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黒茶、花茶、紅茶、プーアル茶などのお茶に合わせて最適な抽出を行ってくれる、Mideaのインテリジェントお茶パーコレーターを試す。道具として完成度高く、ガチガチのプーアル茶も一発で茶葉が開くし、55℃で保温されたお茶は美味い!これは新しいお茶の形だ

中国茶の飲み方として、「工夫茶」がよく知られている。大量の茶葉に沸騰したお湯を注ぎ、茶葉をちょっと漬けてはすぐ飲み、小さい器で何杯も飲む。
僕も工夫茶は大好きで、お気に入りのお茶セット(チタン製)を持っている。

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日本の緑茶と違って、多くの中国茶はかなり高い温度で抽出するし、何煎も淹れる。日本の抹茶は60℃とかぐらいで、グラグラ煮立ったお湯を注ぐと香気が飛ぶと言われているが、花そのものを飲む花茶や、ジャスミンの香りをつけたお茶、みかんの皮の中にプーアル茶を入れて発行させた小青柑などもある中国茶の多くは、日本茶よりも遥かに香りが強く、高温での抽出に耐えるし、むしろ2-3煎めぐらいでやっと茶葉が開いてくるため、工夫茶という形式が生まれたのだと思う。
紅茶も、わざわざみかんの皮で香りをつけたアールグレイなど香りの強いものが多いので、高温で淹れる。高いお茶は温度を下げろとよく言われるが、それは日本茶だけの話で、温度が低ければいいわけではなく、高温でも香気が飛ばないお茶の世界もあるのだ。

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実は中国で一番消費が多いのは緑茶で、中国全体の60%を超える。中国でメジャーな緑茶は、高温での抽出に耐えるものも多い。

烏龍茶やプーアル茶といったものは、日本と馴染みの深い中国南方の広東省・福建省を中心とした文化だ。遣唐使・遣隋使の時代の唐と随は南方の文化で、日本は大きく影響を受けている。中国大陸の最後の王朝である清は北方の文化で、辮髪や緑茶は清の文化だが、ライオンダンスや飲茶は南方の文化だ。広東/福建の人々は海外への移民も多く、神戸や横浜の中華街はその文化を受け継いでいるので、中国茶=烏龍茶と広く知られているのだと思う。

温度はともかく、茶葉を長い時間お湯に浸しておくと、苦味が出て、どのお茶も同じような味になってしまう。茶葉の個性を楽しみたいなら、大量の茶葉を使って、そのぶんごく一瞬(数十秒)だけお湯に浸して、何度も楽しむのは良いやり方だ。
その点、工夫茶はすばらしい。

文化は進化する。エスプレッソマシンは古代にはなかった

とはいえ、工夫茶は面倒だし、そういう面倒さ含めた様式を楽しむものなので、一人で飲むときにそんなことはしていられない。中国の通販サイトでは、さまざまな「茶水分離具」が売られている。要は茶葉がお湯に浸る時間を短くコントロールする仕組みがあれば、美味しいお茶が入れられるのだ。若手のデザイナーが考えたであろう、無印的な北欧的な(でも、最近の中国らしく、控えめさよりも主張を加えた)デザインのオシャレな茶水分離具も多い。

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深圳発のブランドBUYDEEM。現代的な生活にあった中国茶具や調理器具を売っている。

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BUYDEEMで売られている茶水分離具の一つ。茶葉を固定して、上下にひっくり返すとこで湯に浸る時間をコントロールできる。

コーヒーだってエスプレッソマシンや、最近だとカプセル式が登場したのと一緒だ。今回のパーコレーターはかなり大掛かりだが、そうした新しい茶具の一つだ。

一発で茶葉を開かせ、出し切らせるインテリジェントパーコレーター

Mideaの智能煮茶壺はお湯を沸騰させ、茶葉の上から沸騰したお湯を降り注がせることで、なかなか開かないプーアル茶などを一発で開かせる。

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黒茶の一つを試してみた。レンガのようにガチガチに固めてから数年発行させたものだ。

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アイスピックのようなもの(茶刀という茶具)で塊から削り出したフレーク状の茶葉をパーコレーターにセットする。

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黒茶、紅茶、プーアルなど、茶葉の種類に合わせてダイヤルで指定する。


