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プレミアライブ観た!現在進行形の石川さゆり「有楽町のさゆりさん。」 2024年3月12日@I'M A SHOW

2024年3月12日 有楽町マリオンの跡地にできた小規模のエンタメ会場施設「I'M A SHOW」で行われた二日間限定のプレミアライブ「石川さゆり/有楽町のさゆりさん。」の初日夜の回を観てきた。

芸能生活50周年を迎えた石川さゆりは次に何を見せてくれるのか。期待を胸に大雨がふる有楽町へ足を運んだ次第である。

ちなみにわたしは彼女と同郷であるため彼女への思い入れは他県のファンとはどこか違う気がしている。もちろん勝手な思い込みではあろう。同じく熊本出身の水前寺清子が、八代亜紀が、表舞台からその姿を見せなくなった今、肥後の声を全国へ届けてくれる唯一のひと。どこにいても石川さゆりの声が伝わりきこえる環境にあることは誇らしくあり、嬉しくもあるのだ。

昨今ではヴィムヴェンダースの「PERFECT DAYS」に女優として出演したかと思えば、T V主題歌としてコミカルにだめ男も数える。いまだ毎週のように「うたコン」に出るような流行歌手でもある。この縦横無尽さこそ石川さゆりなのだ。演歌・歌謡曲の枠を超え、数々のジャンルを自由に行き来する彼女は、椎名林檎と歌っても、KREVAと共演しても、ルパン三世を歌ってもブレない。むしろ新しい世界を魅せてくれるクリエイターであるのだということが色濃く出てくる稀有な歌手であることを再認識させてくれ、ますます尊敬の念が爆上がるのである。

もともとホリプロのアイドル枠で芸能生活をスタートさせた彼女にとってはポップスを源流にした歌は不得意じゃない。昭和歌謡全盛期にデビューし、さまざまなモンスター級の先輩歌手にもまれた環境というのは、はからずとも個性を磨くことになる。ブルースやジャズ、ヒップホップに至るまでジャンルは違えど「歌」である以上はみんな同じように対応できなければ生き残れなかったのだ。ということは演歌歌手というよりも「歌手」であることが大前提。演歌歌手とまわりに言われるが、本人は決してそうは思っていなさそう。そしてそう自由に飛び回っている石川さゆりを見るのはとっても楽しいのだ。

今回の限定ライブは、コンセプトとしてはコロナ禍で培った少人数編成のアコースティックの形を踏襲したライブスタイル。二部で構成され、一部をドレス姿で、二部を着物姿でヒット曲や思い入れのある歌をダイレクトに届けるというものだった。

一部はドレス姿。ドレスというよりは「洋装」という方が適切かもしれない。黒を基調に濃淡と異なる生地でレイヤードされた重ね着風のドレスがユニークだった。ロック歌手ばりのハードなイメージだが、彼女の笑顔と人柄が固定概念を崩し、新しい石川さゆりを印象付ける。そんな姿で「能登半島」からスタート。「能登」を題材にした歌を歌っている歌手はたくさんいるが、坂本冬美の「能登入らんかいね」と石川さゆりの「能登半島」はヒット規模の大きさからいっても聞き手にとってはハイライトの一つである。今年発生した地震の余韻冷めない中、「能登半島」の歌唱は、同じく熊本地震を経験した石川さゆりにとって、わたしにとっても格別だった。

曲の紹介とともに合間合間に披露されるMCもまた楽しく、愛嬌たっぷりな彼女の人柄が出た内容で心が和む。

前半、後半と正直聞きたかった歌が披露されたのは半分もなかったが、新しくすきになった歌がある。50周年記念としてリリースされた「残雪」はその一つで、「ふるさと」をテーマにした歌だ。災害や疫病の流行で実際に帰れなくなった故郷がある。が、故郷はやはり帰られる場所でなくてはならないという想い。紹介とともに披露された後は大好きになっていた。そして「人間模様」や「恋しゅうて」も同様。

セットリストはメモして記載しようと思ったが、実は今日(13日)もまだあるので未体験の方のために控えようと思う。今日行かれる方は是非楽しみにしていただきたい。生粋のファンであれば絶対に楽しめるだろうし、貴重な時間を過ごすことになるだろう。

もっともっと聞きたかったし、聞きたかった歌がたくさんある。それもまた石川さゆりの魅力なのかもしれない。

彼女にも、われわれ聞き手にもまだまだ「次」があるのだ。


「有楽町のさゆりさん。」オフィシャルポスター
中央前から3列目!
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