと吹っ掛けたところ、まさかの『YES』。

こうなると一周回って興味が湧いてくる。映画自体の内容然り、その友人の真意然り――捨て置くわけにもいくまい。

ここまでで既にバレているとは思うが、僕は『100ワニ』の熱心なファンではないし、2019年の連載当時もリアルタイムでは殆ど追っていなかった。精々、最終話直前に全話一挙に流し見た程度である。――だからこそではないが、フラットな感覚でこの映画と向き合うことが出来た。

さて、本題に入ろうか。
このnoteでは僕が実際に「100日間生きたワニ」を観てきた感想とレビューについて語る。
100円という値段設定については、無料にしておくと他の膨大な感想noteに埋もれてしまうからである。(100ワニと掛けたからだけではない)
ネタバレありの箇所以降を有料としたので、ネタバレなしのレビューが面白ければ読んでもらえると幸いである。


先ずはネタバレなしの感想から。

全くのB級、駄作という訳ではない。どうしても退屈なパートがある事は事実だが、中盤以降の劇場版オリジナルストーリーの描かれるパートではある種の不穏さと緊張感があり中々どうして目が離せない。
「ワニ」というキャラが死亡することは観客共々、一様に理解している事柄であり、敢えてその先を知ろうというのだから観客は主人公「ワニ」不在の世界で誰に感情を寄せるかについて今一度注意を払う必要になる。ここで仮に今は亡きキャラクター「ワニ」を見守る立場で映画に向きあってしまうと、まるで自身が無視されているかのような、ないがしろにされているような気分になってしまう。そして、それは様々な批評で槍玉にあげられていたとあるキャラの言動や位置づけへの不満として表面化することになる。ひいては映画全体に対して(些かオーバーなほどの)悪感情を抱くことになるだろう。これについては作品の構造上の問題点であるといえる。
敢えて、あくまで敢えてであるが僭越ながら視聴済みの僕がこの映画の楽しみ方を指南させてもらうのならば、この映画は何気ない日常を歩む中で「ワニ」との別れについて折り合いをつけよういうものであり、この映画における主人公は「ワニ」の友人であった「ネズミ」であることを意識されたい(先輩ワニでも良いがよりわかりやすいだろう)。
そうすることで初めて「100日後に死ぬワニ」の続編としての作品のテーマに触れられるのではないかと思う。もちろん楽しみ方は人それぞれで良いし、感想も十人十色だ。討論する気も意味も大して無い。ただ、わざわざ劇場に足を運んで鑑賞した僕の思う見方がそうであるというだけだ。
今からでもギリギリ間に合う。もうこれで最後になるかもしれない。「100日間生きたワニ」、皆さんも自身の目で確かめてはいかがだろうか。
                              以上


――で、ここからがネタバレありの所感だ。

ファーストインプレッション

あーだこーだ言う前に映画を観ながらとある作品を思い出したことについて述べたい。
その作品というのが2021年7月19日に『少年ジャンプ+』(集英社)にて公開された藤本タツキ氏の読み切り『ルックバック』である。週刊少年ジャンプで連載されていたあの『チェンソーマン』の作者だ。

『ルックバック』は143ページという読み切りらしからぬボリュームも然ることながら、内容、作画、クオリティetc……兎にも角にも一大センセーショナルを引き起こしたことは記憶に新しい。(え?読んでないって? ――こんなところにいないで読んできなさい、無料だから。丹念にね。話はそれからだ。)

この『ルックバック』と『100日間生きたワニ』の共通項は友人が不意に亡くなってしまうという点にある。尤も、こういった題材の作品は他にもたくさんあるし、共通項があるだけで似ているだとか、ましてパクリなどとは言っていない。(制作時期同じだし当たり前だけどね)

共通項の話に戻るが、『ルックバック』では不意に亡くなってしまった友人の死を上手く受けきれずにいる主人公がどうにかして(ここについては解釈が複雑)再び自身の日常を歩みだすといったシーンで終わりを迎える。

一個人の感想ではあるが、僕としては今回の「100ワニ」の結びと「ルックバック」の幕引きには非常に似通ったものを感じる事が出来た。
その辺りを手掛かりにして以下のような項目を通じて、所感を述べていきたい。

1、よく挙げられる映画への不満点への注釈
2、演繹的にラストを観る
3、カエルとは何だったのか

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