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❨735❩1973.9.3.月.曇(労働者デー )/サンパウロのママさんたちからの手紙/ロサンゼルス:アメリカ合衆国

夜、部屋へ帰り、ドアを開けた所に、一通の手紙が落ちていた。吉さんが持って来てくれたのか。

何と、サンパウロのママさん、ルミ、エリちゃんからの、嬉しい便りだった。
胸をワクワクさせながら、封を切った。
ママさん、三枚ビッシリ、エリ・ルミちゃん各々一枚づつ、書いてあった。

有名人 が来た事。商売の事。エンプレアードの事。子供達の事。
ママさんらしく、細心の目で見た事を、これまた細かく書きつづられてあった。

何よりも何よりも、元気な事に安心したが、大川さん一家の事が気になる。 しのぶさんの容態が望ましくないらしく、大川さんの方も、あまり元気でないようだ。
可哀想なのは、アリサちゃんとヒロミちゃん。一体どんな毎日を過ごしていることか。

最後の方に、ママらしく、早く日本へ帰り、親父や姉貴を安心させなさい、と戒めてあっ た。
最初には、これまた義理難いママらしく、俺に返事を出す事に遅れ、書けなかった日には、俺にペコンと頭を下げた、とあった。
こんなにまで俺を親ってくれる人が、ブラジルにも居る。
どうしてこの人生を、貴重なものであると考えずにおられよう。
人はいつの時にも、慈愛なくして生きられない。報われ、施しながら、 全く俺も、ママや、エリちゃん、ルミちゃん、キネ子さん・ミツさん等の、遠くから寄せられる、暖かい愛に感動せずにはおれない。

今度、この受けた愛を、俺は誰かに授け次い でやらねばならない。俺の所でのみ、止めてしまってはならないと思う。
例え、俺 一人に寄せられたものであっても、たった自分 一人で感じていただけでは、勿体無さすぎる様な気がする。
今夜、また俺は、考えずには眠れない。
白けかかった心を、いつも明るく温かくあたためてくれるものは、俺を少しでも解ってくれている人達の、 一行の言葉なのだ。

ムイト・オブリガード、トゥド・ムンド!

午前中、本を読む。二週間ぶりの休日。
午後、坪井を連れ、チャイナ・タウン、メキシカン・タウン。
そして ブロードウェイで靴を買い、サンタ・モニカへ出る。

曇った寒い日で、浜は人も少なかった。
冷たい海で、それでも、サーフィン、ヨットで遊ぶ者がチラホラ見られた。

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