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【2022年一番読まれた記事NO.1】90年代の音楽を知らないアナタへ その71 GANGSTA'S PARADISE(95)/COOLIO FEATURING L.V 親子でシェアするギャングスタラップ

映画「デンジャラスマインド」のサウンドトラックからシングルカットされたクーリオ最大のヒット曲。ミステリアスなストリングスの旋律ではじまるこの歌は、スティービーワンダーの「Pastime paradise」をサンプリングにして、サビもほぼそのまま使うという、いわゆる「まんま使い」の代表格としても知られている。

ここで余談だが、サンプリングというのは、元ネタが比較的わかりにくく、玄人ウケするようにサラッと使ってみせるのがミュージシャンのセンスと手腕であったはずが、この歌が大ヒットしたあたりから、王道の曲づかいや、その曲を堂々とまま使いする風朝へシフトチェンジ。皆が「それでもヒットすればいいんだ!?」てな安易な感じになっていき、ミッドナインティーズを境に「まんま使い」が横行していくことになる。これには当時から賛否あったが、いまでは、かっこよければ別にいいじゃん、というのが着地点であろうか。

そしてその流れを作ったのがまさしくこの曲だったといっても過言ではない。サンプリングの新時代の使い方を提示したうえに、スティービーワンダーを新しい世代に蘇らせた功績も大きい。スティービーの元ネタを収録したアルバム「songs in the key of life」は名盤であるが、知識として知っていたとしても実際に聞いたことあるキッズは少なかっただろう。クーリオのネタ使いに、キッズにとってはまったく新しいクールなメロディで受け入れられたし、その親世代は当然知っている「Pastime paradise」がキッズの間で流行っている不思議に、自身の子供時代へのノスタルジーが交錯し、改めてどハマりしたことがビッグヒットに繋がったと推測できる。

いわゆる親子ともども楽しめる歌としてラジオエアプレイとセールスが伸び、年間1位の快挙となっている。ちなみに2位はTLCの「waterfalls」だった。

この曲のクーリオのラップは比較的イージーなフロウで口ずさみやすさも抜群。90年代のもうひとつの流れ「歌モノラップ」の流れを汲んでいる。そしてLVの重たいサビのフックのループが頭の中を幾度も駆け巡るキャッチーさだ。クーリオのラップは、いっちゃうとあまり記憶に残らないかもしれない。それくらいLVの声とサビの美メロがとにかく頭に残る。

親子でギャングスタラップを一緒にシェアできるなんて後にも先にもこの曲だけだろう。この曲は当時から名曲であり、今振り返るとエピックだったと強く感じる。




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