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日本人の英語力(1)NHKラジオ(2022年3月17日放送)

みなさん、こんにちは。今回は、NHKラジオのレギュラー出演番組「マイあさ!/ 三宅民夫のマイあさ!マイBiz」の「マイ!Biz キャリア&ライフスタイル」コーナーで田中孝宜キャスターとお話した内容を、こぼれ話を含めてお伝えしたいと思います。

今回のテーマは「日本人の英語力」です。

<外国人留学生の高い英語力>

キャスター:まもなく4月、新しいことをスタートされるという方の中には、英語を改めて学習したいという方も多いと思います。九門さんは、グローバル人材育成や高度外国人材の活用を専門にし、大学の授業で数多くの外国人留学生の生の声も聞いています。そうした留学生と日本人の学生を比較して、日本人の英語力について、どのように感じていらっしゃいますか。

九門: 実際に、大学の授業で多くの留学生に接していますが、ヨーロッパからの留学生、アジアでもシンガポール、マレーシア、フィリピンなどASEANの多くの国はイギリスやアメリカの統治を受けた国が多く、英語を日常的に使うことも多いので英語力は高いです。必ずしも日本人学生の英語のレベルが低いという訳ではありませんが、全体的に見てトップ層の大学や大学院に来る外国人留学生の英語でのコミュニケーション力は日本人学生と比べて高いと感じます。

キャスター:外国人留学生と日本の学生の英語力の差、これはどこからきているものなのでしょうか。

九門:学校での教育の違いもありますが、日本に比べて、英語を使う機会が多く、仕事でも英語の必要性を感じていること、メンタルバリアがないことなどが主な理由です。世界で英語を話す人の8割はノンネイティブと言われます。国際会議やビジネスの場面でアジア人など海外の20代~30代、外国人留学生と接していると、ネイティブではなくても積極的に発言する人が多いです。

<英語の上達を阻むメンタルバリア>

キャスター:日本人の英語力を伸ばす上でメンタルバリアが問題になっているということですが、これはどういうことでしょうか。

九門:以前、ある日本企業のグローバル化の研修の一環として、20代の社員に英語や英語の学び方を教えたことがあります。その時に、受講者からは、「文法や発音を間違っていないか気になる」「間違うと恥ずかしい」という声が多く上がりました。実際は「話せない」のではなく、「話して間違えるのが恥ずかしい」のだと思います。これは小さい頃からの学校教育の影響もあります。どこかで間違ってはいけないという意識や、人と同じでいないといけないという同調圧力が強いのではないでしょうか。

キャスター:実際に、世界で必要とされている英語力、というのはどのようなレベルのものなのでしょうか。

九門:海外のビジネスシーンでは、必ずしも完璧な英語を求められるわけではありません。以前、外資系企業で役員として働かれていた日本人の方は、英語は「私がビジネスで使っているのは高校1年生程度の英語の語彙と文法です。それに専門用語を知っていれば十分」と言われていました。日本人は必ずしも英語を「話せない」訳ではなく、間違えるのを恐れて「話さない」だけであることが多いので、まずは発言するようにしていくことが大事です。

キャスター:前回は日本人も発言していくことが大事ということでしたが、どのくらいまで英語力を高めていくべきでしょうか。

九門:日本では英語が話せなくても仕事や生活に支障がない人は多いので、全員が横並びで英語力を高める必要はないと思います。ただ、問題は現状では将来的な可能性も含めて、話す必要がある人たちも十分に英語を使えないことが多いという点です。例えば、海外の企業や外国人と仕事をする可能性がある人はより高いレベルで英語を使えた方が良いと思います。

次回(2)に続く)

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