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#MicroMBA 第6回 最終回 実験 experimentation 行動経済学とデザイン思考は同じもの(言葉で終わるものはなく、行動とフィードバックこそが思考をつくる)

6回のMicroMBA講義も今回が最後。最後のテーマは「実験」だ。
Sally Sadoff先生は経済学の専門家。

計6回の講義内容レポートはここにまとめた。

実験は圧倒的な効果があるが、ちゃんと実験することそのものがけっこう難しい

今回のテーマはデザイン思考の講義とかなり通じるところがある。実験とはつまり、やらないと理解できないことを試行することだ。つまり行為が実験だ。
それは圧倒的な効果があるが、結果を受け取って再試行することではじめて意味を持つ。その全体をちゃんと行うことは、デザイン思考と同じように難しい。

宿題はアメリカの社会問題対策についてのクイズ

たとえば、犯罪者をフルメタル・ジャケットみたいな軍隊キャンプに入れたら再犯率は減るか?みたいなやつだ。

ネタバレは禁止だろうから、僕の成績だけ言うと、問題は全部三択なのでランダムに答えても33%はいくはずなんだけど、それより低かった。
なにかのバイアスがあって、アメリカの対犯罪プログラムで、普通よりもダメな理解をしているらしい。

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受講者平均が5なのでそれより低い。

このアンケートを行った真意は、アメリカで社会問題を解決するために多くの行為が行われている。たとえば先ほど紹介した犯罪者を軍隊に入れる、ドラッグ障害者に弱いドラッグを与える、などだ。そして、効果がでているものも出ていないものも、かえって悪化したものもある。
それぞれプロフェッショナルが担当してかなり予算を投下して行っている行為なので、充分にちゃんと検討しているはずだが、効果ナシや逆効果がかなりある。そしてなにより、事前の話からの予想はたいしてあたらない。(これが宿題の意味だ)

価格を決めるときにインタビューやアンケートは意味あるか?

よくある調査に、製品価格をいくらか決めるアンケートたインタビューがある。「xxxがいくらだったら購入を検討しますか?」みたいなやつだ。
これはほとんどの場合でちゃんとワークしない。モノを買うという行為は複合的な原因があって、価格はその一因にすぎないだからだ。

逆にこのアンケートが意味なさそう、ということは実験で証明できる。過去に行われた実験で、全く同じワインを$10,$20,$40の別々の価格で、かつそれぞれに安価なワインと高価なワインにわけて売ったもの実験がある。結果として売れる数には差が出てしまう。とくに高価なワインとラベリングしたものは、$10より$20のほうが売れる数そのものが増える。
これがベースボールカードの価格みたいなものだとさらに摩訶不思議な価格変動をしめす。価格を決めるオークションをやってみると、さらにバラツキは大きくなる。

ランダム化比較試験と行動経済学

ほかにも、モノの価格は広告などの影響を受ける。ランダムで2グループを作って比較するアプローチはかなり有効だが、そのグループ分けにバイアスが入らないという保証はない。旧来型のF1層がどうのこうの、という大雑把なクラスタ分けは、かなり信用できない。
そうした実験は行動経済学のコアだ。

実行前の予測と実行した結果が違うからこそ行動経済学は注目されている。今の世の中は実験するまでわからないことがどんどん増えているし、それしかビジネスにならない。

授業でも、「実験の結果でその後の行動を変えるためにやる」ということが強調された。ビジネスの現場で実際に行われる実験は、特に組織が多くなるほど、「やってることを変えない」ための色合いを強くなる。

インターネット上のA/Bテストはその意味で最も効率的に効果的に実験ができる。ユーザー数は多いし、見ているサイトにマッチングさせるなどの環境固定がやりやすい。機械学習はそういう実験そのものと言えるかもしれない。
そのへんの話はこの本の内容とかぶる。

