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近所なのに来たことのない場所

娘が生まれる前からこの辺りで暮らしているというのに、近所のことがわかりません。このあたりで育ったわけではないというのはあります。でも、それを言うと、実家で暮らしていたころも近所なのに知らない場所がたくさんありました。どこにいても、よほど天気が悪いとかでなければ、地図やスマホがなくても方角はなんとなくわかります。知らない場所というのは方角がわかるわからないではなく、未知の、来たことのない場所という意味です。

生まれたときから二十歳まで札幌で、それから少し仙台、そのあとは東京で転々として、今の近所のアパートで3年ぐらい、今の場所では24年ぐらい。人生で最も長く暮らしているのが今の場所です。

それなのに、すぐ近所でも「知らない場所だ」と思うことが多々あります。かなり頻繁にです。

会社と家の往復生活だからというのはあります。この近所で働いていたらまた違ったでしょう。フルタイムで働いているとどうしても勤め先を中心に行動することになります。私の場合は趣味というものがないのも影響しているかもしれません。競艇でも乗る方でもボートが趣味だとこの近所は充実しています。釣りが趣味の方も多いらしいです。そうか、登山とかピクニックじゃないアウトドア系の趣味だと近所でどうこうというのがあるんだな。全然ないな、自分は。あと、近所で飲み歩いたりしているとまた違うんだろうな。近所の店もほとんど入ったことないからなあ。駅前の店でも入ったことないもんな。最近は外食しないのでますますです。

今日は郵便局に不在時の荷物を取りに行きました。自転車ですぐなのに滅多に来ることがありません。まあ、郵便局は用事がないと来ないか。周辺にある飲食店も入ったことないなあ。(元)妻が出ていく前にこの近所に引っ越してからずっと看板だけは見たことがあったパスタ屋さんに入ってみました。普通のファミレスで、居心地は悪くありませんでした。こんなんだったらもっと前から来てもよかったねなどと話していたのを思い出します。

今の場所に引っ越してきてから存在だけは知っているというお店が最近はどんどん閉まったりもしています。最近じゃないな、けっこう前からか。私は一度も入っていませんが誰かがお客さんとして訪れていたお店が閉まっていくのは不思議な感じです。ざっくりいうと「置いてけぼり」の感じがあります。

この「置いてけぼり」の感覚、疎外感というのとはちょっと違います。別に弾き出されているわけではなく単に参加していないという感じでしょうか。居場所があるないみたいな感じはちょっと近い気もするけど、それともまた違うんだよなあ。なんかこう、世界が自分を中心に回っていない感じであり、かつ、自分が世界と無関係に存在している感じであるというか。

この感覚、私は子供の頃からけっこう強くあります。もしかすると娘はないかも。無さそう。

郵便局で荷物を受け取ったあと、ちょっと遠回りして橋を越えてみました。川に囲まれた地域なので橋を超えると異界です。橋を渡ってすぐの道で横に曲がるとそこはもう未知の世界です。

昨日、たまたま別の件で近所の地図を見ていたら業務用の食品を扱うスーパーハナマサがあることに気がつきました。引っ越してすぐの頃はもっと近くにあって何度か買い物に行きました。いつの間にか閉店してしまい残念に思っていたのですが、なんのことはない、橋を渡った先にありました。

激安の冷凍食品や大容量の肉パックなどを物色。豚汁用の根菜類の冷食と大漁の豚小間、ちょっとだけ安い野菜などを購入。今回は様子見で次回以降はもう少し事前に考えてから来ようと思います。

通ったことはあるはずなのに、まったく知らない場所です。そこから自転車で橋に戻る途中も、なんの見覚えもない感じです。自宅まで戻るのにあえていつもと違う道を通ります。もうどこにいるのかもよくわからない気がしてきます。

そういえば昔は酔っ払って帰る途中で迷ったりもしました。酔っていないと迷うことはほぼないのですが、近所だろうが見知らぬ土地だろうが、酔っているとよく迷いました。

酔っ払って寝過ごして、どこの駅かも分からない駅から(元)妻に電話したことを思い出します。高尾の駅で朝を迎えたこともありました。それぐらいだと電車に乗ったことも覚えていません。ひどいな。アルコールを飲まなくなってもうすぐ3年です。もう飲まなくてもいいな。

(元)妻はPTAの役員をやったりして近所に私よりは土地勘がありました。その後、ポケGOとドラクエウォークで近所に異様に詳しくなっていました。とはいっても(元)妻も私と同様ほぼ外食をしないのでお店は「見たことがある」だけでしたが。もうちょい一緒に飲み食いしてもよかったかもなあ。いや、けっこう行ってたかも。行ってた行ってた。そうだった。

もう何もかも忘れていくな。

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