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子どもの頃になりたかったもの
娘とふたりで過ごしているとほとんど会話はありません。延々と独り言を喋り続ける娘は私には何も話しません。話すことがないので。私も娘に話すことがありません。本当に何もありません。
「ちいかわ見る?」
「んあ」
ぐらいの会話はします。
「今日のちいかわ、面白かった?」
「面白かったよ」
そういう時の娘は心なしか早口です。話すことがないので早く終わらせようとしているのだと思います。
日曜日、珍しく娘に質問してみました。普段は質問はしません。なぜなら聞いても何も返ってこないからです。「知らない」ぐらいだと返ってきているほうです。無言でキョトンとした顔をしてからつまらなさそうに部屋に戻っていくというパターンが多いです。要するに何も返ってこないということです。それなのに質問をしたのはなぜなんでしょか。魔が差したんでしょうか。自分で自分が謎です。
「あのさあ、子どもの頃になんか将来なりたいものとかやってみたい仕事とか考えたことある?」
「ない」
即答でした。
「全然ないの?」
「ない」
行ってみたいところとかやってみたいことを聞いても娘は「ない」と答えます。本当にないのです。
「あのさあ、妄想とひとりで会話して楽しいの?」
「楽しくない」
「そうなんだー」
なにかそれ以上は聞いてはいけない雰囲気なのでそこまでにしておきました。
私も何も考えていないことは多いです。(元)妻には「あ、また何も考えてないッ」と指摘されまくりでした。省エネとかもよく言われました。本当に面白いこと言うなあ。楽しいヤツだった。
娘の何も考えていないは私がボーっとしているのとはかなり大きく違います。娘はそもそも考えられません。考えたふりはできるんだけどなあ。まあでも私も考えたふりしてるだけと言えなくもないか。あんまり変わんないかもな。
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