授業のトークはそんな感じで、あるときは統計データ、あるときは実際の商品棚の写真を見せながら、事前予測と実際がかなり違うことが例示される。もちろんどう違うかの理由の説明もされるのだけど、最も大事なのは「やらないといわからない」ということ、さらに大事なのは「言葉だけでわからないということをちゃんと理解する」ということだ。

僕自身も、2018年に出版した「ハードウェアハッカー」という書籍のタイトルを決めるときに同じことをやった。別々のタイトルを付けた本の紹介ページをいくつかつくり、それぞれにfacebook広告を出して、どのタイトルだと予約が集まりやすいかのテストを実際にやってみた。
僕がやったテストでは、元タイトル含めてそこまで極端な差はつかなかったので原著タイトルのハードウェアハッカーをそのままタイトル名にした。
今後関わる製品でもこういうことをやるつもりだ。

行動経済学とデザイン思考は同じもの

みたいなことを考えながら聴いていたら、まさに行動経済学(Behavioral Economics)の話になり、「ノーベル賞もとってる人いるし有名です、聴いたことある?」みたいな問いかけがあったので、チャットで「デザイン思考とある意味同じじゃない?」と質問したら、先生が反応してくれて「そのとおり!」と言ってくれた。

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たぶんデザイン思考も、行動中心デザインみたいな名前のほうがより具体的理解されるだろうけど、結局どういう名前にしても、それが言葉で流通する限りバズワード化するだろう。いまのところ(そしていま思いつく限り将来も)伝達における文字の力は圧倒的なので、バズワードが生まれることは避けられない。でも、人間はそこまでバカじゃないので、言葉にできないものもゆっくりと世界を変えていく。今の大企業のパワーで、言葉にできるものは実はあんまり多くない。伝達がすごいしやすいものは純粋なマネー勝負になりがちで、勝負は言葉に出来ないし、やってる本人でも言葉で説明できないところでつくのだ。

たとえばチームラボの猪子はかなり前(僕が知る限り2010年より前)からそういう事を言っていたが、彼の言うことは当時より今のほうが広まっているように思う。

僕のレポートや記事にも、「言葉にできない知恵」というワードが頻繁に登場する。実は「プロトタイプシティ」には入れられなかった(わかりづらすぎて編集からはオミットされた)のだけど、今ならもうちょい受け入れられるんじゃないかな...

Wrap-up 最後に修了証

今日の講義が最後なので、WASEDA-EDGE全体を統括している。
朝日教授から「この経験は特に若い皆さんに有効なので頑張ってください」的なあいさつが行われる。

英語結局どうだったか

うーむ、やっぱりTOEIC750点というのは正しいだろうなあ、と思った。今回のMicroMBAのテーマのほとんどは、僕の専門分野にかなり近い。なので、TOEICだいたい650点の内容はほぼ理解できたしディスカッションにも参加できたけど、そうじゃない分野や個々の事例では取りこぼしたことや勘違いも多かった。
僕はコンピュータの使い方が上手いこともあってそこまで困っていないけど、もうちょいちゃんと受験勉強やることでもう100点TOEICの点数あげることができるだろうし、それはやったほうがいいだろう。
とりあえずTOEFLのテキストとオンラインは買うけど、なんかちゃんとやる仕組みを作ったほうが良いだろうなあ。

MicroMBAについて、マガジンに全部まとめることにした

今回の授業は、僕が早稲田の関係者なので無料で受けられたので、6回全部ブログを書いて公開している。このコンテンツだけでまとめたマガジンを作って、そこに置くことにした。

アウトプットは人に読んでもらって、それを積み重ねて、勢い(モメンタム)を生むことに価値がある。

とても価値のある講義だったと思うし、これで受ける人が増えると嬉しい。

This is my magazine what I leaned 6 times of session. Thanks for the accompany for me.
谢谢同学们一起坐这些在线学习。我非常感谢,认识您们很高兴!
過去6回分のレポートをまとめました。みなさんありがとうございました!


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