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正しい消費者調査/ユーザー調査の行い方

WEBプロダクトを担当していても、D2Cプロダクトを担当していても、ユーザー調査/ヒアリングや消費者調査を行うことは頻繁にあります。(ここでいうユーザー調査/ヒアリングと消費者調査は同じ意味なので以後消費者調査に単語を統一)

「消費者調査が重要だとわかっていても忙しさから、なかなか手を出せていない」

「調査は外部の会社から促されてなんとなくお金は払っているが有効なマーケティング施策につながるような調査ができていない」

「いつもなんとなく形だけの調査はおこなっている」

「調査を定期的にしてはいるが、調査結果をもとに何かアクションをたてているわけではない」

など、様々な理由から調査を敬遠しているかもしれません。

我々も普段から調査の側面から企業を支援させていただくことが多いですが、「これまで社内独自で行っていた調査が意味のあるものとは言えなかった」と担当者の方から伺うことも多くありました。

調査手法が体系化されたものではなく、FacebookやTwitterで見かける大学生がゼミでGoogle Formを使用して行ったような簡単なレベルのものであり、調査の意味をなしていないということも珍しくありません。

では、消費者調査を具体的にどのように行えばよく、そして消費者調査をすることによってどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。


消費者調査することのメリット

消費者調査は、すでにプロダクトを販売している場合、これから販売しようとしてる場合、まだアイデア段階の場合とどの場合であっても効果的です。

消費者調査をすることのメリットとしてあげられるのは、市場の選定間違いを防ぐことです。

矢野経済研究所などではマクロのデータを見ることができ、ざっくりとしたトレンドを知ることはできると思います。

例えば、〇〇業界のEC売上などのデータを調べたときに、基本的にEC売上は近年伸びているので、EC売上が伸びていることは分かるでしょう。

では、EC売上が伸びているのはどのセグメントかというのを聞かれたときに、市場にあがっているデータではなかなか分からないかもしれません。

100万円くらいするレポートを購入すると書いてあるかもしれませんが、高価なレポートを購入するくらいなら、自分たちで調べた方がより精度の高いデータを入手することができます。

個人的な所感になりますが、高価なレポートでも間違いが多く、信頼に足る詳細情報は得ることは難しいです。繰り返しになりますが大きな枠組みでの市場規模を知るには便利です。

市場選定を行う上での調査は、商品ターゲットとなりうる消費者を定義し、定義した消費者がビジネスになりうるほどの十分な人数がいるかどうかを確認するために行われます。もしくは、そもそもどういう市場があるのかを調べます。

例えば、「傘のECサイトで傘を購入する人は、30代の女性で運転をすることが年に1回未満で、普段からECサイトでものを購入し、人にプレゼントをあげる習慣がある」というセグメントを特定することができれば、このセグメントに該当する人に向けてマーケティング施策を考えればよいです。(あくまでざっくりした例なので実務ではよりインパクトのあるセグメント分けをします)

上記のようにセグメントがあまりにもはっきり分かるパターンはあまりないですが、色々な切り口でターゲットを分けてみて仮説を構築していくことで、精度の高い調査を行うことができます。

いずれにしてもターゲットとなる消費者のサイズを見極めるために、調査を行う前に自分の頭でしっかりとターゲットをセグメンテーションしていくことが必要です。

セグメンテーションするうえでは、1つ1つのセグメントが意味のあるものでなければなりません。例えば、男性、女性という区分が意味のないものであったとしたら、わざわざ性別でセグメンテーションする必要もありません。ユニセックスを考えるときは、男性でユニセックス商品を買う人と女性でユニセックス商品を買う人はインサイトが違うので注意です。

また、一般的に送料が高く設定される沖縄を除くと、ECの利用率に大きな差がなかった場合、都道府県で区切ることに意味がないかもしれません。

〇〇の消費量が多い都道府県は〇〇県であるという情報がある場合は都道府県の区切りは有効になります。

1つ1つのセグメントに対して、意味があるセグメントかどうかを常に問いかけてほしいと思います。

消費者調査の項目がそのままKPIに

目先の売上および利益を伸ばしていくことが一部の企業を除く、ほぼ全ての企業にとって重要になるはずです。

売上、利益を伸ばすにあたって、各企業の悩みとなっているのがKPIです。KPIはよく使われる言葉ですが、KPIの正しい設計ができている企業は意外と多くはありません。

マーケティングを重要視している企業にとっては、消費者調査における各調査項目がそのままKPIとなっています。

消費者からの認知度、消費者がもつブランドに対する〇〇のイメージといった指標がそのまま売上と相関する関係となっています。

認知度が高い方が売れそうというのはなんとなく分かるかと思いますが、ブランドイメージが売上と相関する指標になるというのはなかなか分かりづらいかもしれません。

例えば、シャンプーの事例の場合、髪がつややかにすることを便益としていた場合、「髪につやが出そう」という指標を狙っていくのは正しいKPIの設計といえます。

便益が定義されているブランドのKPI設計は調査において簡単になりますが、便益が定まっていない場合、便益候補を一緒に探してあげることから行います。

調査設計の罠

定量の消費者調査をする際に、調査したあとに何がわかればいいかを考えたうえで設計するようになると思います。

特に地頭がいい方だと、目的を考えたうえで目的から逆算して調査設計をすることが身についていると思います。

そのため、調査設計未経験でも、それなりの調査設計ができてしまいます。

定量調査に関しても、マーケットを広く知るための市場調査なのか、コンセプトをぶつける調査なのかで大きく変わってきますし、調査から思ってもみなかった結果が出てきたときの対応力が問われます。

意図的に予想した結果に収まるような調査をしてしまうと機会を逸してしまう可能性があるので、ピンポイントで狙いを定めつつも、可能性を探れる余白も少しだけ残しておくのがポイントです。

大企業であれば、役員を説得するための調査もあるかもしれません。しかし、そうでないなら、思いがけない、予想していなかった結果がでてくる調査をやってみることをおすすめします。

調査については、多岐の手法があるので、専門家に相談してみるとよいでしょう。

ローデータの処理

データがでてきたら、データとにらめっこをして処理する必要があります。
データはあくまで材料で、最後に資料化する人の調理力によって大きく変わってきます。

ローデータから異常値や、本来とるべきではなかった層への調査をしてしまうことはよくあります。

本来は調査対象から外しているはずが、何かしらのエラーで調査対象に入っていることがあります。

ノイズがあれば必ずはじくようにしましょう。

ただし、ここでも注意してほしいのは、自分の望む結果にするために、一部の調査対象者をはずしてしまうことです。

自分の思いのままにしてしまいたい気持ちはわかりますが、調査結果はそのまま受け止めて、本当に次にとるべきアクションは何かということを理解する必要があります。

具体的な調査手法については、定量調査、定性調査に分けて説明していきたいと思います。今回は調査をすることのメリットについてご理解いただけたら幸いです。次回もお待ちください。


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