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黒茶にあわせて抽出スタート。お湯が沸騰して茶葉の上から降り注ぎ始めると、湯の色が変わっていく。抽出中は、部屋がお茶の香りで満たされて最高。
グラグラと沸騰し続けでなく、沸騰する→ちょっと休む→沸騰する→休むを繰り返して、いい感じに温度をコントロールしているらしい。中国茶の多くは高温に耐えると言っても、沸騰したら揮発する成分は多いので、100℃で煮出すのはよくない。

その意味で、煮立たせっぱなしが前提のパーコレーターとは、メカ部分の構造は同じだけど、実際の動きは違う。これは100℃近いけど100℃にいかない、いい感じの温度を提供しているようだ。
センサーは壺のそこに一個あるだけっぽい。インテリジェントっていってもたぶんタイマーとサーモスタット(的な動作をPWM制御でやるマイコン)入ってるだけだと思うけどな。。
中国の「智能」というワードの使い方は、かつての日本の「ファジー」とだいたい同じ。

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抽出が終わるとビープ音が鳴り、保温モードに移る。保温モードでは55℃に固定されてお茶が保管される。

フルオートで抽出完了。見事に茶葉が開いている!

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フレーク状だった茶葉が、見事に開いている。

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湯の色も申し分ない。一気に600CCもお茶ができてしまうのはちょっと変な感じだけど。。。
できてすぐに飲むと、100℃近いので、香りは立っているけど味は熱すぎてよくわからない。工夫茶と違って量が多いのでなかなか冷めないのだ。

55℃に保温されたお茶は美味しい!

しばらく置いて温度が下がると、しっかり開いた茶葉で入れたお茶は美味しい!普段のお茶よりむしろ温度が低いので、茶葉の甘みをしっかりと感じることができる。
玉露を60℃ぐらいで飲むのは理由があり、熱すぎないほうがお茶の味の隅々まで楽しむことができる。これはむしろ、工夫茶にはない魅力かもしれない。この温度を長く楽しむために、手元では保温マグに入れて飲むようにした。

烏龍茶や白茶もイケる

発酵が浅めの烏龍茶なども試してみた。

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黒茶のように長く抽出すると高いお茶も安いお茶も同じになってしまうが、花茶のように短めの抽出にすると、充分に個性がでた抽出になった。
これも55℃で飲むと、烏龍茶ならではの甘みが十分に出て美味しい。

これは工夫茶とは違う、新しい種類の中国茶だ

55℃で飲むのは、工夫茶の常識にかからない。一発で出し切るのもそうだし、マグカップもそうだ。でも、茶葉は工夫茶と同じ茶葉だし、これはこれで美味しい。
工夫茶はあの面倒さや様式含めて楽しむものだけど、美味しいお茶を気軽に大量に飲みたいというニーズは、それはそれで貴重なものだ。

このマシンだけでなく、紹介したように、中国では新しい茶具がどんどん登場している。

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メンテナンスもかんたんで、工夫茶の茶器よりも洗いやすくていい。
茶葉の量などで多少のコツはあるが、気を使わずにいつもかなりクオリティの高い中国茶が飲めるのは最高だ。

残念ながらこのマシンは220V稼働なので、通販サイトで買っても日本で使うのは大変だ。日本でも中国茶を楽しむ人は多いのだから、それこそ東芝から100V版を出してくれるといいと思う。

中国ほか、電源に不安のないところにある人は、値段も3000円ぐらいだし、おすすめ。ただ、このパーコレータは90℃以上のお湯で抽出するから、緑茶の抽出にはあまり向かない。烏龍茶の発酵浅めのやつも、自分でお湯を80℃ぐらいにコントロールして、一煎目、二煎目...と気合い入れて抽出したやつのほうが美味い気もする。

前に記事書いたTEAMOSA(量産トラブルでまだ出荷されてない)もこの智能煮茶壺も、
「美味いお茶とはどういうもので、どうやってかんたんに提供するか」という気持ちで作られてるのかが伝わってくる。
それはよくある「センサー入れてパーソナライズで最適化します」的な、オモチャっぽいIoT調理器具とだいぶ違うと思う。

他に普通の茶水分離具も持ってる人が買うぶんには絶対的におすすめできる。僕も、緑茶以外の普段飲むお茶はほぼこのパーコレーターで飲んでいる。茶葉の個性を楽しみたいことがほとんどで、美味しく淹れる手間は、やっぱりめんどうくさいのだ。

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