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King Isis / 〈Dirty Hit〉が送り出す、自由な発想で新たな扉を開く新鋭アーティスト

今週のおすすめで紹介したKing Isisですが、やはり最高すぎるので改めて詳しくまとめてみようと思います。

USのオークランド生まれ、現在はLAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、King IsisがデビューEP『scales』をPigeons & Planesのスタッフが運営するレーベル〈No Matter〉と最高のアーティストを輩出し続けるレーベル〈Dirty Hit〉からの共同リリースしました。ちなみにレーベル〈No Matter〉には、Jelani AryehHamondBrevin Kimなど新進気鋭なアーティストが所属しています。

そんなKing Isisのアーティスト名の由来は、シカゴの初の黒人オペラ歌手の一人であったIsisの曾祖母が"Omega King"という名前だったことから、King Isisというアーティスト名にしたんだとか。
幼少期に通っていた学校は白人の裕福な家庭が多く、そんな中でクラシックピアノも習い始めたのですが、Isisはかなり閉塞感や疎外感を感じで息苦しく過ごしていたそう。そこから自分自身で自由に実験的に音楽を制作したいと思い始め、現在のプロジェクトに至っています。

Isisの音楽的影響源はSOPHIEやErykah Badu、Tyler, The Creator、King Krule、Nilufer Yanyaなどの挙げており、そのアーティストからも想起させるような、さまざまなジャンルを横断したオリジナリティーあふれるサウンドを奏でています。今作ではそんなIsisのインスピレーションが見事に昇華されて、インディーロックやグランジ、オルタナ、ジャズやR&Bなどのそれぞれの要素が美しく溶け合った作品に。

タイトなビートともに疾走感あふれる爽やかな楽曲「in my ways」から、インディーR&Bのような陶酔的なムードとオルタナなサウンドが合わさった「taste of u」など、独創的で鮮やかなサウンドが展開されています。Isisのソウルフルで芯のある歌声かつ、流麗で透明感のある声質が重なることで、作品全体的に淡く神々しいムードが漂っています。

ちなみにIsisはインタビューで以下のことを語っています。

「黒人のアーティストが決められた枠にとらわれずに音楽を作ることを、みんなが受け入れてくれて、オープンにしてくれているのがうれしいです。自分が好きな音楽を作って、他の人たちも好きになってくれることに本当に感謝しています。」
NOTION

以前このブログでもコラムで「ブラックコミュニティーでのインディーの息苦しさ」というテーマで、Bloc PartyやJean Dawsonなどを挙げつつ、それ以外の代表的な新世代アーティスト、Connie ConstanceやNilüfer Yanyaなどにも触れています。

そういったミュージシャンがどんどん固定概念を変えていったおかげもあってか、King Isisのような新進気鋭なアーティストが人種やジャンルなど関係なく、伸び伸びと自由な発想で音楽を作り上げているのはとてもいいことですよね。ちなみに今後のどのような目標を掲げていますかという質問に対して以下のように語っています。

「Nilüfer Yanya、Paris Texas、Tyler, the Creatorなどとコラボレーションしたいですね。あとはもしKing Kruleと曲を作っれたら、アーティストとして「やり遂げた」という瞬間になるかもしれません。」
NOTION

それぞれのアーティストともコラボしてほしいものですね。個人的には今後の最も活躍が楽しみな新人アーティストのひとりです。ぜひチェックしてみてください。


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