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『気象予報士をSF考証する』第3章──試験対策ことはじめ

気象予報士試験について──なんとなれば気象全般について──何も知らないところから始めている本連載も3回目=3週目、そろそろ対策を始めます。

まずは体験談から

高校のときに先輩たちがどう勉強したかが共有されていて、なかなか参考になった記憶がありまして、今回まずは体験談をググってみます。

気象予報士合格者のブログは結構あり、基本──というか当然ではありますが──独学か通信教育でみなさん勉強しています。

前回の復習で、気象予報士試験の受験料は11,400円。大学受験のことを考えると、受験料と受験にかける予算とのあいだに関係はまったくないですが、今回のひとまずの予算感としては悪くない基準な気がします。そしてこの基準だと、通信教育はおおむね10万円オーバーなので、必然的に独学となります。

試験対策用のYou Tube動画や個人や企業のHPもありますが、そういえば超広い意味での〈取材〉を志向している本企画の趣旨とはちょっと違う気がするので、受験勉強の古典にして王道──〈本による独学〉を基本方針とします。本であれば11,400円もちょうどいいでしょう、たぶん。

対策本を選び出す

ホントのホントに初学者が新しい分野に入るときは、どの本が良いかどうかも判別できず、それでも適当に読んでいくのが楽しい気もしますが、今回はなるべく最短で合格したいという、読書とは別の目的が大きいので、再び合格者ブログを参考にしてみます。そうすると次の本をほとんどの人が薦めていることがわかります。

サムネイルでも、帯に”「バイブル」と支持される定番テキスト”なんて書いてあったりして、じゃあこれ1冊でいいのではと思ったりするわけですが、残念ながらこの本、Kindle版がないのです(そんなにKindleにこだわっているわけでもなく、最近ほとんどの本をKindleで買って読んでいるので、というだけなんですけれど)。

Kindleが良い気がだんだんしてきたので、Kindleで探します(KindleUnlimitedにないことは先週わかっています)。

そうすると各年の過去問解説本が3冊、これは同じ会社から出ていて、あとは過去問解説本が1冊、そして参考書が2冊出ています。合計6冊、どれも2,000円は超えていて、上記の「バイブル」は3,000円なので、全部買うことはとりあえず今週はナシに(いずれ文房具などなども買うでしょうし(文房具回もお楽しみに!))。

初学者かつ受験生が過去問研究をするのはいずれ必要不可欠ではありますが、最初期にしてもあまり意味はないでしょう。高校生1年生が、受けたい大学の問題を見て、たとえば英文の長さや難易度を知るというのは意味があると思いますが、今のぼくは英語をほぼ勉強したことのない段階の正真正銘の初学者なので、過去問関連本はまた今度。ただ、シン初学者だからこそ問題は見たいので──まさか文章題がドイツ語ということはないと思いつつ──過去問分析はそう遠くないうちに。

さて、ということで今回は勉強すべき範囲を知るための、いわゆる参考書が候補です。Kindleには現時点で次の2冊だけのようです。

①改訂新版 気象予報士かんたん合格テキスト<学科専門知識編>
②ここが出る!!気象予報士 完全合格教本 改訂3版

①は<>の中にあるように、学科試験の中でも学科試験(専門)に特化したもので、②は試験全3科目についての参考書です。──なのでシン初学者としては②一択に。機械的に絞られてくるのはラクではありますが、つまりは選択肢がなさすぎ=Kindle参考書がなさすぎ(みんなそんなに紙の参考書がいいということなのか)だということはいちおう踏まえつつ。

これからの勉強の進め方

さきほどのバイブル『一般気象学』は東京大学出版会が出していて、つまり大学の教科書であって、ちゃんと読んでいく系のものだと思います。講義と並行して読むことが想定されているのかなと。ちなみにぼくは物理学科で、天文学科の講義は一部聴講してたんですが、たぶん地球惑星物理学科などで気象学概論みたいな講義があったのではないかと推測します(つまり受けてないということです)。

さてさて、なので、まずは②の参考書を今日これからさらさらと読んで、『一般気象学』は今Amazonで注文して明日には届くので、バイブルは明日くらいから精読してみようと思います(精読とは何かもぼちぼち考えます。ノートかnoteをとりながら読む、ということかなと)。次回からしばらく──5週なのか10週なのか──『一般気象学』精読回になる、ということです。

初めての参考書を読んでみる

ここまでの2,000字を前半として、ここからの後半2,000字では、Kindleでたった今買いました、略して『完全合格教本』を読んでいこうと思います。受験っぽいような、大学受験の参考書はもうちょっとカッコいい/かわいい表紙が多いような(こういうことは合格したあと研究しましょう)。

『完全合格教本』冒頭から、同じ出版社同じ著者の『過去問徹底攻略』という姉妹本がおすすめされているので、それはいずれの過去問研究で使おうと思いつつ、まずは、こちら合格教本の中身に入っていきます。

