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読書録:悪い本じゃないけど僕は合わなかった。「ハッカーになろう」が広く読まれてほしいなあ。モチベーション3.0(ダニエル・ピンク)

タイトルがこれで、表紙が著者の写真。「あー嫌だなあ」と思いながら、ライフロング・キンダガーデンでも「日本の15歳はなぜ成績が高いのか」でも大きく引用されてたので、課題図書みたいな気持ちで読んだ。

本そのものは悪くないと思うけど、自分にはあわない所が多かった。

主テーマである

・自分がやりたいと思ってはじめ、夢中になっているときに、人間のモチベーションは最大になる
・他のモチベーション刺激策(特別ボーナスとか)は帰ってモチベーションを阻害することもある

はわかる、本書でも引用されているカーネマン他、多くの行動経済学でもそれは実証されている。「ファスト&スロー」はめちゃめちゃ面白かった。

著者のTEDトークも面白かった。

問題は、それをどうやってまとめて、会社や仕事に応用するかだ。それはそもそも難しい問いなんだけど、本書でもむりやり簡単なTipsにまとめようとして無理が出てることが多いと感じた。

たとえば良い例が「コールセンターを在宅勤務にしたら大卒者でも希望者が増えた」みたいなものだったり、著者が創造的と定義してる仕事が曖昧すぎる。

また、
・ハッキング(中に入り込んで診断)
・「新たなブラウザや高性能のサーバーソフトウェアを開発するために、自らその目的のために集まったチームであるオープンソース・プロジェクト」
みたいなハテナマークが浮く表現も目立つ。
Wikipediaやオープンソースプロジェクトへの言及がよく挙げられるが、それらは「自分たちが欲しいものを作る」ということが第1にあるはずで、それは会社のマネージメントに当てはめるのはけっこう難しいはずなのだ。そこをわかりやすく書こうとしてるところにムリが生じてるように思う。

モチベーションは誰と働くか、一緒に働く人がどういう振る舞いをするかといったことが大きく働く。本書にあるこの図も、大きく効果があるのはマネージャーも一緒に手を動かすことだったりするけど、そういうことは書いてない。

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この本に出ているような話を考えるなら、ファスト&スローなどの行動経済学の本や、何よりも「ハッカーと画家」を読んだ方がいいと思う。

さらに、「ハッカーになろう」「伽藍とバザール」「ノウアスフィアの開墾」「魔法のおなべ」などのオープンソース関連ドキュメントを呼んだ方がいいんじゃないかな。。。これらはぜんぶ無料でオンラインで読めるし。



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