合格教本らしく、試験の3科目、過去問というよりは内容を、順々に説明してくれています。

学科試験(一般)についてわかること

本書は、学科試験(一般)の初めの項目である「大気の構造」から始まります。
地球の大気の歴史や、火星や木星の大気との比較など、いきなり本命というか、こういうことに──試験勉強という謎の方向から──触れたかったので非常にうれしく思いつつ、さらに読み進めます。

すると、過去問を見なくても、参考書は試験範囲しか書いてないので、ざっくりと試験についてわかってきます(他の受験もそうだと思います)。

学科試験(一般)は、学科試験(専門)の前に置かれているので、この「一般」というのは──「全般的な」くらいの意味もあるとは思いますが──「基礎的な」「気象予報士に関係するおよそすべての基礎となる」くらいの意味で、つまりは超重要ということです。

熱力学の式、たとえば(昇華熱)=(融解熱)+(気化熱)みたいなものもあり、これも試験に出るのか、偏微分方程式も書いてあります。

学科試験(専門)について

こちらの(専門)というのも、本書を読むうち、意味がわかってきます。

この範囲では、予報で使われるシミュレーションの特性(何日先まで可能なのか、あるいはモデルのメッシュの大きさについて)などなど、つまりは気象予報士という専門的な仕事に直結する内容になっています。専門知ということです。いつか習った〈天気図用記号〉もここで。どうもすべて暗記しなくてもいいようなのでそれはうれしいです(暗記はなるべく避ける人生でした)。ちなみに快晴は○、雨は●。

予報なので、その誤差についてもここで扱われます。〈平均誤差〉〈2乗平均平方根誤差〉など、大学の教養課程の統計学でやったような。

実技試験について

実技は結構気になっているところなので、本書で中身がわかって助かりました(たぶんもう少し時間をかけてググればわかったところではあります)。実技は次の3つで構成されているとのこと。

①気象概況およびその変動の把握
②局地的な気象の予想
③台風など緊急時における対応

実技試験は1が75分、休憩はさんで、2も75分。内容としては上記①②③で、1と2それぞれひとつずつの事態?が10ページ以上の資料で示されて、その事態に対して、実際の予報に似た「実技」をするようです。

空欄補充があり、天気図作成(!)があり、記述式で気象解説(!!)もあるとのこと。

つまり形式的には普通の?よくある記述式に近く──天気図はトレーシングペーパーを使って作るみたいですが──内容的には天気予報士が日々するであろうことに似た内容になっている、ということです。

改めて今後の勉強の進め方

『合格教本』は──価格でいうのもあれですがKindle版が2,200円で──結構充実した内容なので、もうちょっと丁寧に読んだほうが良さそうです。これを完璧にマスターすればいいところいくのではという予感もあります。とはいえエッセンスを凝縮している本ではあるので、もう少し理論的な──必ずしも簡単という意味ではない──基礎レベル、原理的なところから広く深く勉強したいという欲望もこの教本のおかげで出てきました。なので先に考えていたとおり、バイブル『一般気象学』を先に読みます。

直近の試験は来年2022年1月30日。これに間に合わせるとすれば、残り時間はあと4ヶ月と10日=130日=おおよそ18週です。

つまり本連載は最短あと18回ほどということで──ということは1冊の本にすることを考えると1回5,000字くらいでちょうどいい計算になるわけで──例のバイブルが届かないと正確な数字は見えにくいですが、次のようなスケジュールを今は想定しています。

来週から6回=6週ほどで【基礎理論習得】=バイブル『一般気象学』を精読
11月から6回=6週ほどで【試験内容習得】=『合格教本』+姉妹編の試験対策本
12月から6回=6週ほどで【試験解答訓練】=過去問をさらに追加して

18週を3タームに分けているイメージです。あえて高校でいうと、それぞれ高1、高2、高3になるでしょうか。

気になるのは初めの1ターム〈基礎理論習得〉がちょっと遠回りかもということです。大学受験をする場合に、大学の講義で使われる大学生用の教科書/数学書を読むのが吉かどうかは諸説あると思います。真反対の説は、さっさと問題演習をしたほうがいいというものでしょう。このあたりの問題系はいずれ議論するとして、今回のバイブル先行という方針は、そこまで衒学的ではない、最終的には気象予報士試験合格に近づくような気はしています(九九を血肉になるレベルまで習得したほうが結果的にはいいかもという仮説です)。ただ次週にようやくバイブルを見るなど、知見は少なすぎるので、スケジュール調整/仮説変更は随時やっていきます。

今回のオチ──VR天気

今回の記事のサムネイル画像はどこかのVRで撮った空の写真です。そういえばVR内でも天気表現はありますし、ランダムないしプログラミングに合わせて、VR内天気というものがこれからますます作られていくはずです。

せっかくのVRなので、現実の気象学に合わせる必要はまったくないわけですが、VR内の情報を豊穣化するために、現実を参考にすることはありえます。

というようなことを空想しつつ、次回は現実の気象学、そのバイブルを精読していきます! たぶん受験生には需要があるのではないかと思いつつ、今回もおつかれさまでした!

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